アーティスト名 | ZAKK WYLDE ザック・ワイルド |
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アルバム名 | BOOK OF SHADOWS II ブック・オブ・シャドウズ II |
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’90年代半ばのザック・ワイルド(vo, g, key/現ブラック・レーベル・ソサイアティ)を通じてサザン・ロック及び’60〜’70年代ロックの魅力を知った世代は結構いるはずだが、朗報だ。アコースティックを基軸に、ソロや一部のバッキングではプラグ・インというスタイルもあの時と同じ——20年ぶりにシンガーソングライターとしてのザックに焦点が当てられた、初ソロ作『BOOK OF SHADOWS』(’96年)の続編である。
今作はアコースティカルな作品だが、そこらの弾き語り盤とは別世界。微妙なピッキングのニュアンス、ザック自身によるハモンド・オルガンの音色選び、ドラムの叩き加減にも配慮が行き届いた、言うなればザ・バンドと同一線上にある豊穣のフォーク・ロック盤である。プロコル・ハルム、エルトン・ジョン、イーグルス、レーナード・スキナード…といった伝説からの薫陶が独自の視線を通して描かれているが、例えば「Lay Me Down」「Lost Prayer」ではヘンドリックス風のコードを入れているものの、言われてみれば…の程度。本誌4月号にてストーンズ的と本人が語る「Autumn Changes」も同様だが、こうした独特の音楽センスを深掘りしていく作業が実に楽しい(ぜひ、お手元には4月号を!)。ここ数年の禁酒生活の功…か、それこそ20年間分を“歌っている”かのような全ギター・ソロも筆舌に尽くし難く、ファンとしても20年ぶりに霧が晴れた気がしている。最高!
【文】菅原健太