WACKEN OPEN AIR 2018 ライヴ・レポート特集

2018.8.1〜8.4 @ Wacken, Schleswig-Holstein, Germany

レポート&写真(★印を除く)●奥村裕司 Yuzi Okumura

【PART 5】アーチ・エネミー&ハロウィンでクライマックス!

注目度抜群のジャパニーズ・ガールズ・バンド!!

さてさて、最終日です。毎年、「最後まで体力がもつかなぁ…」なんて思いながら会場入りするのだが、いつも終わってみれば4日間なんてあっという間。それでも3日目を過ぎると、オヤジ・メタラーの体力はそろそろ限界に近づいてきており、最後は気力で何とか乗り切る…というのがここ数年のパターンだ。ただ、いざステージ前に行けばアドレナリンとかドーパミンが大量分泌されるのか、すっかり疲れきっているハズなのにテンション上がりっ放し…ってな状況になることもしばしば。やっぱりメタルの魔力はとてつもない!

相変わらず天気も良好で、朝から青空が広がっている。女子の皆さんは日焼け止めが必須ですよ〜。いや、日に焼けても赤くなって終わり…という人以外は、男女関係なくみっちり塗り込んでおいた方がイイだろう。もっとも、昨日までと比べると雲がけっこう多めなので、その分ちょっとは過ごし易い。もしかしたら、夜にはひと雨あるかも…なんて、起きた時点では思ったりもしたのだが、結果については言うまでもない。

青空

ヴァッケン印のアイスクリーム(ブラック・バニラ味)

▲バックステージ限定ながら、猛暑の今年、ヴァッケン・アイス(モナカ)が初登場! 何と“ブラック・バニラ味”で、実際にバニラ・アイスは真っ黒!!(でも味は普通に美味しいバニラでした)

この日、インフィールドで演奏が始まるのは正午から。でも、テント・ステージでは連日午前11時に最初のバンドが登場するので、のんびりはしていられない。というか、11時25分にW:E:Tステージでジャパニーズ・ガールズ・バンド:LOVEBITESがWOAデビューを飾るのだ。そこで、開演5分前頃にW:E:Tステージへ行ってみたところ、もうかなりのオーディエンスが集まっていた。ザっと見て、軽く3000〜4000人はいるだろうか。土曜日のお昼前に、日本の新人バンドがこれだけ集客出来るなんて普通に凄い。みんな最終日は疲労がピークに達し、また酷い二日酔いもあって、なかなか起きてこないのに。要は、それだけ彼女達への注目度が高かったということだ。

LOVEBITES:miyako
LOVEBITES:midori

いざ演奏がスタートすると、観客の反応は上々。バンドのパフォーマンスも堂々としており、演奏力の高さでも、きっとドイツ(+その他各国)のメタル・ファンを唸らせたことだろう。その後のインフィールドへの移動を考え、10〜15分ほど観てブルヘッド・テントを離れることにしたが、W:E:T側はかなり後ろの方まで人で埋まっており、ステージ前はなかなかの熱量で大いに盛り上がっていた。

FASTERステージはスルーさせてもらって、そのままLOUDERステージへ移動すると、程なく本日の一番手:ライオット(ライオット・ファイヴ)のショウがスタート! いきなり「Thundersteel」で幕を開けると、オーディエンスは一斉にヘドバンに興じる。暑さのせいか、マイク・フリンツのプレイにはいつものキレがなかったが、その愛弟子ニック・リーは、炎天下でも元気いっぱい。ステージ狭しと走り回り、随所でギターを抱え上げ、何度も観客の方へ身を乗り出し、さらなる熱狂を引き出していた。

ライオット:マイク・フリンツ、ニック・リー、ドン・ヴァン・スタヴァン

続いて、HARDERステージのオープナーを務めたのはフィンランドのウィンターサン! 彼等がWOAのステージに立つのは’06年以来、実に10年以上ぶりだ。その間に紆余曲折あり、元々ギター兼任だったフロントマン:ヤリ・マーエンパーはヴォーカル専任となり(但しライヴに限ってのことで、スタジオ・レコーディングでは変わらずギターをバリバリ弾く)、現ギター・チームはテーム・マントゥサーリ&新顔のアシム・セアラーに。ヤリの信頼も厚い2人は、まだコンビを組んで1年とちょっとながら、それ以前から顔見知りだったのもあってか、息の合ったプレイを連発。ステージ上でもストイックにギターと向き合う前者、常に観客を煽りながら前へ前へ出てくる後者…と、全くタイプが異なるのも逆に功を奏したのかもしれない。

