ソリッドステートの“脳殺”的歪み
ゴースト・ノート・オーディオは、2023年にイギリスで創業したペダル&スタジオ機器の個人工房。世界中のペダル・ビルダーが独自のヴィジョンを持ち、それに沿った製品作りを行なっているが、この工房の創業者であるヴァルデマー・アーリンソンはなかなかユニークなこだわりを持つ人物だ。というのも、同社のラインナップの中心となっているのは’80年代から’90年代のハイ・ゲイン・アンプのサウンドをペダルに落とし込んだもので、かつその中にはトランジスタ・アンプを雛形にしたものもある。それを、独自のトランジスタ回路で組み上げるというのが同社の独自性と言える。
今回試奏した“ICBM”もそういったラインナップの1つで、’90年代に大旋風を巻き起こしたレジェンド・ギタリストが愛用したトランジスタ・アンプのサウンドに迫ったものだ。まず一点お断りしておくと、同社いわく本機はペダル型プリアンプであり、歪みペダルではないとのこと。故に、接続はアンプのリターン端子やパワーアンプ・イン、もしくはオーディオ・インターフェイスを使いPC内でキャビネット・シミュレーターと組み合わせることなどが推奨されている。
概要を見ていくと、本機は2チャンネル構成で、各チャンネルにゲインとヴォリュームを装備。3バンドのEQとPRESENCE、超低域を調整するDENSITY、中域の周波数帯を調整するSWEEPは両チャンネル共通だ。チャンネル1はゲインを最大に上げてもほぼクリーンをキープ。トランジスタならではの硬質で透明感のある響きだ。逆に真空管回路などではここまで透き通ったクリーンは出しにくいため、本機の大きな武器と言えるだろう。当時のメタルのように、イントロのアルペジオはガラスのようなクリーン、一転ヘヴィなリフに雪崩れ込むといった使い方には最適なペダルだ。
本機の最大の目玉はやはりチャンネル2の歪み。これが超弩級のハイ・ゲイン・ディストーションで、思わずヘヴィなリフを刻みたくなる。切れ味に特化したような音像ではあるものの、各EQの効き幅の広さやDENSITYの効果で、カミソリから鉈までそのニュアンスを自在に操ることが可能だ。SWEEPで中域のポイントを探ってバッサリとカットすれば、ベイエリア・スラッシュも顔負けのザクザク・サウンドも生み出せるだろう。またチャンネル2のみ、フットスイッチでブーストさせることが可能で、さらなるアグレッシヴ・サウンドを得ることができる。
歪みは真空管という意見もごもっともだが、本機の歪みでなければ到達できないサウンドもある。その意味で唯一無二のペダルだ。





試奏動画 Ghost Note Audio | ICBM
製品概要 Ghost Note Audio | ICBM
●入出力:インプット、アウトプット
●コントロール:DENSITY、BASS、MID、TREBLE、PRESENCE、GAIN×2、VOLUME×2、SWEEP
●スイッチ:CHANNEL、BOOST、ACTIVE
●電源:DC9V(200mA)
●サイズ:145(W)×108(D)×61(H)mm
●価格:¥40,700(税込)
製品情報:
ICBM – Ghost Note Audio



