George Lynch ジョージ・リンチ

George Lynch ジョージ・リンチ

アートでありつつ、しかもちゃんと弾けるように作ってある

YG:ところで、ギターを製作しているんだよね。
ジョージ・リンチ(以下GL):
ああ、2〜3年前に始めたんだ。売るためにも作っているんだよ。1年に10本ぐらい作ってる。7,000ドルぐらいもらえるから結構良い稼ぎになるし、作るのはとても楽しい。当時ちょっと身体のトラブルがあって、1ヶ月半ほど車椅子に乗っていたんだ。その間は動けないから、インスタレーション・アートを始めた。そしてその技術をギターにも適用してみたらいいんじゃないかと思ってね。悪魔みたいなモチーフをギターに入れて、少しずつ作ってみたら、最終的には他の人に売るためのギター製作につながった。

YG:評判は?
GL:
いい感じに人気が出てるんだよ。アートでありつつ、しかもちゃんと弾けるように作ってある。それをみんなが「今まで弾いた中で最高のギターだ!」と言ってくれたのさ。俺もギターの作り方はしっかり学んだよ、セイモア・ダンカンのピックアップの配線方法とか、彫刻の入れ方とか。手で持って使うルーターなどでカッティングできるし、インレイの入れ方もバッチリだ。ま、大きな会社にしてやろうなどとは思ってないけどね。

YG:自分用に作ったギターはないの?
GL:
ない。もちろん自分のために作って弾いてみたいけどね。とは言っても…。今日2週間の休暇から戻ってきたばかりなんだけど、休暇先ででサーフィン、スイミング、ハイキング、カヤックなどをやった。帰ってきたくなかったけどさ(笑)。そして1ヶ月続くツアーの初日まであと4日(このインタビューが行なわれたのは2011年7月)。今、製作すべきギターを5本抱えててさ。もちろんこれは4日じゃ終わらない。それからこのインタビュー取材があって、2日前にドラマーが交代したから、あと3日で新ドラマーとリハーサルしないといけない。さらに予算も移動手段も、ホテルもクルーも…俺が出ている間、マネージャーもエージェントも何もしていなかった。だから、この3日間俺がやるべきことが分かるよね。

YG:それは大変だ。
GL:
だから、自分のギターを作ってる暇なんてない。それに、ギターは1人1人、クチコミで俺に声をかけてくれた人達のために作っている。安くはないから購入できるだけのお金を持った人達がやってくる。そのギターには魂を込めて作っているんだ。だから、自分が持っておくギターを作る暇はないよ。
 ただ一度だけツアーで、自分の作ったギターを弾いたことがあるよ。それはとある考古学者のために作った物で、30万年経っている木を使って作ったんだ。彼は「あなたにはツアーでこれを弾いてほしい。最後のショウを観に行くから、その時私に下さい」と言った。そこで俺は毎晩そのギターを弾いたよ。最終日には学者さんが観客に混じっているのを見ながら、ソロをプレイしてさ。俺が手に持っているギターが、俺の持ち物じゃないことはみんな知らない。ソロの最後の音を長く伸ばして、エフェクトをかけまくって色々やったあと、ギターを客席の方に差し出して、学者さんに渡したんだ。みんな、「ええっ! ギターあげちゃった!」と驚いていたよ。観客からしたらクールに見えるだろ!(笑)