SENJUTSU/アイアン・メイデン:“これぞメイデン”な美味しいフレーズを詰め込んだ2枚組

SENJUTSU/アイアン・メイデン:“これぞメイデン”な美味しいフレーズを詰め込んだ2枚組
アーティスト名IRON MAIDEN
アイアン・メイデン
アルバム名 SENJUTSU
戦術

CD | ワーナーミュージック・ジャパン | 2021年9月8日発売

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’15年の前作『THE BOOK OF SOULS』がCD2枚組と聞いた時は一瞬ひるんだ憶えがあるが、今回もこうして2枚組になったということは、これがアイアン・メイデンの基本フォーマットになっていくのだろうか。前作のような18分を超える曲はないが、言うまでもなく長尺曲が大半を占める大作志向だ。何と言ってもタイトルが“戦術”とくれば日本のファンなら否応なく反応してしまうところだが、そのタイトル曲は日本的旋律が使われているというわけではなく、あくまでメイデン流のヨーロピアンなミドル・テンポ曲。この曲の一部以外にも「The Writing On The Wall」のイントロなど、むしろエディがオリエンタルなミイラ化していた前作よりもエジプトを感じさせる局面が多いのではないか。今回も一撃必殺のパンチ力で勝負するアルバムではない。が、いかにもメイデンなユニゾンといった美味しいフレーズがここぞとばかりに繰り出されるという構成力に「ああ、やられた」と唸らせられる点では、前作以上に明快な作品だ。個人的に言わせてもらえば、ハイライトは[CD 2]以降に集中しているような印象。ケルティック節の反復で“天丼”的に盛り上がる「Death Of The Celts」、ゲイリー・ムーア的マシンガン速弾きも登場するギター・バトルが血湧き肉踊る「The Parchment」辺りは、間違いなくライヴで殺傷力がさらに高まるタイプの曲。そして最終曲の3連リズムとハーモニー、これぞメイデンだ。