【PART 1】世界最大級のメタル・フェス、堂々開幕!
毎年7月末〜8月初頭の夏真っ盛りの時期に、木・金・土の3日間に亘って行なわれるWOAだが、メインとなるエリアがまだ開いていない水曜日から、広大なフェスティヴァル・エリアのあちこちでは、もう各種イべントがスタートしている。
そもそもWOAには、大小様々なサイズのステージが点在。インフィールドと呼ばれるメイン・エリアに設置された3つの大型ステージ以外にも、“世界最大”を謳う巨大テント“ブルヘッド・シティ”内のW:E:Tステージ&ヘッドバンガーズ・ステージ(HEADBANGERS STAGE)、さながら“中世村テーマパーク”といったヴァッキンガー・ヴィレッジにあるヴァッキンガー・ステージ(WACKINGER STAGE)、ビア・ガーデン横のビア・ガーデン・ステージ(BEER GARDEN STAGE)、映画『マッド・マックス』やコミック『北斗の拳』風の終末世界を模したエリアにあるウェイストランド・ステージ(WASTELAND STAGE)、小劇場風のミニ・ステージ“ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル”(WELCOME TO THE JUNGLE)があり、さらには、ヴァッケン村の教会で行なわれるアコースティック・ショウ“メタル・チャーチ”(METAL CHURCH)、会場内のあちこちでゲリラ的に演奏を行なう“ウォーキング・アクト”もいるから、とにかく観客は大変だ。いつ、どこで、どのバンド/アーティストを観るのか、綿密な計画が必要となる。
いや…実際には事前の計画など不要。細かくスケジュールを決めておくことなく、行き当たりばったりで何でも観まくり、楽しむのもまたオツなもの。どこへ行っても何かしらやっているので、未知なる出会いを求めてフラついたり、色んなステージを観て廻るのもイイかもしれない。
テント内の2つのステージでは、この水曜と翌木曜に“W:O:A Metal Battle”が開催されるので、それを目当てに集まってくるオーディエンスも少なくない。“Metal Battle”とは、新人発掘を目的としたバンド・コンテストで、’04年に始まり、今年で第15回目を迎える。毎年、世界各地で予選を勝ち抜いた各国代表バンドがWOAの地で激戦を繰り広げるのだが、近年では30ヵ国前後が参戦。その中には、インドや中国、インドネシアやレバノン、エジプト、コーカサス地域なども含まれ、’12年より日本からも代表を送り込んできた。ちなみに、今年の日本代表は酔いどれスラッシュ・トリオのエンド・オール。但し、彼等の出番は木曜だったので、そのステージの模様は後述することにしよう。
ところで、W:E:T&ヘッドバンガーズ・ステージってどれぐらいの規模だと思います? “テント・ステージ”…と言われると、そんなに大きくないような気がしますよね? 確かにこの手の野外フェスだと、まぁ1000人以下でも普通で、大きくても数千人といったところだと思う。しかし、“The biggest tent in the world”“maximum tent”などと呼ばれるだけあって、“ブルヘッド・シティ”は正に規格外だ。何と、1万人超を収容することが可能らしい。何せステージが2つ並べられているのだから、実際その内部はとてつもなくデカい。
それだけの規模だから…というワケではないだろう、テント・ステージとはいえ、そこにはビッグネームも出演する。例えばこの日は、バックヤード・ベイビーズやナザレス、フィッシュなど。中でも、英ハード・ロックの大ベテランであるナザレスが特に印象的だった。
’68年結成だから、今年で50周年ということになるが、既に往年のメンバーは殆どいなくなり、今も残るオリジナル・メンバーはベースのピート・アグニューただひとり。だが、そんなことはどうでもイイ…と言いたくなるぐらいに素晴らしいショウだった。「Silver Dollar Forger」(’74年『RAMPANT』収録)でダイナミックに幕を開け、3曲目に早くも「Razamanaz」(’73年『RAZAMANAZ』収録)が炸裂し、以降も「Hair Of The Dog」(’75年『HAIR OF THE DOG』収録)や「Love Hurts」(’75年のヒット・シングル)など、ヒット曲&代表曲&人気曲が次々…! 正直、現ギタリスト:ジミー・マリソン(’94年加入)のプレイはそこそこだったものの、何よりカール・センタンス(’15年加入)のヴォーカルが見事と言う他なく、多くの楽曲で大合唱も起こっていた。