マーシャル伝説のペダルが復活! The Guv’nor、Bluesbreaker、Shredmaster、Drivemaster

マーシャル伝説のペダルが復活! The Guv’nor、Bluesbreaker、Shredmaster、Drivemaster

試奏レポート3:Shredmaster

Shredmaster
Shredmaster

Shredmaster 背面

Shredmaster 仕様

●入出力:インプット、アウトプット
●コントロール:GAIN、BASS、CONTOUR、TREBLE、VOLUME
●スイッチ:ON/OFF
●サイズ:110(W)×147(D)×67(H)mm
●重量:700g
●電源:006P(9V電池)/9VDC(センターマイナス)
●価格:27,500円(税込)

おすすめリズム・サウンド・セッティング

Shredmasterリズム用

▲CONTOURを極端に上げたセッティング。スーパー・ローがゴンゴンと鳴り、リフを刻むのにピッタリ。ただしBASSは控えめで音が潰れるのを防いでいる。

おすすめリード・サウンド・セッティング

Shredmasterリード用

▲CONTOURを11時方向まで抑え、GAINとBASSを上げたセッティング例。豊かなミドルがあり、歪みや低域の太さもある滑らかなリード・トーンを目指した。

今回紹介する4モデルの中で、最もハイ・ゲインなペダルがこの“Shredmaster”。名前からも分かる通り、当初はヘヴィ・メタルのシュレッド・ギタリストをターゲットに開発されたが、オルタナティヴ・ロックのギタリストからも熱烈に支持を集め、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが愛用していたというのは有名な話だ。実際に、滑らかなハイ・ゲイン・サウンドを作り出せるのはもちろん、ファズを使ったような歪みの壁を作るのにも適している。しかもしっかりと歪みつつ、抜けを調整できるのでファズより使いやすいかもしれない。また、ロー・ゲイン設定でも良い歪みが得られ、想像以上に多彩な音を作ることができる。

しかし、セッティングにはちょっとしたコツがいるようだ。本機の音作りの鍵になるのがCONTOURノブの設定。CONTOURは一般的に「中域をどれだけ削るかを調整するつまみ」として認識されているようだが、実際に弾いてみると低域と高域にも影響し(公式のマニュアルにも記載されている)、特に低域への影響は非常に大きいと感じた。CONTOURを右に回すと中域に加えて低域の一部も削れるが、低域のさらに下の方が猛烈に張り出してきて、歪み量も増す。歪みのニュアンスもジャリジャリとした感じで凶悪なサウンドに変化する。CONTOURは15時方向くらいから急激に効いてくるので、ここより上げるか、それ以下に抑えるかを目安にすると音を作りやすいだろう。思い切ってCONTOURを下げたサウンドはミドルが豊かなリッチでスムーズなサウンドなので、それもぜひ試してほしい。

試奏レポート4:Drivemaster

Drivemaster
Drivemaster

Drivemaster 背面

Drivemaster 仕様

●入出力:インプット、アウトプット
●コントロール:GAIN、BASS、MIDDLE、TREBLE、VOLUME
●スイッチ:ON/OFF
●サイズ:110(W)×147(D)×67(H)mm
●重量:700g
●電源:006P(9V電池)/9VDC(センターマイナス)
●価格:27,500円(税込)

おすすめリズム・サウンド・セッティング

Drivemasterリズム用

▲“Drivemaster”のEQは歪み量と密接に関係しているため、リズム・サウンドでは歪ませすぎないためにGAINだけではなくEQも抑えめにするのがポイント!

おすすめリード・サウンド・セッティング

Drivemasterリード用

▲リード・セッティングではGAINをグッと上げ(11時方向→15時方向)、EQも全体的に上げて(12時方向→15時方向)、歪み量とサステインを稼いでいる。

“Drivemaster”は元々、1988年に登場したオリジナルの“The Guv’nor”の後継機種として、1990年代初頭に回路の簡素化や低域のゲインを加えるなどのアップデートを施して登場したモデルなので、今回の復刻版もサウンドの傾向としては“The Guv’nor”にかなり近い。コントロールもGAIN、BASS、MIDDLE、TREBLE、VOLUME(LEVEL)と、“The Guv’nor”と同じだ。では、何が違うのか。イメージとしては、’70s〜’80sサウンドを得意とする“The Guv’nor”、’80s〜’90sサウンドを得意とする“Drivemaster”という感じ。同じクラシック・ロックのサウンドを得意とする歪みペダルながら、“The Guv’nor”はややブルージーな味付けで、“Drivemaster”の方が僅かにモダンなのだ。さらに言うと“Drivemaster”はサウンドの重心が“The Guv’nor”よりもやや低く、高域の成分もよりギラついている。また、“The Guv’nor”は明るくオープンな鳴り方なのに対し、“Drivemaster”はもう少し音に芯があり、圧があって、塊のまま前に出てくる印象。“Drivemaster”の方がよりスタック・キャビネット的な鳴り方とも言える。

いずれのペダルもシングルコイル、ハムバッカーどちらでも良い音だが、特にハムバッカーとの相性は最高だ。今回の試奏で、“Drivemaster”が名機として名高い“The Guv’nor”に勝るとも劣らないモデルだと分かった。粘りのあるクランチ・サウンドから切れ味鋭いディストーション・サウンドまでカヴァーし、“The Guv’nor”よりはややモダンな味付けの“Drivemaster”は、復刻を機に改めて評価が高まりそうなモデルだと言える。

※本記事はヤング・ギター2023年5月号に初掲載されたものを転載しています。なお、誌面の163ページに掲載されているゲイリー・ムーア『STILL GOT THE BLUES』裏ジャケットの解説につきまして、コンボ・アンプの名称が“1962 Bluesbreaker”となっていますが、正しくは“1974”です。訂正してお詫びいたします。