クリスティアン・ミュンツナー、エタニティーズ・エンド新作『EMBERS OF WAR』とバンドの軌跡を振り返る

クリスティアン・ミュンツナー、エタニティーズ・エンド新作『EMBERS OF WAR』とバンドの軌跡を振り返る

ドイツ随一のシュレッダー:クリスティアン・ミュンツナー率いるエタニティーズ・エンドが、’18年発表のセカンド『UNYIELDING』に続く待望のニュー・アルバム『EMBERS OF WAR』をリリース! プログレッシヴ・デス・メタラーのオブスキュラで名を上げ、同系のアルカロイドやネクロファジストでも注目を浴びたクリスティアンが、ネオ・クラシカル趣味全開でメロディックなパワー・メタルに挑むエタニティーズ・エンドについては、未だにどうもピンとこない…という激烈メタル・フリークもいるかもしれない。しかし、これまでに所謂“シュラプネル系”のソロ作を3枚リリースしているクリスティアンは、確かにメロパワ/メロスピのルーツも併せ持っていたのだ。今回クリスティアンには、エタニティーズ・エンド結成の経緯も含め、改めてデビューからの軌跡を振り返ってもらった…!!

なお、ページ下には各収録曲のギター・パート及びベースを含めたソロの一覧表を掲載している。本文中の「★★」はリンクになっており、曲ごとの内訳が確認できるので、合わせてお楽しみいただきたい。

2人目のギタリストの候補を考えたら、もうユスティンしかいなかった

クリスティアン・ミュンツナー

YG:ヤング・ギターでは久々の取材となりますので、まずは改めて、エタニティーズ・エンド結成のキッカケから話して頂けますか?

クリスティアン・ミュンツナー(以下CM):俺はこれまでずっと、デス・メタルも古典的なヘヴィ/パワー・メタルも同じように好きだった。いや、むしろ古典的なメロディック・メタルこそが一番で、デス・メタルをやっている時ですら、演奏面においてはパワー・メタルの強い影響があったと言える。だから、ストラトヴァリウス、ガンマ・レイ、アイアン・セイヴィアーといったヨーロピアン・バンドがビッグになった’90年代後半以降、パワフルなヴォーカル、壮大なクワイア、アグレッシヴなリフ、山ほどのツー・バスを備え、イングヴェイ・マルムスティーンにインスパイアされたソロ・ワークを含む、その手のバンドを結成するのが夢だったんだ。

’14年頃、友人のひとりにそのことを話したら、「そういう話ばかりしていてもダメだ。とにかくやってみなよ」と言われてね。それがターニング・ポイントとなり、実際にメロディック・メタル・バンド(のエタニティーズ・エンド)を始めることになったのさ。

YG:’14年頃、エタニティーズ・エンドをスタートさせるのとほぼ同時期に、あなたはオブスキュラから脱退しました。当時は、本腰を入れてメロディック・メタルをやるために、オブスキュラを離れることにしたのでしょうか?

CM:いや、当時は色々なことが同時に起こっていてね。オブスキュラは『OMNIVIUM』(’11年)発表後、2~3年かけてかなりのツアーをコナしていたんだけど、その中でシュテフェン(・クンメラー:g)とハンネス(・グロースマン:dr)の間で音楽方向性を巡っていざこざがあり、俺はその板挟みになってしまったんだ。また’11年には、フレットを抑える左手にトラブルが生じ、局所性ジストニアと診断されたことで、忙しいツアー・スケジュールをコナすのが困難になってしまって…。そんな時、セカンド・ソロ『BEYOND THE WALL OF SLEEP』(’14年)のための曲を書くと同時に、のちに(エタニティーズ・エンドのファースト・アルバム)『THE FIRE WITHIN』(’16年)に収められることになる楽曲も沢山書いていてさ。このまま過酷なツアー・スケジュールを続けるよりも、自分自身の音楽的関心にもっと時間を費やすべきだ…と思ったんだよ。

YG:あなたは’09年に、DAEMON’S GATEなるパワー・メタル・バンドを立ち上げていましたが、このバンドが軌道に乗らなかったのは…?

