ラクーナ・コイル初の単独来日公演間近、ディエゴ・カヴァロッティが意気込みをガッツリ語る!

ラクーナ・コイル初の単独来日公演間近、ディエゴ・カヴァロッティが意気込みをガッツリ語る!

イタリアの男女シンガー擁するゴスでヘヴィな5人組:ラクーナ・コイルが間もなく再来日を果たす! ’07年、’16年とこれまでに2度“LOUD PARK”に出演してきた彼等だが、単独来日公演を行なうのは今回が初。来たる12月16日(金)、東京にて一夜限りのショウは、持ち時間が短いフェスではモノ足りなさを感じていたファンも、また熱心なファンならずとも、ヘッドライナーならではの充実パフォーマンスに、きっと納得&大満足出来るに違いない。

日本再上陸まであと約3週間──久々に日本のファンの前でプレイするのを心待ちにしているギタリスト:ディエゴ・カヴァロッティに緊急インタビューを行ない、ライヴに向けての思い、公演についてのあれこれ、そして最新作であるリメイク・アルバム『COMALIES XX』についても、ガッツリ語ってもらった…!!

『COMALIES』の記念盤に関われたことは誇りに思う

YG:’16年の“LOUD PARK”出演以来となる再来日公演がいよいよ迫ってきましたね!

ディエゴ・カヴァロッティ(以下DC):うん。前回の“LOUD PARK”は、バンドにとっては2度目の日本だったけど、俺にとってはあのフェスティヴァルが初の日本体験だったんだ。

YG:今回は初の単独来日ですが、やはりフェス出演とは気持ちの面などで違いますか?

DC:そうだね。あのフェスティヴァルはとても大規模だった。観客数も多くて、色んなバンドが出演して、確かKISSがヘッドライナーだったよね? 細かくは憶えていないけど、KISSがヘッドライナーだったことは間違いないと思う(※実際には、スコーピオンズがヘッドライナーを務めた)。ともあれ、やっぱり気持ち的にはかなり違うね。ようやくの単独公演だからさ。

でも、何を期待してイイのか…ちょっと分からないな。だって、俺たちだけを目当てに来てくれるオーディエンスには、(日本では)まだ会ったことがないから。ただ、メチャクチャ興奮してはいるよ。フェスだと持ち時間が短いし、日中の出番が多いから、照明もプロダクションも用意出来ない。でも単独公演なら、自分たちだけのセッティングをステージに持ち込むことが出来るし、持ち時間も充分に取って、フル・セットを見せることが可能になる。だから、全く違ったショウになるだろうね。

ディエゴ・カヴァロッティ WOA22
Diego Cavallotti

YG:前回来日時、あなたはまだセッション・メンバーという立場でしたね?

DC:ああ。当時はまだセッション・メンバーだったよ。俺がこのバンドに加わったのは’16年で、日本に行ったのはその年の10月のこと。あの時やったツアーが、俺にとってはまさに初めてのツアーだったんだ。それから2年だったか、3年だったか──ハッキリしたことは忘れたけど、数年を経て、俺は正式メンバーになったのさ。

YG:そもそもラクーナ・コイルに加わることになったキッカケを改めて教えてください。他のメンバーとは古い付き合いだったのですか?

DC:以前、俺は地元のミラノで結成されたMELLOWTOYというバンドでプレイしていてね。これはクロスオーヴァーのNUメタル・バンドといった感じで、俺は’13年に加入したんだけど、当時、バンドのプロデューサーをマキ(マルコ・ゼラッティ:b)が務めていたんだ。それが俺のマキとの出会いで、俺たちはすぐ友達になった。一緒に遊びに出掛けたりする仲になったのさ。というか、知らなかったんだけど、実はとても近所に住んでいたんだよ。

その後──数年経って、ラクーナ・コイルがミラノ公演をやる際、俺も招待してもらったんだけど、それがマウス(マルコ・ビアッツィ:g)の引退ライヴだということが分かったんで、俺はすぐマキに言ったんだ。「俺を試してくれないか?」とね。そんな経緯で、いま俺はここにいるワケさ!(笑)

マルコ“マキ”コッティ・ゼラッティ
Marco “Maki” Coti-Zelati

YG:ラクーナ・コイル以前には、他にACID OCEAN、NEPTUNE’S RAGEといったバンドに在籍していたそうですね?

