リッチー・コッツェン「ツアーの終着点という意味でも、日本公演は特別なものになるだろう」ザ・ワイナリー・ドッグス

リッチー・コッツェン「ツアーの終着点という意味でも、日本公演は特別なものになるだろう」ザ・ワイナリー・ドッグス

洋楽ロック/メタル・シーンの来日が相次ぐ中、11月中旬からは、スーパー・トリオ:ザ・ワイナリー・ドッグスのジャパン・ツアーが開催される。年頭に、10年ぶりとなる強力な3rdアルバム『III』をリリース後、同作を引っ提げて世界中を廻ってきた彼ら、ツアー終盤となる日本の地でも脂の乗ったパフォーマンスを見せてくれることが期待されている。

そこでYGは、現在のヨーロッパ・ツアーでデンマークに滞在していたギタリスト&ヴォーカリスト:リッチー・コッツェンをキャッチ。今のバンドの状況やライヴの手応え、日本公演に向けた意気込みなどを語ってもらうことができた。来日前の予習に、ぜひご一読いただきたい!

ベストな状態をみんなに等しく観てもらいたい

ザ・ワイナリー・ドッグス
[from L.]Mike Portony (dr), Richie Kotzen (g, vo) & Billy Sheehan(b) © Travis Shinn

YG:ザ・ワイナリー・ドッグスの3rdアルバム『III』が2月にリリースされ、その直後からアメリカや南米、ヨーロッパを廻るツアーを行なってきました。今はデンマークにおられるようですね? ここまでの手応えはいかがですか?

リッチー・コッツェン(以下RK):今のところ本当にグレイトに進んでいるよ。もうツアーの結構終わりに来ていて、本当の終わりをご存知の通り日本で迎えるんだ。その頃には、このアルバムを引っ提げたコンサートを95回やり遂げることとなる。かなり徹底的にプレイしまくったツアーとなるだろうね。ショウはすべてグレイトで、僕らがバンドとしてやってきた中でもベストなツアーだよ。僕らの間には良い空気が流れていて、プレイも上手くかみ合っているし、やっていてとにかく楽しいね。

YG:あなたは以前、ライヴ盤や配信よりもコンサート会場に足を運んで実際に演奏を観た時の、その場にしかない瞬間やフィーリングの素晴らしさを話してくれましたが、こうして改めてステージに立つと、そういった思いを実感することもありますか?

RK:それは、オーディエンスの視点からの方が強く感じると思う。もしそういったことを僕が過去に話していたとしたら、自分がバンドと一緒の空間にいるという体験の素晴らしさを伝えたかったんだろう。どんなに素晴らしく撮影された映像であっても、ショウ全体を沢山のオーディエンスと共に体験するっていうのは別次元のものなんだ。とてもグレイトな体験だし、これは何かによって置き換えられるものじゃない。いつの日かテクノロジーによってそれは実現されるかもしれないけど、それはまだ先の話だ。今のところライヴ会場に行き、バンドを生で観ることは価値のあることだし、その価値は失われないだろうさ。

YG:そして、コロナを経ての今回のツアーでもありますが、その反動で自分たちはパフォーマンスに飢えていたのだと感じることはありましたか?

RK:僕の場合、そういうことはなかったかな。こういった状況はたまたま起こったことくらいに考えている。ツアーは、僕らのスケジュールが揃ったからこれだけ大規模なものになったんだ。僕が今までやってきたツアーにどれだけパンデミックが関与したかというと、そこまで感じてはいないかな。というのもパンデミック以降に1ヵ月半ほど僕はソロ・バンドでツアーに出たし、スミス/コッツェンでも幾つかのライヴを行なったりしたからね。とはいえそこまで大規模ではなかったから、こうやって再び大掛かりなツアーに出てプレイ出来たことを、嬉しく感じるところもあるけどね。

YG:今年初めに行なった新作インタビューではあなたとビリー・シーン、マイク・ポートノイの全員に話を聞くことができました。マイクは「これだけの年月を一緒に過ごすと親密な関係になった」と語っていましたが、今のライヴを通して、さらにその感覚は強まっているのではないでしょうか?

