プロ・ギタリストが“Optiweb”を斬る
太田カツ
“Optiweb”を使ってみた印象ですが、長時間弾いていても「本当にコーティングされているの?」と思わされるぐらいに、ノン・コーティング弦と比べても違和感がないですね。指触りが良くてスライドがスムーズにできるし、なおかつ滑り過ぎることがないから、止めたいところでブレーキがかけやすいです。
この弦は総合的に見て、非常にトーン・コントロールのしやすいモデルだと思いました。自分が普段使用しているシングルコイル・ピックアップの載ったギターは、トレモロ・ユニットがフローティング・マウントされていることもあって、歪ませた音で強くピッキングする時は音程が揺れてしまうことに凄く気を遣わなければいけないんです。その点“Optiweb”は、振動した弦が定位へ素早く戻る動作、つまりレスポンスの速さが優れているのでしょう。歪ませた音でリフを弾いていてもピッチが安定して、非常に気持ちよく弾けました。何と言っても抜けの良さが特徴で、弾き手のニュアンスがしっかり再現されるので、どれだけの力や角度でピッキングすればイメージしている通りの音が出せるか。それが把握しやすいですね。音の抜けが良いことは、チョーキングの時などにピッチをコントロールしやすいことにもつながっていて、またコードを押さえた時に和音がバランス良くスムーズに発音されることも、この弦のかなりの強みですね。
サウンドは一言で言うと、音が噛みついてくるような感じです。ピックアップの特性によるところもあるでしょうが、具体的に言うと高域と中域の抜けが特に良くて、そこにバランスよく低音が付いてくる感じでしょうか。高域と中域が強調されたことで倍音がよく目立ち、その上歪ませた時は一般的な弦を使った時に比べると、歪み感が若干増す効果があるようにも聴こえますね。
西山 毅
僕はエリクサーを長年使い続けているので、その独特のテンションの強さ、いい意味での固さ、それとトーンなんかがすっかり馴染んでいるんですが、新しい“Optiweb”はじっくり弾いてみれば根底にそういったエリクサーらしい良さが残っているんだっていうことが分かりました。いい具合にテンションの強さがあるし、キュッキュッていう余計なフィンガリング・ノイズの少なさといった部分も特徴なんです。
それでも最初に“Optiweb”をギターに張って弾いた瞬間「あっ、これだ」というような新しい心地よさが伝わってきましたね。触った第一印象は、従来の“Nanoweb”などに比べると柔らかい。それとコーティングに関しては加工されていることに気付かないレベル。昔ノン・コーティング弦を使っていた時を思い出すような懐かしささえ感じるほどで、張っている時には「これ、サビないのかな?」って一瞬不安になりました(笑)。むしろコーティングの耐久性がかなり優れていて、1週間ぐらい弾いていても表面から剥がれてくるようなことがなかった。ピッチの安定感も凄く良くて、「どうせだったら1ステージやっちゃえ」と思って“Optiweb”を張ったままライヴをやりましたけど、何の不安もなかったです。
サウンドに関しては、エリクサーとしてのまた新しいトーンが生まれたという感じかな。このメーカー独特の明るさは残りつつ、これもまた昔使っていたノン・コーティング弦みたいな安心感というか、モダンなテイストとは違うハリの良さが感じられます。僕はもう“Nanoweb”を使うことで定着していますが、今後“Optiweb”が新たな選択肢に入ってくる可能性は大いにありますね。
KOUTA
“Optiweb”を張ったギターを早速アンプにつないで、クリーン、クランチ、ディストーションと切り替えながらコードを鳴らしてみました。まずはとにかく音の分離が良い。クリーン状態でのきらびやかで美しいサウンドは特筆ですが、そこからどんどん歪みの量を増やしていっても、コードの1音1音が潰れることなく聴き取りやすいんです。
ディストーション・サウンドでリフを弾いてみると、音がタイトに引き締まって、展開の速いリフでも非常にクリアです。それとフロント・ピックアップでリードを弾いてみるとしっかり甘さがあり、クランチ・トーンでブルージーに弾いてみても、メリハリ感が抜群でした。サウンドは全体的に、単純にブライトという言葉では片づけられないスピード感や艶感がしっかりあって、澄み切った瑞々しさが感じられますね。音が暴れにくい点も非常にメリットが高いと感じました。このトーンは“Optiweb”でしか得られないものなんじゃないでしょうか?
注目の指触りについてはごく自然で、個人的にコーティング感は全く感じませんでした。また、弦そのものにどことなく軽やかさを感じるものがあって、そのおかげで弾いていて非常に気持ち良かった。スライドやチョーキングをしてもストレスがなく、演奏することの楽しさを実感させてくれる弦だと思います。トーンも感触も極上で、しかもそれがコーティングによって長く保たれることを考えると、とてつもなくコスト・パフォーマンスに優れたハイ・レベルな製品の登場と言えるでしょう。
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日本ゴア