DC:ああ。どれもかなり初期のバンドだけどね。もう15~16年も前のことで、どっちもとっくに活動を止めている。ただ最近、新しいプロジェクトを始めたんだ。INVERNOというバンドで、イタリア語で“冬”という意味だよ。デス・メタルにデフトーンズみたいな雰囲気を大きく採り入れ、尚かつとてもエモーショナルな要素があって、ちょっとシネマトグラフィー(映画撮影術)的な独自のスタイルも有していてさ。俺はアンビエント系なんかも好きなんで、それを極めてヘヴィにやっている…とも言えるかな?(笑)

既に幾つかの楽曲を世に出していて、来年1月に初ライヴを行なうつもりにしている。ラクーナ・コイル以外に今やっているバンドはこれだけだよ。

YG:あなたが加わる前、ラクーナ・コイルはツイン・ギター・バンドでしたが、’16年以降、シングル・ギター編成で活動を続けていますね? 当初はもうひとりギタリストを加えるという話も出たのでしょうか?

DC:いや、それはちょっと違っていて──確かに、結成時から’14~15年頃まではずっとツイン・ギター編成だったけど、ピッツァ(クリスティアーノ・ミリオーレ:g)が(’14年に)バンドを脱退した時、「今後はシングル・ギターでいく」と決めたのさ。俺が加入した時はもうその方針が確定していたんで、難しいことは特になかったよ。

ラクーナ・コイル

YG:7弦ギターはラクーナ・コイル加入前から弾いていましたか?

DC:うん。7弦を弾き始めたのは’06年頃だったな。キッカケは、当時やっていたメタルコア・バンド:WITHIN YOUR PAINで、その時に使い始めてみようと思い、以来ずっと弾き続けているよ。今でも6弦は弾いているけど、ここ最近は敢えて使う機会がないんで、殆どの場合は7弦を弾いているんだ。

YG:ところで、海外では10月に発売済みの『COMALIES XX』が、今回の来日公演に合わせて日本でもようやくリリースされます。’02年作『COMALIES』の20周年を祝うこのリメイク・アルバムは、どういった経緯で企画されたのですか?

DC:『COMALIES』は、バンドにとってとても重要なアルバムなんだ。この作品によってキャリアが本格的に始まり、活動が回り始めたんだからね。だから、リメイクすることで(リリース20周年を)祝うのは良いだと思ったのさ。新しいメンバーを含む新しいサウンドで、全く違う形にリメイクしたから、色々と刷新されているよ。それに、当時とはバンドのイメージ自体もかなり変わっているしね。

こうした形で記念盤を作れたのは、とても良かったと思う。個人的にも、その作品の一員になれて非常に誇りに思っている。ラクーナ・コイルはイタリアから世界に飛び出し、今じゃ国際的に活躍するバンドとしても注目されている。その点では、俺としても胸を張れるんだよ。

YG:『COMALIES』のオリジナル・リリース時、あなたはバンド・メンバーではありませんでしたが、当時からこのアルバムには馴染みがありましたか?

DC:ああ、勿論だとも。初めて聴いたのは、もう随分と昔のことだけどね。実は’19年に、バンドのデビュー20周年を祝うライヴが行なわれ、その時に初期の作品から最新作まで沢山の曲をプレイしたんだ。だから、過去のすべてのアルバムを聴き直し、その時プレイする全曲を覚えることになってさ。まぁ、『COMALIES』から『DARK ADRENALINE』(’12年)までのアルバムはずっとフォローしていたけど、その時(プレイヤーとして)また違った耳で聴くことになったよ。

YG:かつてはラクーナ・コイルのファンだった…と?

DC:大ファンとは言えないかもしれないけど、好きなバンドではあったよ。毎回出るシングルをラジオなどで聴くぐらいではあったけどね。それなのに、今ではそのバンドのメンバーになっているみたいなんだな~(笑)。

YG:おっしゃる通り、『COMALIES XX』としてリメイクされた『COMALIES』全曲は、その多くがかなりリアレンジされています。その作業はメンバー全員で取り組んだのでしょうか?

DC:実は、マキが中心になって、彼が全曲を手掛けたんだ。彼はオーケストレーションも得意で、ハーモニーを作るのも実に上手い。すべてが完璧に組み合わされているよ。俺たち…というか俺は、それを手助けするだけ。ちょっとしたテイクを彼に送ると、彼が手品のように、それを良いモノに仕上げてくれるから(笑)。あと、今はリチャード(・メイズ:dr)も関わっているよ。彼はプロデューサーとしての手腕に長けているからね。『COMALIES』の楽曲のリライトには、彼がより多く関わっている…とも言えるな。ただ、俺たちはみんな自由にアイデアを出せる状態にはあるけど、それをまとめて曲という形に仕上げるのはマキなんだ。

リチャード・メイズ
Richard Meiz

YG:新たなヴァージョンとして生まれ変わらせるに当たり、あなたはどんなヴィジョンを持ち、どんな気持ちで制作に臨みましたか?

DC:楽器パートに関して言えば、俺は自分のギター・ソロをすべて自分で書いた。そして、ギター・パートはすべて自分で録音した。クリーン・パートもソロも、すべてだよ。

YG:アルバムのクレジットによれば、ベースのマキもギターを弾いたようですが…?

