「お前らリズムが保てないのか? 一番基本的なことなのに?」ミック・トムソン/スリップノット 最新インタビュー抜粋 ヤング・ギター9月号

「お前らリズムが保てないのか? 一番基本的なことなのに?」ミック・トムソン/スリップノット 最新インタビュー抜粋 ヤング・ギター9月号

8月10日発売のヤング・ギター2019年9月号『スリップノット特集』内に掲載されるインタビューの一部を先行公開! ご予約はこちらから。 

ジム・ルートのインタビューもチェック!

続いては“#7”こと、ミック・トムソンのインタビューをお届けしよう。ジムの場合も同様だったが…、今回のインタビューが行なわれたのは6月上旬のことで、バンドに取材を行なうジャーナリストにはニュー・アルバムからファイナル・ミックス前の6曲のみ試聴が許された。取材の時点でミックによるとまだミックス途中の曲もあったりと、アルバム完成前であったためメンバー自身も最終音源を聴いておらず、ジム&ミックも新作の全体像を完全には把握し切れていない様子…。ゆえにアルバムの内容に関する質問に対しては「聴き返してみないと分からない…」「憶えてない…」という身も蓋もない答えが返ってくることもしばしば…(苦笑)。そうした部分も含めて、ミックはいつものように言葉をオブラートに包むことなく、どの質問にも真正直に──かなり饒舌に、脱線もしつつ…──答えてくれた。

お前らリズムが保てないのか?一番基本的なことなのに?

YG:スリップノットとしては6枚目のスタジオ・アルバムとなる『WE ARE NOT YOUR KIND』を完成させた今の心境は?

ミック・トムソン(以下MT):うーん…どうだろう。ここ数年スタジオに何度も入って長い間取り組んできたものではあるけど、単にその作業が終わったに過ぎないって感じかな。それに、まだミキシング途中の曲もあるし…。とはいえ、今のところの出来映えには満足しているよ。

YG:2016年8月に本誌でインタビューさせてもらった時、ミックは「すでにバンドでニュー・アルバムについての話し合いはしている」と言っていました。当時、どんなことについて話し合っていたか憶えていますか? その頃からアルバムの方向性などは固まっていたのでしょうか?

MT:いや、俺達はそういうことを話し合ったりはしないし、そんな考え方もしない。そういう人達がいるのは知ってるけど、俺には自分のことをアーティスティックに見せようとしているようにしか思えないね。「新作におけるヴィジョンは…」って、“ヴィジョン”なんてあるわけもないのにさ!(笑)。スリップノットの場合は、俺達が曲を書いて俺達がプレイすれば、それがスリップノットらしく聴こえるってだけなんだ。別にアレコレ考えているわけじゃないし、コンセプトがあるわけでもない。俺達のアルバムが毎回違ったものになっているのは、俺達がその時その時で違う人間だからだ。例えば、昔よりアグレッシヴさが減ったのは間違いないけど、また種類の違うアグレッシヴさがある。それは俺達が人間として成長したり変化したりしているからだ。それが俺達の音楽に表れているのさ。そんなわけで、俺達は“ どんな音にしたいか”という考え方はしない。ただやることをやっていれば、そういうものが現れてくるからね。ジムのギターは俺とは全然違うし、クラウンは自分の世界を持っているし、メンバーの誰にも異なるダイナミクスがある。その集合体がスリップノットの音であり、このアルバムに入っている音なんだ。今回のアルバムを聴いてみると、シングルになりそうな曲なんてないような気がする。レーベルはシングル用の曲を欲しがるけど、俺達はやりたいことをやるだけだからな。そういうことだ。

YG:前作のツアーを終えてから新作の制作に取り掛かるまで、ミック個人はどのような活動をしていましたか? リフや曲を書き溜めていたり…?

MT:俺は椅子に座って「さあ、リフを書くぞ」ってタイプじゃない。ただ家に居て、テレビがついてて、ギターをアンプにプラグインしておいて…それで自然発生的に出てくるものがあるだけなんだ。説明するのが難しいんだけど…、俺は自分が何を演奏しているかを考えてしまうと、上手くいかない気がするんだよ。俺の脳は自動操縦装置みたいな感じなんだ。もちろん脳の別の部分ではコントロールしているんだけど、それが前面に出てきて意識的に何かをやっているわけじゃない。で、とにかく俺はテレビでアメリカン・フットボールを観ながら何かをプレイしているんだ。その中で引っかかるものがあったりするんだよ。「あれ、今のはクールじゃないか」ってね。何かをやろうとしてそうなるわけじゃない。偶然出てくるんだ。そして…

この続きは、8月10日に発売されるヤング・ギター9月号をお楽しみに!