TRUE THRASH FEST 2018:2018.2.12 @江坂MUSE HALL ライヴ・レポート

TRUE THRASH FEST 2018:2018.2.12 @江坂MUSE HALL ライヴ・レポート

とてつもなくアルコホリックな饗宴!

続いての登場は、カナダのレイザー。’83年結成で、’85年にアルバム・デビューを飾り、’92年に一度は解散の道を選んだものの、’97年に再結成したベテランだ。彼等も’11年の“TTF”参戦が初来日で、その模様は『LIVE! OSAKA SAIKOU』(’16年)として作品化。近年は活動ペースを落とし、ライヴもあまり行なっていないそうだが、「“TTF”10周年とくれば、来ないワケにはいかない!」と再来日してくれた。聞くところによれば、唯一のオリジナル・メンバー:デイヴ・カルロ(g)は大病を患い、弱視で足腰も弱ってきているとのこと。されど、阪神タイガースのキャップとユニフォームをまといステージに立つその姿、ソリッドかつパワフルなギター・プレイからは、そんなことなど一切感じられない。

正にバンド名通り──ひたすらシャープに、正確に刻まれるリフは、歪み具合も音圧もスラッシュ・ギターの理想形と言え、エッジの立ったトーンで切り込んでくるリードも、アーミングやピック・スクラッチを盛り込んだオブリガートも、とにかく全く過不足ない。シングル・ギターなのに、ソロ・パートでもあまり音の薄さが気にならないのは、ドラム・ビートがタイトかつラウドなのに加えて、やはりギター・サウンドがベストだからであろう。演目は全12曲中、デビュー作『EXECUTIONERS SONG』(’85年)から3曲、セカンド『EVIL INVADERS』(’85年)から5曲と、初期レパートリーが多め。“これでもか!”とスピード・チューンが次々繰り出され、最後に待っていたセカンド表題曲では、大量のオーディエンスをステージに上げ、ステージ・ダイヴもひっきりなしで、もはやカオス状態。わずか50分足らずの短いショウだったが、これこそスラッシュの神髄と言う他ない…!!

そして──7時間半を超える長丁場のヘッドライナーとして、また3日間に及ぶ“ANNIVERSARY SPECIAL FEST”の締め括りとして、結成35周年を迎えたドイツのタンカードがいよいよ登場! “TTF”初出演の彼等は、’99年2月以来、何と19年振りの再来日だ。現在、オリジナル・メンバーで残っているのは、ヴォーカルのゲレとベースのフランクのみ。当初はツイン・ギターを擁する5人組だったが、’95年にシングル・ギター編成になり、現ギタリストのアンディは’98年に加入している。ビア・スラッシャーとも呼ばれるだけあり、メンバーはみんなビール大好き。特にゲレの呑みっぷりは尋常でなく、この日もドラムの横に大量の缶ビールを用意。80分弱のショウで、恐らく20本近く空けてしまったのではないだろうか。(そのうち何本かは観客に手渡したり、そのまま口に直で注いだりしてもいた)

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驚いたのは、その演奏がヘドバン必至のアグレッションに満ち満ちていて、それなりに安定もしていたこと。いや…決してバカにしているワケではない。というのも、初来日時の彼等は、思いのほかヘタっぴで、ステージ運びも間延びしていて、スラッシーな勢いがまるで感じられなかったのだ。ところが、19年の月日はバンドを見事に進化・成長させ、コミカルな面はそのままに、極上のライヴ・バンドに生まれ変わらせていた。’99年当時からメンバーが変わっていないなんて、とても信じられないぐらいに。スラッシュ愛の深さもハンパなく、ゲレが「誰もスラッシュなんてやりたがらなかった時も、俺達はスラッシュをやり続けていた──この曲みたいにな!」とMCし、『THE TANKARD』(’95年)から「Minds On The Moon」が始まった時は、思わず胸が熱くなってしまった。

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ギターのアンディは、スラッシュ・メタル・バンドには珍しく、どちらかというと丁寧に、メロディックに弾くタイプ。だが、それも元LIGHTMARE〜SEVENTH AVENUEと聞けば納得では? ただその分、とかく突っ込み気味のドラマー:オラフが、楽曲の狂性と凶性をガッツリ引き出し、オーディエンスの暴れ衝動に火を付け、最強“ヨッパライ”キャラのゲレが、ジョークを交えながらひっきりなしに煽りまくることで、フロアの熱狂はショウが進むにつれてどんどん右肩上がりに。また、初期の代表曲や人気曲だけでなく、近作からのナンバーでも、サビの大合唱や「オ〜オ〜オ〜♪」といったシンガロングによって、現場の一体感は高まる一方だった。アンコールの最後には、もうビールも尽きた…とばかりに「(Empty)Tankard」(’86年『ZOMBIE ATTACK』収録)をプレイ。ゲレがビール腹を揺らしながら観客の中へダイヴして、とてつもなくアルコホリックな饗宴は、心地好い疲労感と共に幕を閉じたのである…。

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来年の開催が早くも今から楽しみな“TTF”──マニアによるマニアのためのスラッシュ祭典は、きっと次回もヘドバンとモッシュが荒れ狂い、サークル・ピットが渦を巻き、ステージ・ダイヴの坩堝と化すに違いない…!!

TANKARD: TRUE THRASH FEST 2018 @江坂MUSE HALL セットリスト 2018.2.12

1. One Foot In The Grave
2. The Morning After
3. Zombie Attack
4. Not One Day Dead
5. Rapid Fire (A Tyrant’s Elegy)
6. Rules For Fools
7. Die With A Beer In Your Hand
8. Minds On The Moon
9. R.I.B. (Rest In Beer)
10. Rectifire
11. Chemical Invation
[Encore]
12. Alien
13. A Girl Called Cerveza
14. (Empty) Tankard

☆“TTF”は物販の品揃えもマニアック!

☆大阪の名物カレー屋:カレイヤーも出店!
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