去る4月〜5月に行なわれた氷室京介“LAST GIGS”にて、DAITAと共にサポート・ギタリストとして活躍していたのが、L.A.を拠点に活動するYukihide YT Takiyama。
彼は氷室の2010年作品『”B”ORDERLESS』で編曲に全面的に携わったことで一躍有名になった、近年最もスター性を感じさせる注目株の1人だ。
ここでは開演前のサウンド・チェック時、彼自身にわざわざ時間を割いて撮影してもらった機材写真を特別に公開させていただこう。
YTの本誌初インタビューは2016年7月号に掲載されているので、そちらもぜひチェックされたし!
ギター
ESP : YT Custom V “B-lu”
YTのシグネチュア・モデルとして発表される予定のニュー・ギター。
見ての通り伝統的なVシェイプがモチーフになっているが、厚めのボディーを採用していたり、1弦側のボディーの削り方が独特だったり…と、随所に細かなこだわりが反映されている。
YTいわく「ボディーが厚いおかげで低音が太くなり過ぎる傾向があったものの、チューン・O・マティック・タイプのブリッジを採用することでタイトになった」とのこと。
材はネックとボディーがホンジュラス・マホガニー、フィンガーボードがローズウッド。
コントロールは2ヴォリューム&トーン。
ピックアップは2つともセイモア・ダンカン製で、フロントにSH-1n ’59 model、リアにSH-16 The 59/Custom Hybridを搭載している。
ESP : MA-CTM
ESPからエンドースの1本目として提供されたギター。
基本となっているのはMA-CTMだが、ピックアップは市販モデルのEMGではなく、セイモア・ダンカン製を搭載。
(フロントがSH-1n ’59 model、リアがSH-4 JB model)
またコントロール・ノブの位置もYTの好みに合わせて変更されている。
ESP : Stream-GT Classic
曲線を組み合わせた不思議なボディー&ヘッド形状を持ち、ヴィンテージ風の雰囲気を備えたESPオリジナル・シェイプ。
市販品はヴォリュームとセレクターとトーンが1直線に並んでいるが、YTの使用モデルは3つが三角形に並ぶよう配置し直されている。
材はネック&ボディーがホンジュラス・マホガニー、フィンガーボードがホンジュラス・ローズウッド。
ピックアップはセイモア・ダンカンSH-18 Whole Lotta Humbuckerを2基搭載。
ちなみにYTがこのギターを弾いている動画を、YouTubeで観ることが可能だ。
ESP : Throbber-STD
全弦半音下げチューニングで用いられたモデルで、無改造のまま使用している。
最大の特徴は、アルダー・ボディーの中央部分にSound Reserverと名付けられた特殊なホロウ構造を採用していること。
穴はフロント・ピックアップからブリッジの下部にまで及んでおり、弦の生鳴りを稼ぐために計算された形状になっている。
(詳しくはESPのページを参照)
NAVIGATOR : N-TE-ASM
選りすぐりのスワンプ・アッシュをボディーに、1ピースのハード・メイプルをネックに用いるなど、木材にこだわり抜いたモデル。
基本的には無改造のまま使用しているが、弦高を高めに設定し、.011-.049というかなり太めのゲージ(D’ADARRIOのEXP115)を用いるなど、調整の面ではこちらも細かいこだわりが反映されている。
MARTIN : OMC41
リッチー・サンボラ(元ボン・ジョヴィ)のシグネチュア・モデルで、OMシェイプを採用。
赤みを帯びたシェイド・トップのボディーとヘキサゴン・インレイの組み合わせが非常に派手で、自己主張の激しいルックスに仕上がっている。
ちなみにYTがこのギターを弾いている動画を、やはりYouTubeで観ることが可能だ。
13th Axe – YT – Anything For Love (Jam Session)
17th Axe – YT – Six Degrees (Jam Session)
アンプ
アンプ類はボグナー製で統一している。
メインのヘッドは右上のEcstasy Customで、通常よりもハイ・ゲインなサウンドが出るようカスタマイズされた日本限定ヴァージョン。
エフェクト・ループには別写真のラック内に組み込まれている、エンプレス・エフェクツのPara EQを接続しており、主にリード時のブースト&補正のために用いられている。
また力強いサウンドを得るためか、ヴォリュームのツマミがかなり大きめに設定されており、適切な音量まで下げるためスピーカー・アウトの後ろにアッテネーター(FAUSTINEPhantom Dx2)を接続。
その下にはもう1つのヘッド、20th Anniversary Ecstasyをセット。
あくまでもバックアップとして用意されていたが、実際LAST GIGSのツアー中にメインのヘッドのヒューズが飛んだおかげで、こちらが活躍したこともあったらしい。
3台用意されたスピーカー・キャビネット412STは、中央がドライ信号用、左右がウェット信号用(信号の流れについては別項を参照)。ドライ用はノーマルなもので、ウェット用の2台はフロント・ローデッド・ヴァージョン(スピーカーをバッフル板の前面から取り付けることで、通常よりも厚みのある中低域を生み出すよう改変したもの)だ。
ペダルボード
YTの足下には2枚に分けられた大きめのペダルボードが設置されており、こちらの写真はその右半分だ。
信号の流れの順に、FOXROX ELECTRONICS製Octron 2(オクターヴァー)、モーリーBad Horsie 2(ワウ)、BOSS FV-500H(ヴォリューム・ペダル)、RJM製Tone Saver(バッファー・アンプ)…と並んでおり、ここから信号はラックの方へ行く。