CM:確かに、(ファースト・ソロの)『TIMEWARP』(’11年)の構想を持つ前に、俺はもうDAEMON’S GATEを始めていたよ。以前、シヴィライゼーション・ワンで一緒だったギタリスト:ビヨルン・ダイガーと一緒にね。現ストームウォーリアの彼とは、その前にMAJESTYやMETALFORCEでも一緒だったんだけど、シヴィライゼーション・ワンを追い出されたあと、元々そのために書いていた新曲を活用すべく、DAEMON’S GATEを立ち上げたのさ。しかし、’09年に3曲入りのデモを制作したものの、DAEMON’S GATEはあまり評価されることなく、その頃ちょうど、オブスキュラの活動が忙しくなってきたのもあって、このプロジェクトは終わってしまったんだ。

実は、『TIMEWARP』収録の「Over The Mountains」や『BEYOND THE WALL OF SLEEP』収録の「Demon’s Gate」は、元々シヴィライゼーション・ワンのために書かれ、のちにDAEMON’S GATEで使われた曲で、『THE FIRE WITHIN』のタイトル・チューンも、元はといえば当時に書かれた曲だったんだよ。まぁ、ソロ作ではインストにリアレンジしたし、エタニティーズ・エンドでもかなり手を入れているけどね。

YG:エタニティーズ・エンドは当初、シングル・ギター編成でしたが、セカンド『UNYIELDING』の時、フィル・トゥガスを加えてツイン・ギター・バンドになりましたね?

CM:セカンド用の曲を書き始めた時、ツイン・ギターの要素がより強まっている…と感じ、2人目のギタリストの必要性が出てきたんだ。そこでFacebookに(募集の告示を)ポストしたところ、すぐにフィルから連絡があってさ。彼は以前、ネクロファジストやスポーン・オブ・ポゼッションの曲をカヴァーしていたことがあり、実はMySpaceの時代からずっと知り合いだったんだよ。彼とは音楽の趣味がよく似ていて、音楽的ヴィジョンにも通ずるモノがあったんで、一緒にアルバムを制作したら「きっと素晴らしい結果になる!」と思ったね。

YG:ところが、新作『EMBERS OF WAR』にはフィルの名前がありませんでしたね? 彼とは『UNYIELDING』で多くの楽曲を共作し、同作には彼がひとりで書いた曲も収められていたので、脱退には驚きました。

CM:俺も驚いているよ…!(苦笑) でも、『UNYIELDING』のために曲を書いた時は同じ考えだったのに、サードの方向性については、お互い違う見解を持っていたんだ。するとある時、フィルが自身のFacebookページに「エタニティーズ・エンドを離れた」と書き込んでいるのを見つけてさ。それで俺は、彼の脱退を知ったんだよ。ただ、それについてはちょっとした行き違いがあった。というのも、彼は俺にメールを送ったそうなんだけど、不運にもそれは俺の元へ届かなかったんだ。

近々彼は、新しいバンドを立ち上げるらしい。きっとフィルならではの、独自のスタイルで曲を書き続けるだろうし、それは素晴らしいモノになるに違いないね。心から彼の成功を祈っているよ。

YG:そのフィルの後任というか、ニュー・アルバムに際し新たに迎えられたセカンド・ギタリスト:ユスティン・ハムバッハは、どのようにして見つけたのですか?

CM:数年前から知っていたんだ。何故なら彼は、“The Shred ABC”というYouTubeチャンネルを持っていて、’19年に俺は、そのインタビューを受けたことがあったんでね。彼は大学でジャズ・ギターを学んでいて、ジャズ/フュージョンと同時に、パワー・メタルやプログレッシヴ・メタルのバックグラウンドも持っている。彼がレーサーXの「Street Lethal」のソロを弾いている動画を観たことがあるけど、その出来栄えとダイナミックなプレイには圧倒されたよ。

実を言うと──フィルが辞めた時、最初は新作のソロはすべて自分で弾こうと思っていたんだ。ところが、どの曲もギター2本を使ったハーモニーを前提に書かれていてさ。そこで、エタニティーズ・エンドの楽曲を弾きコナすテクの持ち主であること、そして、この手の音楽スタイルが好きで、熱意を持ってプレイ出来ること…を条件に、2人目のギタリストの候補を考えたら、もうユスティンしかいなかった。俺としては、元々知っているヤツで、この先ずっと一緒にやっていけるメンバーを求めてもいたしね。あと…もうひとつ、地理的にそう遠くないところにいるギタリストが望ましかった。エタニティーズ・エンドをよりバンドらしくするには、それが必要不可欠だったんだ。