RK:僕らは前作を作ってから、次のアルバムの作曲に入るまで長い間休止していた。なんてったって『HOT STREAK』は2015年にリリースしたアルバムだし、今や2023年だからね。8年もかけて次のアルバムに辿り着いている。僕らの間には、このバンドから長期に渡って離れたことで生まれた愛情や懐かしさがあったのだと思う。実際僕らが一緒になってアイデアを共有してレコードを作ることができて興奮していたし、ハッピーな空気で満ち溢れていた。

ただ、バンドで曲を書くのって自分独りで書くのとは全く異なっている。ギターやピアノに囲まれながらザ・ワイナリー・ドッグスで曲を書くのって、僕にとってはいつも簡単なんだ。パートが結構切り替わったり、より多くの人間の意見が入ってきたり、音楽的にインスパイアされるものがあったりする。だからアプローチが異なっているんだ。だけどこういった作業の美しいところって、自分独りじゃ作れなかったようなものを作り出せることにある。それが良いか悪いかはオーディエンスに判断してもらいたいところだけど、確実に興味深いプロセスと言えるだろう。それにしてもやっぱり、長いブレイクをとり過ぎたよね(笑)。

YG:ツアー初期の頃は新作から「Breakthrough」「Mad World」といった楽曲も加わっていましたが、今はこの2曲は外されているようですね。何か理由があったのでしょうか?

RK:僕らの間で共有していたのはセットリストを濃厚なものにさせたいということだった。セットリストを眺めていたら高いエネルギーの曲が多く、流れが一辺倒な感じがしてどこかで手を加える必要を感じたんだ。でもどちらかの曲を戻そうかと思っていて、このツアーの最後の幾つかのショウでは少し変更を入れようと考えている。ツアーが始まった当初ではフィットしないと感じていたけど、今のパフォーマンスでなら入れても良いんじゃないか…と感じるところもあるんだ。

YG:上記以外は基本的に全公演通して同じ内容のようですが、やはりショウの流れを考えると、あまり曲を入れ替えることはしないスタイルですか? セットリストを一切事前に組まず、ステージ上で判断しながらライヴを進めていくバンドもいますよね。

RK:それについては興味深いところがあるし、思い出すことがある。僕のトリオのソロ・バンドでは何年もセットリストを作らないでやってきた。ただその中でも、特定の曲の組み合わせができていて、ある曲が別の曲の導入的な流れを作っていることもある。例えば「Fear」をプレイしたらその次は「Doing What The Devil Says To Do」が続くように、ある程度決まっているんだ。昔からやってきていることで、これはこれでグレイトなことだよ。その時の空気を読んだり、僕の喉の調子に合わせて曲を選んでみたりするのは結構楽しくもあるね。

ただ、ザ・ワイナリー・ドッグスではそういうのは一度もやってこなかったんだ。もっと全体的なものを構築していく感じで、パフォーマンスとなってくるとビリーは結構レジュメに沿ったやり方で常にやっているからね。その一方で僕はもっとフリーでルーズにやっていくところがある。マイクは彼が関わるバンドの方法論に合わせていくようなところがある。そんな僕らだから、今後もライヴ中に「この曲をやろうよ」って具合にやることはなかなかないだろうね。

YG:セットが毎回同じとは言え、その中でも印象が変わってきた曲やライヴで新たに発展していった曲などはありますか? 

RK:うん、「Stars」はその代表で、ライヴの見せ場になっている曲といえるだろうね。ライヴ中でもインプロヴィゼーションを中心としたソロを弾くセクションに入り、僕も楽しみながら自由に発展させている。これは当初とは別の形に育ってきた曲の一つといえるだろうね。

僕らはステージ上で派手に振る舞うことよりも、音楽そのものや音楽的にインタープレイを繰り広げることに重きを置いている。それでいてソロの中でインプロヴァイズしまくるところもあって、例えば「The Other Side」のアウトロは僕の結構長いソロを大々的にフィーチュアしながらも、ビリーとマイクだってインプロヴァイズしてくれている。「Stars」でも同じようなことをしていて、「Desire」もどこに向かっていくのか分からないくらいセクションを発展させることもある。そして、ライヴごとにその着地の仕方も異なってくるよ。3人でやっていると、音楽的でスポンティニアスなものが結構生まれてくるんだ。だからオールドスクールなパワー・トリオのヴァイブのファンなら、僕らがやっていることに満足してもらえるんじゃないかな。

YG:楽しみですね。日本公演のセットリストはどうなりそうでしょうか? 例えば他の国とは違った、日本でのみ反応が高い曲はありますか?

