SPANISH METAL ATTACK!! 3組合同インタビュー:RISE TO FALL / BLOODHUNTER / VHÄLDEMAR

SPANISH METAL ATTACK!! 3組合同インタビュー:RISE TO FALL / BLOODHUNTER / VHÄLDEMAR

壊れるまでこのギターを使い続けるよ

YG:では、今回日本へ持ってきたギターをそれぞれ教えてください。

ダン:俺は自分のギターについて、あまりよく分かってなくてさ…。ボディ材だとかピックアップだとか、そういったことについては、すべて師匠であるウーゴの導きに従うだけだ。「このギターが欲しいな」と思ったら、まずウーゴに買うべきかどうか尋ねる。今はソーラー・ギターズを使っているけど…。

ウーゴ:ベアナックルのピックアップが載っているヤツな! メタルに向いてて、非常に高精度でなかなか良い。でも、俺が使っているのはメイワンズだ。ハッキリとは憶えてないけど、確か2012年か2013年のことだった──バスク地方のバンドのメンバーがギターを貸してくれて、「うわ…凄くイイな!!」と思ったのがキッカケで、それで使い始め、今ではメイワンズを5本所有しているよ。

メイワンズとはエンドースも交わしている。大好きなブランドだけど、かなり高価なギターだから、そうじゃなきゃ1本買えたかどうか…。今ツアーで弾いているのはカスタム・ギターで、やはりベアナックルのパッシヴ・ピックアップを搭載している。ネックはスワンプ材で、ノーマル・コンテンツ・ブリッジが付いている。チューニングが簡単で、音がしっかりと安定するからね。

ダニー:俺としては──ギターが何であれ、俺の音は自分の手から出ていると思っててさ。だから、特定のブランドにはこだわっていないけど、このツアーではソーラー・ギターズを使っている。2年ぐらい前に提供してもらって、とても弾き易くて気に入っているんだ。ソーラーのピックアップが、非常にメタル向きだというのもポイントだ。最初、他のピックアップと比べてどうなのかな…と思ったんだが、完璧に機能しているよ。フレットボードはエボニーで、ギター自体が頑丈なのも最高だね。俺はよくギターをクルーに向かって投げたりする。それで何度となく落としてしまっても、未だに壊れてなんかいない。そう、耐えてくれているんだ。とりあえず、壊れるまでこのギターを使い続けるよ(笑)。

ギジェルモ:俺は1991年製のアイバニーズを愛用している。新しいモノより古いモノの方が好きなんでね。ダニーと同じく、特定のギター・ブランドにこだわってはいないけど、言ってみれば、俺はこのアイバニーズのギターと結婚したのさ(笑)。以前は他のギターも弾いていたよ。例えばギブソンとか。メタルではなくハード・ロックをやっていた時期もあって、また違うギターを使っていたこともあったな。でもBLOODHUNTERでは、このタイプのギターがマッチしていると思ってね。弾き易いし、サウンドも気に入っている。そう特別なギターではないし、ピックアップも通常のままだけど、だからといって良いギターなのは間違いないね。

ひとつだけ問題があるとすれば、ブリッジをブロックしていることだな。今はショウの途中でチューニングを変える必要があって、でもそうすると、毎回ちょっとしたズレが出たりして、何週間もかけてそれを修正しようと頑張った。それで、フロイドローズ仕様にしたのさ。正直に言うと、ブロックを外して弾きたいんだけど、今は無理だな…。

YG:ペドロは前回(2018年)、自前のギターではなく借り物を使っていましたが、今回は勿論、いつも弾いているギターを持参したのですよね?

ペドロ:ああ、持ってきたよ。前回は、ギターを飛行機へ持ち込む際、問題があって…。ソフトケースに入れて、機内へ持ち込むつもりだったんだけど、それは出来ないと言うんで──仕方なく、空港に(ギターを)置いてきたんだ。だから前回は、日本在住の友人からギターを借り、それでショウをコナした。でも、今回は自前の“武器”を持ってきたから、思う存分弾きまくることが出来ているよ。

ヴァルデマール
VHÄLDEMAR

YG:ヌーノ(ベッテンコート)のモデルですよね?

ペドロ:そう。元々はイングヴェイと同じフェンダーのストラトキャスターを弾いていたんだけど、ある時、ジャムをやっていたら、たまたまヌーノのワッシュバーン“N2”を弾く機会があってさ。「凄く良いな!」と思ったよ。それ以来、メインの1本に加えた。意外にも“N2”はヴァルデマールのサウンドに凄くマッチしてね。それに、このギターに持ち替えることで、“スペインのイングヴェイ”といったイメージを払拭することにもなったし。

フロイドローズ・トレモロのブリッジも気に入っている。アームを上下に動かせるからね。フロイドローズを付けたフェンダーも持っているけど、アーム・ダウンが出来ないんだ。俺はよく、高めにアーム・アップしてからダウンさせることで特徴的な音を出す。“N2”はそれに最適なギターだね。もう6~7年は使い続けているよ。

YG:ピックアップはストックのままですか?