その点ユスティンは、俺達のところから90分ぐらいしか離れていない町に住んでいて、しかも練習熱心で、信じられないテクの持ち主なんだから、本当に理想的だよね。実際、彼に演奏出来ない曲はない…とさえ思う。その上、音楽理論に長けていて、良い耳も持っている。とにかく、いちいち説明しなくたって、何だってやってのけるんだよ。

ユスティン・オムバッハ

YG:『EMBERS OF WAR』ではあなたがキーボード・パートも兼任していて、デビュー時からの鍵盤奏者:ジミー・ピッツもいなくなりましたね?

CM:これはフィルもそうだったんだけど、アメリカ在住だから…というのがまずあった。俺達の予算は限られていて、リハーサルやライヴのために、いちいち飛行機で呼び寄せる…なんてことは、とても現実的ではなかったからね。そのことをジミーに話し、「今はエタニティーズ・エンドが本物のバンドなるか、単なるプロジェクトで終わるのか…といった状況にあるんだ」と正直に告げたところ、彼は理解を示してくれたよ。それで、ヨーロッパ在住の後任を見つけようとしたんだが、俺達の楽曲を弾きコナせるプレイヤーはなかなかいなくてさ。「とても弾けない」と言われたり、(適任が見つかっても)法外なギャラを要求されたりして、それでもうあきらめてしまったんだ。

それからもうひとつ、新曲でちょっとスタイルが変わったのもあった。前2作に比べて、あまりシンフォニックじゃなくなった…というか、より古典的なメタル曲が増え、装飾を剥ぎ取ったような方向性にシフトしていることに気付いたんだ。事実、『EMBERS OF WAR』を聴いてもらえば、多くの楽曲でキーボードを殆ど使っていないことが分かるだろう。キーボードが多めの曲というと、「Shaded Heart」(★★)と日本盤ボーナス・トラックの「In The Wake Of The Carrion King」(★★)ぐらいじゃないかな? 他の曲は、全くキーボード・パートがないか、ごくわずかにある程度だ。だから、必要な曲については自分でキーボードを弾き、もう鍵盤奏者ナシでいくことにしたのさ。

YG:ヴォーカルは『UNYIELDING』に引き続き、元ヒブリアのユーリ・サンソンが務めていますが、そもそもブラジル人の彼とは、どのようにして知り合ったのですか?

CM:ヒブリアのデビュー・アルバム『DEFYING THE RULES』(’04年)は、俺にとって最高のパワーメタル・アルバムのひとつなんだ。だから、ユーリのことはずっとお気に入りだったよ。でも、エタニティーズ・エンドを立ち上げた時、彼はヒブリアで忙しく活動していたから、頼もうとすら思わなくてさ。ところが’18年3月に、フィルから「ヒブリアのメンバーがオリジナル・ギタリストを除いて全員脱退した」とメールがあってね。俺もフィルも、新曲にピッタリなのはユーリだと思っていたから、インスタグラム経由ですぐ連絡し、(『UNYIELDING』用に書いた)「Blood Brothers (The Oath)」のデモを送ったところ、とても気に入ってくれて、ちょうど彼も新しいバンドを探していたのもあり、加入に至ったんだ。

YG:サード・アルバムの曲作りを開始したのはいつでしたか?

CM:曲を書き始めたのは’19年11月で、最初に出来上がったのは「Deathrider」(★★)だったよ。全曲が書き下ろしで、昔のアイデアは一切使用していない。自分でもクレイジーだと思うけど、「In The Wake Of The Carrion King」と「Call Of The Valkyries」(★★)、それからアルバム表題曲の「Embers Of War」(★★)は、クリスマスと新年(’20年)の間の1週間で書き上げてしまったよ。その後、俺がシリアス・ブラックのツアーに参加したり、オブスキュラへ再加入したり、新型コロナのパンデミックでロックダウンが始まったりして、少し長めのブレイクがあったけど、’20年の春から夏の間と、9月から10月にかけて残りの曲を揃え、最終的に11曲が仕上がった。『EMBERS OF WAR』に収録されなかった2曲は、将来的にEPか何かでリリースするかもしれないな。

YG:『EMBERS OF WAR』は前2作に比べて、よりメロディック・パワー・メタル的なテイストが強まっていると感じました。これは意図して? それとも、自然とそうなっただけですか?