ウィンターサン:ヤリ・マーエンパー&テーム・マンティサーリ
ウィンターサン:アシム・セアラー

以降も2つのメイン・ステージには、スコットランドの酔いどれパイレーツ・メタラー:エイルストーム、理知的轟音で独特な世界観を構築するフランスのゴジラ、’80年代ヘア・メタルをおバカに&お下劣に甦らせるスティール・パンサーなどが次々に登場。一方、LOUDERステージでは、地元ドイツの変態度高めなエクストリーム・メタラー:ディー・アポカリプティッシェン・ライターが、ゴジラの真裏でメインを吹き飛ばさんばかりの盛り上がりを見せた。そして──ライヴ作品化もされた’16年のWOA出演ショウで、全世界的な人気と知名度をさらに高めたスウェーデンのアーチ・エネミーが、20時ちょうどにFASTERステージへ登場する頃、いよいよフェスはクライマックスへ…!

エイルストーム
スティール・パンサー:サッチェル
ディー・アポカリプティシェン・ライター:アディ&フォルク・マン
ゴジラ:ジョー・デュプランティエ

史上最大級の観客が夢中になったフル・パンプキン・ショウ!

今回もパイロを駆使したスケールの大きな演出で大観衆を魅了したアーチ・エネミーは、今まさにライヴ・バンドとして最高の状態にあることを、改めて全力でアピール。マイケル・アモット&ジェフ・ルーミズのメロディアスかつエモーショナル、アグレッシヴかつスリリングなギター・ワークに、何千というギター・フリークが釘付けとなり、圧倒されまくっていたのも言わずもがなだ。

アーチ・エネミー:マイケル・アモット&ジェフ・ルーミズ

アーチ・エネミー:アリッサ・ホワイト=グルーズ

そんな中、フェスティヴァル・エリアにちょっとした異変が…。2つ並んだメイン・ステージの向かって左側で、未だアーチ・エネミーが絶賛激奏中にもかかわらず、その反対側にどんどん観客が詰め掛け、みるみるうちに膨れ上がっていったのだ。その異常事態には、思わず目を疑ってしまった。というのも、まだ演奏が始まっていないLOUDERステージ側の方が、明らかにFASTERステージ側よりも集客人数が多かったから…。

こんなことは、そうそうあるものではない。初めてアイアン・メイデンがWOAに出た’08年にも、同様の光景を目の当たりにしたが、恐らくこれで2度目だろう。そう──次に控えしは、“PUMPKINS UNITED”として新旧メンバーがかつての絆を取り戻し、奇跡の再会を果たしたハロウィンである。ハンブルクで結成された彼等にとって、ヴァッケンはほぼ“ホーム”も同然。よって、WOA史上でも最大級の大群衆が、地元のヒーローの晴れ舞台を一目見ようと詰め掛けたのである。

通常、WOAのヘッドライナー級の持ち時間は90分とかそれぐらい。昨年、3部構成のスペシャルなショウを行なったアクセプトだって、併せて2時間という感じだった。されど、ハロウィンの“PUMPKINS UNITED”はたっぷり2時間半! つまり、ヘッドライナー・ツアーの演奏時間と同等ということ。これは正に破格の待遇だ。昨年秋から長い長いワールド・ツアーをコナしてきた当のメンバー達にとっても、忘れられない一大イベントになったことだろう。