ペドロ:いや、ギブソン製に載せ替えている。オリジナルのピックアップは高音が出過ぎて、俺には合わないんでね。ただし、“N2”を使うのはライヴだけだ。レコーディングではいつもギブソンと、俺のために製作されたカスタム・ギターを弾いているから。そのカスタムは、専属のギター職人に提供してもらっているんだけど、とてもストラトキャスター的で──俺が思うに、ストラト以上にストラトらしい音が出せるんだ。

YG:スペインのメタル・ギタリストがこれだけ揃う機会もなかなかないので、お互いの印象についても話して頂けますか?

ウーゴ:俺のスタイルは、ちょっとダニーに似ていると思う。リズム・ギターがメインだし。そんな俺の先生はダンなんだ。彼から色々と学び取ったよ。

ダニー:俺もギジェルモから理論について学んだ。

ギジェルモ:それをどう使うかもね。

ダニー:一方、俺は(ギジェルモに)メタルならではのクレイジーなテクニックを伝授したのさ(笑)。

ダン:BLOODHUNTERのスタイルは素晴らしいね。テクニカルだし、プロフェッショナルで、すべてがひとつにまとまっているのも、俺が好きなところだ。そして、真にタイトで、そこも凄く気に入っているよ。

ウーゴ:俺も彼等の演奏が大好きだよ。特にツイン・パート。2人でタッピングをしたり、ハモったりするところは本当に素晴らしいね。とにかく、2本のギターの使い方が絶妙なんだ。攻撃的なリフがあって、メロディックな部分に移行しても、テクニカルでありつつやはり攻撃的。正に“これぞメロディック・デス・メタル!”だね。

ギジェルモ:ありがとう…嬉しいな!(笑) 俺もライズ・トゥ・フォールが大好きだよ。特に気に入っているのは──そうだな…彼等のショウはパーティーなんだ。分かるかな? まるで、一緒に楽しんでプレイしているような気分になる。そこが抜群にクールだね。勿論、そういったノリだけじゃなくて、彼等は正確に演奏してもいるし、メロディックな部分も最高に良い。それを容易くやってしまうのもクールだな。

ダニー:俺が好きなのは、ライズ・トゥ・フォールのライヴ・サウンドさ。まるで大きな壁みたいに素晴らしくシンクロしていて、すべての音がひとつになっている。本当に凄いよ。バンド全体としてモダンな音を出していて、リフも最高だ。

YG:ペドロは、ライズ・トゥ・フォールとBLOODHUNTERについてどんな印象を?

ペドロ:BLOODHUNTERは今回、観ることが出来なくてね…。彼等は毎晩、ヴァルデマールの前に演奏しているだろ? でも俺は、自分の出番の前にはリラックスして過ごしていたいんだ。だから、なかなかチャンスがなくてさ。でも、サウンドチェックは少し見たよ。実に良いサウンドを出していたと思う。ライズ・トゥ・フォールについては、アルバムをプロデュースしているからよく知っているよ。ダンは優れたギタリストだよね。正直言って、俺はメロディック・デス・メタルのスタイルには入れ込んでいないけど、彼等の自由奔放さが好きなんだ。

ウーゴ:ペドロと一緒に仕事をするようになって、ライズ・トゥ・フォールは本当に良くなったし、バンドとして成長したよ。

ペドロ:俺も彼等と一緒に仕事するのが大好きだ。

YG:ペドロにはメタルやシュレッド以外に、色々な引き出しがありますしね!

ペドロ:俺は元々、ブルースをプレイしていたんだ。ジミ・ヘンドリックス、ジョニー・ウィンター、ロリー・ギャラガーなどに影響されてね。ブルースにはとても思い入れがあって、そのためにストラトキャスターを沢山持っている…とも言えるな。ブルース・ギタリストはヴィブラートやベンディングが絶妙なんだ。俺はそれをパワー・メタルに採り入れているよ。あと、ペンタトニック・スケールも。だから、シュレッドもやっているけど、ブルースこそ俺の音楽の中核を成しているのさ。

最近は、ヘスス・モリーナがお気に入りだ。コロンビアのジャズ(鍵盤)奏者さ。ジャズを聴くのも好きなんだ。でも──今どきのバンドは、みんなスーパーなプレイをしていて、とてつもないシュレッダーがいたりもするけど、俺に言わせれば、そこには魂が感じられない。俺も速弾きは好きだけど、もっと好きなのは、一音だけを鳴らしてのベンディングなんだよ!

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