CM:これは自然な進化で、何か計算やルールがあるとか、あらかじめ計画してそうなったワケじゃないよ。

YG:これまでにもあったガンマ・レイやブラインド・ガーディアンなどからの影響に加えて、今回はランニング・ワイルドの要素が加味された…と思いましたが?

CM:その通り。「Dreadnought (The Voyage Of The Damned)」(★★)や「Hounds Of Tindalos」(★★)なんかに、その影響が出ているよね。俺はランニング・ワイルドの大ファンでもあって、中でも『DEATH OR GLORY』(’89年)から『MARSQUERADE』(’95年)までのアルバムは、すべて大好きだ。だって──’90年代にドイツで育ったメタル・ファンなんだからさ。当時はブラインド・ガーディアンとガンマ・レイが、誰もが聴いている2大バンドで、勿論この2バンドには俺も相当に影響を受けた。でも、ジャーマン・メタル・シーンで最も影響されたのは、ピート・シールク(g、vo)率いるアイアン・セイヴィアーなんだ。ピートの強烈なヴォーカルとサビメロの存在感は凄いよ。その影響が、エタニティーズ・エンドの楽曲をより強固にしてくれた…とすら言えるね。

YG:そのピートは、『UNYIELDING』に続いて今回も制作に深く関わっていますね?

CM:ああ。(アイアン・セイヴィアーのベーシストの)ヤン=ゼーレン・エッカートと一緒に強力なコーラスを入れてくれたし、ピートは「Embers Of War」で一部リード・ヴォーカルも担当してくれた。ヴォーカル・アレンジの経験という点で、ピートは正に並外れていて、俺は完全に心酔しきっている。実際これまでも、ヴォーカル・メロディーや歌詞の再アレンジを彼が手伝ってくれたことで、コーラス面を含めより良い仕上がりになったと思う。ヴォーカルのプロデュースに関して、ピートは今回も重要な役割を果たしてくれたね。

YG:それにしても、あのオブスキュラのギタリストが…と思うと、そこまでジャーマン・パワー・メタルに入れ込んでいるなんて、ちょっと不思議な感覚もあります(笑)。

CM:いやいや、ヘヴンズ・ゲイトやスキャナーといった、あまり広く知られていないドイツのバンドだって、俺にとってインスピレーションの源になっているんだよ。あと、ライオットやヴィシャス・ルーマーズ、それからレーサーXなどなど、アメリカのパワー・メタラーも…ね。俺はそういったバンドがずっと好きだった。シュレッドという観点から見れば、世間にはイングヴェイやシンフォニー・エックスのクローンが溢れている。でも俺達は、ネオ・クラシカルやシュレッドの要素を、ドイツやアメリカのパワー・メタルと組み合わせることで、自分達ならではのニッチを生み出せている…と思っているよ。

病気がもとで編み出した代替の運指や独自のテクニックは、もはや自然なモノに…

クリスティアン

YG:では、『EMBERS OF WAR』のレコーディングで使用したギター周りの機材を教えてください。

CM:メイン・ギターはアイバニーズの“RG 3250MZ”で、リズム・ギターすべてとソロの大半で使っている。「Arcuturs Prime」(★★)と「Embers Of War」のソロは、イエローのフェンダー“HM Strat”で弾いたけどね。’80年代から’90年代にかけて、グレッグ・ハウが愛用していたモデルだ。この2曲のリードに関しては、グレッグ・ハウ、ヴィニー・ムーア、それからイングヴェイっぽいニュアンスが欲しくて、シングル・コイルのサウンドを使ったのさ。あと「Embers Of War」には、中間のスローなパートにアコースティック・ソロが必要で、そこではアイバニーズのエレアコ“AEG50-IBH”を弾いている。

YG:アンプは何を?