DC:彼は本番では弾いていないよ。自宅スタジオでプリプロを作る時に(ギター・パートを)入れただけなんだ。自分ですべてのパートを書き、それを俺たちに送ってきた…ということさ。そこから各自でリハを重ね、スタジオでのレコーディング本番では、俺がすべてのギター・パートを弾いたんだよ。

YG:オリジナル・ヴァージョンにはギター・ソロがなかった曲にも、かなり加えていますね? ソロを加える曲を選んだのはあなたですか? それとも、マキでしょうか?

DC:(ソロを入れるという)アイデアはマキから出たんだ。俺にソロを入れる場所を空けてくれたのさ。例えば「Heaven’s A Lie」は、元々は何のソロも入っていなくて、それで曲として完璧だった。でも、そこにソロを加えることで、さらなるヴァージョン・アップを図ったんだ。実際に入れてみたらとても良い結果が得られたんで、そのまま使うことにしたんだよ。

YG:ギター・ソロは「すべて自分で書いた」とおっしゃいましたが、インプロヴァイズしたソロもありましたか?

DC:大抵の場合、俺はインプロする方が好きだ。スタジオに入る前にパートを準備しておき、それを(本番で)弾くということも出来るけどね。

YG:『COMALIES XX』はオリジナルの『COMALIES』と比べて、よりヘヴィかつアグレッシヴに仕上がっていますね? 20年を経て年齢を重ね、それなのにより強力なサウンドになっていると感じました。

DC:ああ、正にそうだ。『DELIRIUM』(2016年)の頃からバンドは変化を遂げ、進化した。新たにメンバーを迎え、よりヘヴィかつモダンに進化したのさ。同じことが『BLACK ANIMA』(2019年)にも言える。これまたよりヘヴィな作品で、サウンドがさらにパワフルで、ギターがテンコ盛りだし、良いリフも多い。そうだな…こう言おうか──俺たちはエゴイスティックなバンドではないんだ。メタルに限らず、他のジャンルからも積極的に良い要素を採り入れ、今の時代に起きていることを反映させたいと思っているんだよ。

ディエゴ&クリスティーナ
Christina Scabbia(r.)

デヴィッド・ギルモアのようにメロディックに弾きたい

YG:『COMALIES XX』ではチューニングを下げましたか?

DC:このバンドはずっとスタンダードB──つまり7弦も含めてノーマル・チューニングでやってきた。でも今は、ドロップA──つまり7弦のみ1音下げにしているんだ。ちょっと低めというワケだね。だから『COMALIES XX』のレコーディングでも、すべての曲を7弦のみ1音下げチューニングで録ったよ。

YG:先日、10月15日にミラノのショウで『COMALIES XX』全曲をプレイしたそうですが、日本公演でも同様のセットリストを組みますか?

DC:いや、過去のアルバムからの曲やシングル・カットされた曲を選ぶよ。勿論、『COMALIES XX』からも何曲かプレイする予定だけどね。

YG:日本へ持ってくる予定のギター周りの機材は、もう決まっていますか? 

strong>DC:うん。俺は今、チャップマン・ギターズとエンドースしていてね。そのギターを2~3本持っていく。他の機材はLine 6“HX Stomp”のみ。小さなマルチ・エフェクトで最高の機材なんだ。

YG:“HX Stomp”にはアンプ機能もありますが、アンプもエフェクトもそれ1台で賄う…と?

DC:いや、そうじゃない。アンプやドラムなど、大きな機材は現地でレンタルする予定だ。“HX Stomp”はエフェクトとしてのみ使うんだよ。

YG:どんなアンプをリクエストしていますか? 

DC:ブラックスターとエンドースしているんだけど、メサブギーやエングルも大好きだから、その辺りがイイな…と思っているところさ。

YG:ケンパーなどのデジタル系を試したことは?

DC:一度もないんだ。

YG:オールドスクールなんですね?

DC:う~ん…そうかなぁ?(笑) 随分前に(POSITIVE GRIDの)“BIAS”を使ったことがあったけど、俺にとってはかなり複雑だった。実によく出来ているんだけど、あれはギター・オタク向けだね(笑)。俺はとにかく操作しやすい機材が欲しい。トーン用のつまみが3つもあれば、それ以上は必要ないよ。

YG:ラクーナ・コイルのサウンドにはディレイが欠かせませんよね? 良いクリーン・サウンドに対して何かコダワリは?

DC:クリーン、クランチなどを主に使っているから、良いクリーンに良いオーヴァードライヴは必須だね。

YG:ちなみに、チャップマンはいつから弾いているのですか?