RK:そういうのはないかもしれない。でも自分たちらしいライヴを披露するってことは約束出来るね。ブラジルやアルゼンチンなど沢山の国に行き、今日の僕らはどこにいるんだっけ? デンマークか。まだ移動のバスから出て歩いてすらいないんだけどね(笑)。アメリカの各地でプレイしたし、僕らはショウをすべての人たちに披露しに旅に出てきた。どこの国であるかにかかわらず、ザ・ワイナリー・ドッグスのベストな状態をみんなに等しく観てもらいたいんだ。何度も繰り返していくとレベル・アップして上手くなって進化していくようなもので、そうなった状態のものを日本に持って行きたいんだ。とても興奮しているよ。だって僕らは長らくそっちに行っていないし、誰にとってもグレイトな体験となるだろうからさ。

YG:今リッチーが歌っていて楽しい曲を、具体的に挙げてもらえますか?

RK:驚くかもしれないけど僕はシンガーとしてはメロウな曲の方が好きで、ファースト・アルバムの「Damaged」みたいな曲はバンドみんなで曲をサポートするような形になってプレイしていて楽しいよね。穏やかで静かな曲だから、シンガーとしての力量をより披露出来るところがあるんだ。

YG:新作からの曲でいうと?

RK:「Lorelei」のイントロの一部として昔の曲「Regret」を繋げてプレイしていて、これが上手い具合にハマっている。「Regret」は僕の声とピアノだけでプレイしているから、ライヴ中の見せ場にもなっているよ。ヘヴィな曲をプレイして張り裂けるようにスクリームしたり、ディストーションの効いたベースと僕のギター、鳴り響くシンバルでバチバチとやり続けるのは疲れることもあり、こういったしっとりとした瞬間っていうのは僕にとってハッピーなところでもあるんだ。メロウなひとときをセットリストに挟むことで、リラックスしてより一層シンガーとして挑めているんだ。

YG:「Gaslight」「Xanadu」「Stars」などはオーディエンスのリアクションも良いのでは?

RK:歌詞を口ずさんでくれているオーディエンスも結構いて、グレイトな気持ちになるよ。僕自身ステージ上で演奏していて、歌ってくれている人たちに助けられることもある。プロンプターで歌詞を確認する必要すらないんだよ。多くの人たちが、新作からの曲を結構頭に叩き込んだ状態で観に来てくれているようだね。

リッチー・コッツェン

ザ・ローリング・ストーンズの前座としてプレイしたことは最大のハイライト

YG:ギター・プレイにおいて、あなたがエレクトリック・ギターでのフィンガー・ピッキングを確立してから10年以上経ちました。既に完成されたギター・スタイルを持っていたあなたが、また新たな魅力を身につけたという印象でしたが、ここ最近で新しいテクニックを見つけたり、気に入って多用したりしている弾き方などはありますか?

RK:こういうのって、そもそも必要性に駆られてやり始めているんだ。今ではフィンガー・ピッキングに限らず、ピック弾き、かつてやっていたテクニックを再びやるようにしている。昔はスウィープやオルタネイトのピッキングを沢山やっていたから、指で弾きながらもそれらを再び取り入れるようなプレイもしている。久しぶりにピックを持った時、かつてのテクニックのすべてを失っていることに気付いてしまったんだ。面白いことに、指とピック弾きのどちらが優れているのかを決めたがる人が割と多い。でも実のところ、ツアーには持ってこないものの、今でもスタジオではピックを使ってプレイしているよ。ピックでなければ出来ないものも幾つかあるからね。

YG:過去最長のツアーということで、長時間メンバーと一緒にいることも多いと思いますが、ツアー中に曲を書いたりリハーサルでジャムったものが新曲に発展したりすることはありますか?

