THE ATLAS UNDERGROUND/TOM MORELLO ヒップホップ/ソウル界隈の名手たちとのコラボによるソロ名義の1st

THE ATLAS UNDERGROUND/TOM MORELLO ヒップホップ/ソウル界隈の名手たちとのコラボによるソロ名義の1st
アーティスト名TOM MORELLO
トム・モレロ
アルバム名 THE ATLAS UNDERGROUND
ジ・アトラス・アンダーグラウンド

CD | ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル | 2018年11月21日発売

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トム・モレロ(g)の個人名では初となるソロ作は、ヒップホップ/ソウル、ダンス、ポップ界隈の名手たちとのコラボを実現させた作品で、フォーク系のナイトウォッチマンとも、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやオーディオスレイヴなどの人力ヘヴィ・ロックとも異なる異色作。作曲はトムだが、曲自体にはトムの個性を持ち込まずに、相手側の色に沿った形で作られている。その音楽に対する柔軟性と吸収力にまず驚いたが、曲ごとに相手側が選出したと思しき人物にプロデュースを任せてしまう潔さも凄い。
よって本作には、畑違いのアーティストのトム参加曲を集めた盤のような感触も覚えた…が、しかし1枚の作品としての狙いは明確だから散漫な印象はない。今作の主題は、ベースネクターの「Rabbit’s Revenge」、スティーヴ・アオキの「How Long」、プリティー・ライツの「One Nation」、ニコ・スタディの「Where It’s At Ain’t What It Is」、ヒーローバストの「Lead Poisoning」といったEDMアーティストが放つ現代の強靭なビート感とギターの融合である(と思う)。他を圧倒する発想力と技術力でギターの限界を突破してきた革命児の、例の魔術的なプレイの蓄積がEDMとの融合でも完全に功を奏しているのは書くまでもなく、当然、ギターなのか判別しにくい音もますます増加。トムのあくなきギターへの探究心には敬服するしかないが、シーンの停滞感に風穴を開けるのは若者の専売特許だったはず。
(菅原健太)