R・バックマン愛用プリアンプ/シリコン・トランジスタを独自解釈
高度なデジタル技術と音色に関する細やかなセンスで、リヴァーブやディレイ、モジュレーション・ペダルの名機を多く輩出してきたストライモン。一部製品ではアナログ&デジタルのハイブリッド・モデルなども手がけてきた同社が、なんとフル・アナログのペダルに進出してきた。早速その実力を見てみよう。

と言ってもそこはやはり曲者で、着眼点がユニークだ。まず紹介する“Fairfax”は、バックマン・ターナー・オーヴァードライヴやゲス・フーでの活動で知られるランディ・バックマンが愛用した、“Herzog(ヘルツォーク)”というプリアンプ機器から発想を得たドライヴ・ペダル。真空管アンプ的な挙動を目指しており、JFETによる増幅回路とパワーアンプ部を模したディスクリート回路で構成されている。その成果は、クランチからオーヴァードライヴまでシームレスに変化するDRIVEノブと、コンプレッション感や歪みのザラつきに作用するSAG(サグ)ノブに表れているだろう。特にSAGは、パワーアンプ段での電圧低下がもたらす音色変化を指す言葉として、近年はモデリング・アンプの世界でも重要視されている要素。これをコンパクトなペダルで見事再現したのは、ストライモンの技術力と開発力のなせる業だろう。ちなみに、これだけの効果を生み出すために回路内で20Vまで昇圧しており、必要電流も大きくなる。9Vアダプターを使う場合、500mAの供給が必要なので注意してほしい。
肝心の音色は、カラッとしたクランチ〜ミドル・ゲイン・オーヴァードライヴで、やはり’70年代アメリカン・ハード・ロックなどクラシック・ロックに合いそうなサウンド。BRIGHTスイッチが作用する高域の設定も良い案配で、ピッキングのタッチなどが出しやすいペダルだ。本機をプリアンプ・ペダルと見立てて、他のドライヴ・ペダルと直列にするといった手法も良さそうな手応えを感じた。

もう1つのモデルはファズの“Canoga”で、トラディショナルなシリコン・トランジスタ・ファズを独自に解釈したペダル。コントローラーは歪み量を決めるDRIVEと全体の音量を決めるLEVELのみとシンプルだ。シリコン・トランジスタならではのきめが細かくシャープな歪みはディストーション的なニュアンスも含んでおり、パワー・コードなどを弾いても音が潰れにくいため、モダンなアンサンブルでも活用できそうな手応えを感じた。DRIVEはある程度上げた方が本機の魅力を引き出せるだろう。
なお両モデルとも、内部回路内にジャンパーと呼ばれる接続変更パーツがあり、電源投入時にペダルをオンにするかオフにするかを選択できる。ペダルボードに組み込む際などに活用すると便利だ。



試奏動画 Strymon | Fairfax & Canoga
製品概要 Strymon | Fairfax & Canoga
●入出力(共通):インプット、アウトプット
●コントロール:[Fairfax]DRIVE、LEVEL、SAG、[Canoga]DRIVE、LEVEL
●スイッチ:[共通]オン/オフ、[Fairfax]BRIGHT off/on
●電源:[Fairfax]DC9V(500mA)、[Canoga]DC9V(50mA)
●サイズ:[共通]72(W)×110(D)×40(H)mm
●価格:オープン・プライス



