NEW ERA／エレジー・オブ・マッドネス

イタリアの鍵盤奏者（チェロ兼任）含む５人組ゴシック・メタラーの3rd。前２作は未聴だが、少なくとも本作ではドイツのキサンドリア辺りに近い、フィメール・ゴシックのお手本のような路線が志向され、とても無名バンドとは思えない安定したクオリティを感じさせる。ドラマティック＆ロマンティックな様式美、適度なデジ風味、微量のアグレッション…と、バランス感覚にも長けているし、ギタリストのテクが少々心許ない点だけは気になるものの、ソプラノ・シンガーも重厚なシンフォニック音像も決して悪くない。自分達にしかない強力な個性を確立することができれば、頭ひとつ抜け出す存在になれるはず。

【文】奥村裕司