ROCK BELIEVER/スコーピオンズ:攻めの姿勢を感じさせる、ジャーマンHR/HM重鎮のスタジオ作19枚目

ROCK BELIEVER/スコーピオンズ:攻めの姿勢を感じさせる、ジャーマンHR/HM重鎮のスタジオ作19枚目
アーティスト名SCORPIONS
スコーピオンズ
アルバム名 ROCK BELIEVER
ロック・ビリーヴァー

CD | ユニバーサル ミュージック | 2022年2月25日発売

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ジャーマンHR/HM重鎮によるオリジナル・スタジオ作19枚目。前作『RETURN TO FOREVER』(’15年)から7年を経てもラインナップは変わらずで、外部ライターの起用も実質ナシ。当初、グレッグ・フィデルマン(スレイヤー、メタリカ、スリップノットなど)をプロデューサーに迎えプリプロを行なったものの、L.A.録音の計画がコロナ禍で頓挫し、リモート作業にも限界を感じた結果、最終的にバンドのセルフ・プロデュースにて完成に到った。歌詞が先で次に曲…という方法を初めて採ったそうだが、それで妙な方向へ進むこともなく、アルバム全編“らしさ”全開! 実際バンドは「『LOVEDRIVE』(’79年)や『BLACKOUT』(’82年)のヴァイブを呼び起こした」そうで、メタル度はやや控え目ながら、一度聴いただけで一緒に歌えそうなキャッチーかつストレートな楽曲が殆どで、バンドが最も得意とすることを最良の形で仕上げた…との印象だ。

ただ、「Is There Anybody There?」を思わせるレゲエ風味や、「The Zoo」や「China White」と同質の重さを備えた曲、’70年代初期へ回帰したかのサイケ浮遊もあって、ボーナス・トラック6曲(うち1曲は日本盤のみ)には、ちょっと今風なアレンジも。勢いで弾ききったようなソロから、ゆったりスライドまで、マティアス・ヤプス(g)のプレイが生々しく捉えられているのも、老成とは無縁の攻めの姿勢を感じさせる。

【文】奥村裕司