DC:2019年のNAMMショウでメーカーのブースに出向いて、エンドース契約を交わしたんだ。それまではジャクソンを使っていたけど、(ブランド創設者の)ロブ・チャップマンに良いディールを約束してもらったんでね。チャップマンについては、来年とても興味深い製品の発表が待っている…と言っておこうか。今はまだ詳しいことは言えないけど(笑)、間もなく発表があると思うから、目を光らせておいてもらいたい。新興ブランドだけど、既に世界中で名前が知れ渡っているよね。今後の展開が楽しみだ。

ディエゴ チャップマン・ギターズ

YG:来日ライヴでヤング・ギター読者に特に注目して欲しい曲、注目して欲しいプレイというと?

DC:どうかな…。正直言って、俺はシュレッダーではないから。スローなソロをとてもメロディックに弾く。ピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアに影響を受けていて、彼だけをフォローしてきたんだ。あのトーンや彼の弾き方が大好きでね。常に参考にしてきたよ。だから、普段はメロディックなソロがメインで、速弾きはあまりやらない。でも2~3曲ぐらいは、テクニックを交えたちょっとしたソロをやったりすることもあるよ。そもそもギター・ヒーローとか、シュレッダーとかいうタイプじゃないけど。バッキングを弾くのが好きだし、ソロもいま言ったようなのが好みなんだ。それが俺だよ。誰もガッカリさせないとイイけど…(苦笑)。

YG:とんでもない! 味のあるソロを楽しみにしています!! そういえば、あなたが加わった頃から、ラクーナ・コイルは楽器隊が奇妙なメイクをするようになりましたね? あれはどういったキッカケで?

DC:何年か前、NYでライヴをやっていた時にマキが突然あのメイクをしてステージに上がったんだ。あっ…そうだ、思い出したぞ! キャプテン・スポールディングって知ってる? 映画(『マーダー・ライド・ショー』/原題は『HOUSE OF 1000 CORPSES』)に出ていたキャラクターなんだけど、アレを演じていた俳優(シド・ヘイグ)が亡くなった日(2019年9月21日)で、その追悼として、彼はあのメイクをしたんだ。それがキッカケとなり、それからみんなでメイクするようになって、それが今でも続いているというワケ。なかなか評判が良くて、みんな気に入ってくれているよ。

HOUSE OF 1000 CORPSES
マーダー・ライド・ショー

YG:あなたも特に抵抗なく…?

DC:ないない。楽しんでいるよ! 元々は自分たちの愉しみのために始めたことだけど、みんな「いいね!」という感じで満喫している。

YG:では最後に、再来日公演を楽しみにしている日本のファンにひと言お願いします!

DC:日本に戻って、単独公演が出来るなんて最高だよ! 出来るだけ沢山の人に会いたいな。そんなにしょっちゅう訪れることが出来るワケじゃないからね。みんなで一緒に楽しく過ごしたいな。ファンのみんなと一緒に過ごす時間を存分に楽しみたい。

前回──俺にとっての初めての日本公演では、到着の翌日がライヴ本番で、次の日にはもうオーストラリアに向けて出発する…というスケジュールだったから、時間が全然なくてさ。だから今回は、観光もしたいと思っている。君たちの国についてもっと知りたいんだ。だって、文化だって全く異なっているし、とにかく凄く楽しみで、今からエキサイトしているよ。

あの短い滞在時間に感じたのは、ちょっとした混乱だった。というのも──俺たちがプレイした場所がどの都市だったのかよく分かってなかったけど、高層建物が幾つも聳え立っていたのに、地下へ行くと小さなお店が沢山あって、素敵なレストランもあってさ。まるで映画みたいだった。あんな高いビルに囲まれているのに、小さくて素敵なお店があって、混乱しつつもそれが凄く気に入ったよ。勿論、日本食も楽しみなんだ。

ともあれ、みんなライヴを観に来てくれ! 近いうちに会おう…!!

ラクーナ・コイル2022
[from L.]Diego Cavallotti(g)、Christina Scabbia(vo)、Marco "Maki" Coti-Zelati(b)、Andrea Ferro(vo)、Richard Meiz(dr)

INFO

LACUNA COIL - COMALIES XX

COMALIES XX / LACUNA COIL

2枚組CD|マーキー・インコーポレイティド/アヴァロン
2022年12月21日発売

アルバム詳細

日本盤公式インフォメーション
Lacuna Coil – Avalon Label|Tokyo Japan

ラクーナ・コイル来日情報

ラクーナ・コイル2022来日フライヤー

日程:2022年12月16日(金)
会場:渋谷ストリームホール
開場: 17:00 / 開演:18:00
オープニング・アクト:Amiliyah

日本公演インフォメーション
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アーティスト公式ウェブサイト
Lacuna Coil – Black Anima