ハロウィン

当然、大作「Halloween」で始まったショウは、とんでもない盛り上がりに…! カイ・ハンセン、マイケル“ヴァイキー”ヴァイカート、サシャ・ゲルストナーのトリプル・ギター揃い踏みに、新旧いずれものファンが酔い痴れ、マイケル・キスクとアンディ・デリスのツイン・ヴォーカルに合わせて、みんな声を枯らして歌い、叫びまくる。勿論、カイがヴォーカルを執る初期曲メドレーも圧巻だったし、新曲「Pumpkins United」も堪能したし、マイケルが歌う「Eagle Fly Free」はいつ聴いても最高だし、映像の中の故インゴ・シュヴィヒテンバーグがダニー・ルブレとヴァーチャル対決するドラム・ソロ・バトルには、今回もウルウルさせられた…。

ハロウィン:アンディ・デリス&マイケル・キスク
ハロウィン:サシャ・ゲルストナー、カイ・ハンセン、マイケル・ヴァイカート、マーカス・グロスコフ
ハロウィン:マイケル・ヴァイカート&カイ・ハンセン
ハロウィン:カボチャ風船

結局、WOAならではの“スペシャル”は特になかったものの、“PUMPKINS UNITED”のフル・ショウをここで観ること自体がスペシャルだった…と言いたい。実際、カボチャ色の巨大な風船ボールが飛び交う中、大合唱に包まれた「I Want Out」にはちょっと鳥肌が立ったし、終演直前に打ち上げられた花火が、心地好い余韻と共に“祭”感をより高めてくれたことも特筆しておこう。

しかし──これで終わりではない。WOAのような巨大フェスでは、最後に演奏するバンドがヘッドライナーではなく、すっかり日が暮れて夜空となり(日没は21時半を過ぎてから)、ちょうど日付が変わる時間まで最も長く演奏するバンドがヘッドライナーなのだからして、ハロウィンの出番が終わっても、まだお楽しみは続く。振り返ってみれば、テント・ステージのノクターナル・ライツとかエンスレイヴドとかボンファイアとか、ヴァッキンガー・ステージのSKILTRONとかHEIDEVOLKとか、今日も観逃してしまったバンドが多数。色々と無理すれば、何とか観に行けたかもしれないのだが…。

メイン・ステージでは、残すところあと2組。FASTERステージの最後を務めるディム・ボルギルと、HARDERステージでクロージング・アクトを任されたIN EXTREMOだ。まるで暗黒儀式のような雰囲気を漂わせながら、シレノス&ガルダーがツイン・ギターを重厚に響かせ、背徳のシンフォニーを奏でる前者、中世古楽とメタルを融合させ、ドゥーデルザック(バグパイプ)やハープが乱舞する後者…と、それぞれに独創的かつ個性的な世界観でもって、4日間に及ぶ鋼鉄祭典は、8月4日の深夜をもって締め括られた。

ディム・ボルギル:ガルダー
ディム・ボルギル:シレノス

IN EXTREMO

最終日の夜になって、ようやく空気がひんやりしてきたが──それにしても、今年は本当にただひたすら暑かった。こうなると、その反動で来年は…と空恐ろしくなってくる。’19年、第30回の節目を迎えるWOA。実をいうと、既にチケットは完売済み。サバトンやオーペス、ハンマーフォールやウィズィン・テンプテーション、パワーウルフやメシュガーなど、幾つか出演バンドが発表されているとはいえ、ちょっとビックリだ。まぁ、みんな30周年ということで色々と期待しているのだろう。それではまた来年もお会いしましょう〜。

SEE YOU IN WACKEN 2019…RAIN OR SHINE!!!!

ハロウィン:花火

ハロウィン“PUMPKINS UNITED” @ WACKEN OPEN AIR 2018.8.4 セットリスト

1. Halloween
2. Dr. Stein
3. I’m Alive
4. Are You Metal?
5. Perfect Gentleman
6. Starlight / Ride The Sky / Judas (Kai Hansen Medley)
7. Heavy Metal (Is The Law)
8. A Tale That Wasn’t Right
9. If I Could Fly
10. Pumpkins United
11. Drum Solo
12. Livin’ Ain’t No Crime
13. A Little Time
14. Why?
15. Rise And Fall
16. Sole Survivor
17. Power
18. How Many Tears
[encore 1]
19. Eagle Fly Free
20. Keeper Of The Seven Keys
[encore 2]
21. Kai Hansen guitar Solo
22. Future World

ヴァッケン2019フライヤー