CM:フラクタル・オーディオ・システムズ“Axe-Fx II”を使ってドライで録ったよ。いつも、ドライなDI信号とプリセット・サウンドを用意していてね。後者は、どういったサウンドになるか確認するため、そして、自分の演奏を評価するためにも必要なんだ。リズム・パートのリアンプで使ったのは、エングル“Fireball 100”とEVH“5150”と(アイバニーズ)“Tube Screamer”の組み合わせで、それをオレンジ製のキャビネット“PPC212”で鳴らし、ニーヴのマイク・プリアンプ“1073”に送って録音した。リード・パートについては、“Tube Screamer”とEVH“5150”のみを使い、あとはEQ設定が少し違うぐらいだね。“Axe-Fx II”のみの「Shaded Heart」のクリーン・パートのオーヴァーダブを除き、全曲でその一貫したサウンドを採用しているよ。

YG:ユスティンのレコーディング使用機材も分かる範囲で教えてください。

CM:ユスティンはアイバニーズの“RGA 71ALIAF”を使って、ソロのみを弾いた。DVマークの“Multiamp”に通し、俺のソロと同じく、“5150”+“Tube Screamer”のセッティングでリアンプしたんだ。EQの設定は少し異なるけどね。

YG:ユスティンはソロのみなのですね?

CM:彼がこのバンドに加わったのは、ベーシック・トラックの録音が終了したあとだったんでね。つまり、このアルバムのリズム・ギターはすべて俺が弾いている…ということさ。但しユスティンは、殆どの曲でソロを執っているよ。ツイン・ソロは通常、メイン・メロディーを俺が弾き、ユスティンがハーモニーを付けている。時々交代して、俺が高いパートを弾くこともあるけどね。(註:詳細はギター&ソロ・パート一覧表を参照のこと)

YG:ところで、あなたは左手の中指に局所性ジストニアによる神経系のトラブルを抱えていましたが、今でもその症状は続いているのでしょうか?

CM:治ってはいないけど、ここ10年は悪化してもいないから、安定したか、症状が改善された…という感じだな。1年に2度、左手人差し指の屈筋にボトックス注射を行なっていて、これがとても痛いんだ。でも、ある程度は一時的に痙攣が抑えられる。あと、症状を軽減するために、ここのところは手袋をして演奏しているんだ。さらに、ボディ・マッピングやフェルデンクライス法など、色々なセラピーのクラスも受けていて、それも症状と付き合う上で役立っているよ。もうずっとこの病気と付き合ってきたから、自分で編み出した代替の運指や独自のテクニックは、もはや自然なモノになってきている…とも言えるな。

YG:運指を工夫したり、タッピングを駆使したり…といったあなた独自の演法は、今作ではどの曲のどのパートで最も威力を発揮していますか?

CM:「Arcturus Prime」のハーモニー・ソロとフュージョン風のコード進行による俺の最初のソロの間に、メジャー7thとマイナー7th、それとペンタトニック・レガートを組み合わせたパートがある。全体に対して数小節だけ、シンセ風の音質を与えるために、連続してオルタネイト・ピッキングとスウィープを駆使しているんだけど、これはアラン・ホールズワース風に響かせるための安上がりな方法なんだ(笑)。オルタネイトとスウィープを用いるのは、ジストニアを発症する前よりずっと多くなったな。アルペジオなどで[人差指-薬指-小指]の運指が出来ない代わりに、左手の人差指か小指でポジション・シフトの多くを行なうのさ。

他には、右手のタッピングとか、スライドなどで広いインターヴァルの左手のレガートをよく使っている。左手の指2本と右手の指2本の組み合わせを使うことも多い。ステップ全体を演奏する場合は、右手の中指と薬指、マイナー3rdを弾く場合なんかは右手の中指と小指を使っているよ。

YG:ちなみに、エタニティーズ・エンドはこれまでにライヴを行なったことがありますか?

