現代最高のテクニックを持つギタリストの1人、ガスリー・ゴーヴァンを擁するジ・アリストクラッツがこの8月、2度目の来日を果たす。彼らは’11年7月、デビュー作『THE ARISTOCRATS』をリリースする前に初来日しているが、この時はバンドが結成されて間もない時期の上にアルバムがまだ出ていなかったため、観客がアリストクラッツの実態を知らない状態でライヴに臨むという状況だった。しかし、昨年発表された2nd『CULTURE CLASH』は日本盤でのリリースも実現しているため、現在このバンドに対する認知度は前回と比べ物にならないと言えるだろう。
その来日公演が迫る今、‘13年8月号に掲載されたガスリーのインタビューの未発表部分をここに特別公開しよう。アリストクラッツというバンドの特異性について語っている部分が特に抜粋されているので、彼らがいかなるバンドなのか、まだ未聴という人は参考にしてもらいたい(逆に謎が深まる可能性も高いが…)。
バンドとしてのケミストリーが演奏している音楽の種類に影響されずに現れる
YG:ジ・アリストクラッツの曲は、インプロヴァイズのスペースがありながら、実は綿密にアレンジされたものですよね。例えばガスリーは、どの程度の完成度のデモを作っているんですか?
ガスリー・ゴーヴァン(以下GG):デモの“作り込む”部分に関して言うなら、非常に緻密に作り上げて、デモの時点でほぼ完成という状態まで持って行くことも時にはあるけど、いつもどこかに“ゆるい”部分を入れるようにしているんだ。そうすることでインタープレイを入れられるからね。僕達が一緒に演奏していると、そういったものが自然に出てくるようだよ。
YG:1stアルバムをリリースする際、「1つ目標にしていたのは、ロックのアティテュードを貫くということだった」とガスリーは話していました。そこは2ndでも同様?
GG:いや、もっと自由だった。ブライアン・ベラー(b)、マルコ・ミンネマン(dr)と一緒にプレイしているうちに気づいたんだけど、僕たちには特定の音楽的アプローチに従う必要がないんだ。3人の間にはバンドとしてのケミストリーがあり、それが演奏している音楽の種類には影響されずに現れるようだ。だから、もっと自由に探索し、何でも書いていいんだという気持ちだったよ!
YG:ガスリーが作った「Culture Clash」は、様々なテーマ・フレーズがあってテンションの高い曲ですけど、こういう曲をスタジオでライヴ・レコーディングするところが、このバンドの真骨頂なのでは?
GG:僕にはアリストクラッツの真価というのが、一体何なのかは分からないね。僕に分かっているのは、このバンドならどんなクレイジーで訳の分からない曲でも書き放題ということだ。マルコとブライアンには、何だって苦もなく演奏できるという自信がある。自分たちの持っているアイデアを実現させられるのかどうかなんて、全く気にする必要がない。つまり何をやってもいいという自由があるんだ!
YG:「And Finally」のようなガスリー作の曲は、ギター・パートがかなり綿密にアレンジされていますが、まとめるにはかなり時間がかかったのでは?
GG:残念ながら、どんな風に曲が出来て行ったかは説明出来なくてね…。僕たちにとって曲作りというのは、本当に抽象的なプロセスなんだよ。デモを録った時は、曲の形が出来てくるまでギターとベースをとっかえひっかえしながら作業していた事だけは覚えているよ!
YG:ガスリーが書いた曲には、マルコとブライアンが書いた曲よりもインプロヴァイズのスペースが多いように感じます。自分ではどう思います?
GG:それはどうかな…。多分全員の曲に即興をやれるだけのスペースがあると思うよ。そして3つの楽器すべてに音楽的な自由が振り分けられている。例えば「Ohhhh Noooo」には長いベース・ソロがあるし、「Louisville Stomp」ではスリリングなドラムによるブレイク部分もあるからね。
YG:こういう曲は、メンバーにデモ音源以外に、譜面も書いて渡す?
GG:1stアルバムを作った時のブライアンと僕は、かなり細かく譜面を書いたんだけど、2ndでは(1人が書いた曲を)全員が耳コピしたんだ。そもそも、誰も譜面を書く時間がなかったんでね!
THE ARISTOCRATS Japan Tour 2014
日程:8月19日(火)
会場:川崎 CLUB CITTA’
開場:18:30 開演:19:30
日程:8月20(水)
会場:大阪 BIG CAT
開場:18:30 開演:19:30
詳細・お問い合わせ:CLUB CITTA’ TEL 044-246-8888
THE ARISTOCRATS -ジ・アリストクラッツ-/ CULTURE CLASH TOUR -S.E. ASIA 2014