ヴードゥー・ラブGround Control Pro(MIDIフット・コントローラー)は全体のサウンドを切り替えるために使用。
2つ用意されているチューナーのうち、ピーターソンStrobo Stomp 2はBOSS FV-500Hのチューナー・アウトに、コルグDT-10はピーターソンのアウトプットに接続されている。
曲間が短い時は反応の速いコルグを、時間をかけてシビアに調整したい時はピーターソンを…という具合に使い分けしていたとのことだ。
ラックの方に行った信号はステージ足下へ折り返し、こちらのペダルボードの左半分へ。
ペダル類は主にRJMMini Effect Gizmo(MIDIオーディオ・コントローラー)に接続されており、デジテックWhammy 5、MXRSmart Gate(ノイズゲート)、ストライモンMobius(モジュレーション)、DIAMOND PEDALSMemory Lane 2(ディレイ)、ストライモンTimeline(ディレイ)の順に信号が流れた後、アンプのインプットへ接続される。
右端にある2つのヴォリューム・ペダル(アーニーボール250k Mono Volume PedalとBOSSFV-500L)は、いずれもヴードゥー・ラブのGround Control Proに接続されており、エクスプレッション・ペダルとして使用。
曲によって、ストライモンMobius、同Timeline、デジテックWhammy 5、TCエレクトロニックG-Major 2(ラック内の写真参照)をコントロールするために用いられていた。
ラック
ステージ・サイドに置かれたラック内には、上から順にシュアUR4D(ワイヤレス・レシーヴァー)、Line 6Relay G90(ワイヤレス・レシーヴァー)、ファーマンPL PLUS(パワー・コンディショナー)、マトリックスGT1000FX(パワーアンプ)、TCエレクトロニックG-Major 2(マルチ・エフェクター)、ペダル類の入った引き出し×2、ヴードゥー・ラブGCX(オーディオ・スイッチャー)×2…がセットされている。
引き出しの上段。
前列左からMXREVH phase 90(フェイザー)、フルトーンOCD(オーヴァードライヴ)、T-レックスLuxury Drive(ブースター)、ボグナーHarlow(コンプレッサー&ブースター)。
後列左からエキゾティックRC Booster(ブースター)、320designLandmighty(オーヴァードライヴ)、BYOCのファズ。
BYOC(DIY Guitar Effects Pedal and Amplifier Kits)は自作エフェクター・キットを販売している会社で、YTが使用しているのはいわゆるラムズ・ヘッド期の“Big Muffπ”をモチーフにしたものだ。
YTいわく「より中低域が強く出るようにしてあり、かなり太い音がする」とのこと。
引き出しの下段。
前列左からフルトーンMini DejaVibe 2(ペダル型コーラス/ヴィブラート)、エレクトロ・ハーモニックスmicro POG(ポリフォニック・オクターヴ・ジェネレーター)。
後列左からエンプレス・エフェクツParaEQ(パラメトリック・イコライザー&ブースター)、ヴードゥー・ラブPedal Power 2(パワー・サプライ)。
その他
スライドバーはROCKY MOUNTAIN SLIDE COMPANY製を使用。陶器で出来ており、太く温かい音質が特徴だが、ブライトなサウンドも充分に出せるので気に入っているとのことだ。
その右側に置かれているE Bowは、磁力で弦を振動させるディヴァイスで、ヴァイオリンや管楽器のような独特の表現を行なうことができる。
信号の流れ
各写真の解説にも部分的に書いたが、ここで信号の流れをまとめて記しておこう。
ギターからワイヤレス・レシーヴァーへ飛んだ信号は、まず右側のペダルボードへ。
ボード内でFOXROX ELECTRONICS Octron 2→モーリーBad Horsie 2→ BOSS FV-500H → RJM Tone Saverと流れた後、ステージ袖のラック内にあるヴードゥー・ラブGCXへ。
ヴードゥー・ラブGCXには引き出し内のペダル類(エンプレス・エフェクツParaEQを除く)が接続されており、曲に応じて適切なものが組み合わされる。
信号はそこからステージ足下へ折り返し、左側のペダルボードへ。
主なペダル類はRJMMini Effect Gizmoに接続されており、デジテック Whammy 5、MXR Smart Gate、ストライモン Mobius、DIAMOND PEDALS Memory Lane 2、ストライモン Timelineが曲に応じて適切に組み合わされる。
その後、信号はボグナー・アンプのインプットへ。
アンプのエフェクト・ループには先述のエンプレス・エフェクツ ParaEQが接続されており、リード・プレイ時に用いられる。
アンプの出力はFAUSTINE Phantom Dx2へ流れ、そのスピーカー・アウトからドライ用のキャビネットへ。
またFAUSTINE Phantom Dx2からは同時にライン信号も出力されており、ラックの裏側に配置されているRJM Mini Line Mixerへ。
そこでラック内のTCエレクトロニック G-Major 2がミックスされ、マトリックス GT1000FXで増幅されてから、2台のウェット用キャビネットで鳴らされる。
ちなみにマイクは、ドライ用キャビネットに立てられている2本がオーディオテクニカ AT4050とシュアBeta 181で、2台のウェット用キャビネットにはSHURE Beta 181が各1本ずつ立てられている。
Yukihide YT Takiyama インフォメーション
公式サイト:
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