CM:望んではいたけど、残念ながらその機会はなかった。実現可能なオファーがこなかったし、ヨーロッパでの(最初の)所属レーベル:パワー・プログ・レコードが廃業し、オーナーも姿を消して、こちらではメディアへの露出がないも同然だったんで、俺達がアルバムをリリースしていることどころか、バンドの存在すら殆ど知られていなかったんだよ。それにはかなりフラストレーションを感じていたな。

その後、『UNYIELDING』のリリースに伴い、幾つか(ライヴの)オファーをもらい、日本のフェスに出演するという選択肢もあったけど、スケジュールの関係でなかなか上手くいかなくて、当時はメンバーが住んでいるところがバラバラだったんで、予算的にも、移動の面でも実現は難しかった。そう──それで俺は、エタニティーズ・エンドのメンバーをヨーロッパ在住者だけで固めることを決心したのさ。そうすれば、少なくとも移動という点では、ツアーがやり易くなるからな。

YG:では、今後はライヴやツアーも期待出来ますね!

CM:今はメンバーの殆どが近くに住んでいて(註:ヴォーカルのユーリはポルトガル在住)、リハーサルで集まるのも簡単になったし、実際ステージやツアーの準備は出来ているんだ。本物のバンドになったから、今度こそ上手くいくだろう。

YG:ツアーに出る際、鍵盤奏者はどうされますか?

CM:昔の曲は、キーボード・パートをサンプリングして使うつもりだ。いずれにしても、コーラス・パートはサンプリング音源を活用しなきゃいけないしね。

YG:日本にも是非またいらしてください!

CM:勿論、日本には是非ともまた行ってプレイしたいと思っているよ。俺は過去に3度──オブスキュラで2回、そしてシリアス・ブラックで1回、日本でプレイしている。日本のメタル・ファンは最高だね。ライヴ演奏する上でも最高の国だ。エタニティーズ・エンドにとっても、きっと最高のマーケットだろうから、近いうちに日本へ行けるよう頑張りたいな…!!

クリスティアン

『EMBERS OF WAR』収録曲とギター・パート一覧

1. Dreadnought (The Voyage Of The Damned)

セクションクリスユスティン
リード(ハモり)1
ペダル・トーンのリック
ソロ1
ソロ2
ソロ3
ソロ4
リード(ハモり)2
ソロ5

2. Bane Of The Black Sword

セクションクリスユスティン
イントロ、アウトロ、メロディー
ハーモニー・パート(すべて)
中盤のネオ・クラシカル風セクション
ソロ1
ソロ2
ソロ3
ソロ4

3. Hounds Of Tindalos

セクションクリスユスティン
ネオ・クラシカル風のペダル・ノート・セクション
ソロ1
ソロ2
カウンターポイントのハモり○(アルペジオ)○(メロディー)

4. Call Of The Valkyries

セクションクリスユスティン
ソロ1
ソロ2
ハモリ
ネオ・クラシカル風のアルペジオ
ソロ3
ソロ4

5. Arcturus Prime

セクションクリスユスティンリヌス
ハモり1
フュージョン風リード・ブレイク
ソロ1
ソロ2
ハモり2
ベース・ソロ
ハモり3
ソロ3
ソロ4
ハモり4

6. Shaded Heart

セクションクリスユスティン
ハモりのリード
ソロ

7. Deathrider

セクションクリスユスティン
イントロ、アウトロのハモりのリード
ソロ1
ソロ2
ハモり
ソロ3
ネオ・クラシカル・セクション
ネオ・クラシカルのハモり

8. Embers Of War

セクションクリスユスティンリヌス
イントロ・アルペジオ
2番サビ直前のアルペジオ
ハモりのリード
ソロ1
ソロ2
ソロ3(ベース)
ネオ・クラシカル・セクション
ソロ4

9. In The Wake Of The Carrion King

セクションクリスユスティン
イントロ
イントロのハモり
ソロ2
中盤のネオ・クラシカル・セクション
ネオ・クラシカルのハモり
ソロ

INFO

ETERNITY'S END
ETERNITY’S END [from l.]Linus Klausenitzer(b)、Justin Hombach(g)、Iuri Sanson(vo)、Christian Muenzner(g&key)、Hannes Grossmann(dr)

ETERNITY'S END - EMBERS OF WAR

『EMBERS OF WAR』/ETERNITY’S END

CD・配信|マーキー・インコーポレイティド/アヴァロン | 2021年11月27日発売

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