インターヴァルズのアーロン・マーシャル、「ライヴではあえてアルバムと異なるアプローチをする」/ 2018来日『THE WAY FORWARD』インタビュー

インターヴァルズのアーロン・マーシャル、「ライヴではあえてアルバムと異なるアプローチをする」/ 2018来日『THE WAY FORWARD』インタビュー

アーロン・マーシャル

モダン・インストはみんな同じように聴こえてしまうリスクがある

YG:「A Different Light」はラテンのリズムが際立っていて、他の曲とはまた違うテイストですね。

AM:これはコード進行を構築した後、グルーヴやメロディーを作っている最中に「ラテンっぽくした方がいいんじゃないか」とひらめいて打ち込みしたんだ。ただこれは初の試みってわけではなくて、元々『A VOICE WITHIN』(’14年)というアルバムに収録されている「Moment Marauder」という曲にもラテンの要素が含まれているよ。

YG:「Belevedere」はR&Bやポップスから影響を受けたようですが、こういったギター・ミュージックではない音楽ジャンルから刺激を受けるのはインターヴァルズの音楽にとって重要な要素なのでしょうか?

AM:物凄く重要だよ。俺はあらゆるジャンルからインスピレーションを受けることを本当に大事にしている。モダン・インストゥルメンタル・ミュージックというのはそうじゃないと、みんな同じように聴こえてしまうリスクがあるんだ。だからこそ今まで影響を受けたものを、どのように楽曲に取り入れるかが個性を発揮する鍵になる。ギターというのは無限の可能性を持った楽器であり、同時に音色に関しては意外に限定されている部分もあるから、そういった意識を盛り込まないと狭いジャンルのカテゴリに収まってしまいがちなんだ。今回のアルバムに関しては、俺が生まれた’80年代から’90年代にかけての音楽を全体的に再現する狙いがあった。例えば初期のTLCやデスティニーズ・チャイルド、アッシャー、ジャスティン・ティンバーレイクのような’90年代終わりに流行った音楽からインスピレーションを受けたんだよ。そういった音楽が大好きなのもあって、作曲面でこのようなジャンルに着目したらどうなるかっていうのが今作の狙い目だったんだ。この曲はライヴでやると、思わず歌い出してしまうようなお客さんもいて楽しいよ。

YG:「The Waterfront」はまさに水面を彷彿とさせる幻想的な楽曲ですが、情景や環境をインストで表現するのは、歌詞がない分難しく感じませんか?

AM:良い質問だ。確かにヴォーカルがいるとより具体的に解釈できるけど、インストは歌詞がない部分さらに想像が広がるんだ。俺自身、こういうスタイルの曲は大きくイメージを膨らませながら作るしね。ちなみに「The Waterfront」はトロントが真冬の時に作った曲で、オンタリオ湖に面している自宅のアパートから眺める景色は、氷と雪しか見えないほど真っ白だったんだ。そういった環境の中で書き進めていったら、景色とぴったり合ったような気がしてこの曲名にしたんだよ。だから厳密には情景から曲を作ったというより、たまたま作った曲が湖の世界観と合致していただけなんだ。

YG:ありがとうございます。ではアルバムのレコーディングで使った機材を教えてください。

AM:ええっと…、凄くいっぱい使ったよ(笑)。まず、アルバムに収録されている音源はすべて、D.I.を通してリアンプしたものなんだ。アンプはよく吟味して選んだものを使ったよ。バッキングとリードに使ったメインのディストーション・サウンドには、サーの“PT-100”。あとはメサブギーの“TC-50”だな。こちらは、低域の歪みが強調されたテクスチャー的なサウンドなどを作ったり、クリーン・サウンドを出すのに良いんだ。ペダルは山ほど使ったから覚えていないな…。ギターは主にサーで、レコーディング用に数本選んだ。それから、とあるフェンダーのテレキャスターを見つけてね…ネックがローズウッドになっているモデルだ。ピックアップはフィッシュマンのものを2基搭載している。

YG:フィッシュマンのピックアップが標準搭載されたテレキャスターは見たことがありませんが、後から載せたのでしょうか?

AM:そうだよ。実は、アニマルズ・アズ・リーダーズのトーシン・アバシが俺にプレゼントしてくれたんだ。数年前、彼らとプリニと俺で一緒にツアーをしていた時、ツアー・バスが“Guitar Center”という楽器店の駐車場に停まった。うたた寝をしていた俺は目が覚めたので、さっき話したサイモンと一緒に店の中に入ったんだ。そこで俺達は、ローズウッド・ネック仕様のテレキャスターを見つけて、2人でそのギターをぼーっと眺めていてさ。そしたらサイモンが「お前、このギターは買わないよな」と言ってきた。10分前に起きたばかりで寝ぼけ眼だった俺は「買うよ!」と言いながらツアー・マネージャーの所に行き、金をもらってそのギターを買ったんだ。まるで、「俺だって衝動買いするんだぜ」って見せつけるかのようにね(笑)。ライヴ会場に着いたら、トーシンが「その楽器、一体どうしたの!?」と驚いていたよ(笑)。「いや、俺にもよく分からないんだけど、買ってしまった」と答えたら、フィッシュマンのピックアップをくれたんだ。取り付けてみたら凄く相性が良くて申し分ないサウンドだし、とっても気に入ってるよ。新作でも大活躍だった!

YG:そんな経緯があったとは(笑)。ちなみに「Touch And Go」のプレイスルー動画で使っているアリスティデス製のギターは?

AM:アリスティデスも凄く良いギターだよね。でも、今回のレコーディングでは使ってない。どちらかというとライヴ向けかな。

YG:では最後に、日本のファンにメッセージをお願いいたします。

AM:昔から応援してくれてる人も、最近知った人達もインターヴァルズを見つけてくれて本当にありがたいよ! 今回のライヴに来てくれた人に対しても、感謝でいっぱいだ。日本でアルバムをリリースできるのは本当に嬉しいし、すっかり魅了されてしまったから、またみんなと一緒にいろんな経験ができると良いな。君達がギター・インストの世界に興味を持ってくれたおかげで、カナダのギター少年はこうやって日本に来られたんだ!

INFO

INTERVALS - THE WAY FORWARD

THE WAY FORWARD/INTERVALS

CD | The RED Project|2018年9月5日発売

アルバム詳細

公式インフォメーション
INTERVALS