RK:面白いことなんだけど、ソロ・ツアー中の時は曲を書いて、それが後のアルバムに入っていったことは多々あった。でもワイナリーだと、奇妙なことにそういうことをほとんどやらないんだ。これだけ楽しいことが旅先で起こっているのだから、つくづくヘンだなと思うよ。多くの人たちがさぞかし僕らが気まぐれに曲を作ったりしているのでは…と思うのだろうけど、僕らはなぜかそういうバンドじゃないんだ。メロディーや歌詞、ギター・リフを書くのが僕ということもあって、作曲の大部分が僕の肩にかかっているというのもあるかも知れない。もちろんビリーとマイクが何も貢献していないという意味ではなくて、彼らは常に沢山のことをしてくれている。「しばらく作曲してくるね」っていう時と「よし、これからツアーに出るんだ。ショウをプレイするぞ!」という具合に僕らはモードを切り換えているようなところがあるんだ。このバンドではなぜかその2つが同時に起こらないんだよね。

YG:近年はPCとモバイルなレコーディング環境があれば、ツアー中のホテルや会場の楽屋でも十分なレコーディングが出来てしまいます。実際あなたがそうすることはありますか?

RK:それも面白いことがあって、ちょっとしたセットアップを用意してあり、君が言う通りのことをするつもりだったんだ。でも、オフの日があると実際はとても疲れちゃって、寝て過ごしてからジムに行って、ワークアウトを軽くするくらい。それに、ちょっとウェイトリフトをしただけで疲れてしまい、レコーディングのセットアップすらしてないんだ。出発する前は「準備させてくれ!」といって小さなキーボードやマイクなんかも積み込んだのに、いざツアーに出たら疲れちゃって、どうにもならないんだよね。

YG:そうなのですね…。さて、ワイナリーに限らず何度も日本に来てくれているリッチーですが、今回楽しみにしていることはありますか?

RK:僕の妻はブラジル出身で、彼女を初めて日本に連れて行くんだ。僕らにとって面白い時間にもなると思う。数日間のオフも過ごす予定なので、日本を少し開拓していきたいね。今まで何度も日本を訪れてきたけどいつも仕事漬けだった。今回はパートナーも一緒なので、今までとは違うスタイルの旅行になることを楽しみにしているよ。

YG:以前の日本での思い出で心に残っていることがあれば、教えて下さい。

RK:グレイトな記憶の一つとしては、2006年にザ・ローリング・ストーンズの前座として5〜6回プレイしたことかな。僕にとって日本を訪れた記憶の中で、現在までの最大のハイライトとなった出来事だよ。多くのクルーによくしてもらい、僕らは素晴らしい時間を過ごすことが出来た。僕が経験してきた中でベストなサウンドのステージだったし、すべてが完璧だったんだ。

YG:日本では東京の追加公演も決まったほど、たくさんのファンがワイナリー・ドッグスのライヴを楽しみにしています。読者やファンにメッセージをお願いします。

RK:僕らは日本に戻れるってことに本当に興奮している。さっきも話したけど本当に長らく振りだってこともあるし、ツアーの終着点という意味でも、今回の一連の日本でのショウは特別なものになるはずさ。僕らのファンは僕らのベストな状態を目撃することになる。ツアーの最初の方にありがちな「曲のこのパートを忘れた!」とか、手探りで定まってないところはもうないんだ。既に90回のショウをプレイしている。そう考えてくれたら、僕らがどれだけ準備出来ているか分かることだろう。リハーサルは万端だし、すべての人にとってグレイトな体験になるだろうね。

INFO

ザ・ワイナリー・ドッグス 2023ジャパン・ツアー概要

来日予定ラインナップ
ビリー・シーン(b)
リッチー・コッツェン(vo、g)
マイク・ポートノイ(dr)

ザ・ワイナリー・ドッグス2023来日公演告知

東京公演(追加)

日程:2023年11月17日(金)
会場:恵比寿ザ・ガーデンホール  
開場 18:00 / 開演 19:00
チケット料金(スタンディング):11,000円(税込/ドリンク代別途必要)

大阪公演

日程:2023年11月20日(月)
会場:Zepp Namba
開場 18:00 / 開演 19:00

チケット料金(全席指定):11,000円(税込/ドリンク代別途必要)

広島公演

日程:2023年11月21日(火)
会場:BLUE LIVE HIROSHIMA  
開場 18:30 / 開演 19:00

チケット料金(スタンディング):11,000円(税込/ドリンク代別途必要)

名古屋公演

日程:2023年11月22日(水)
会場:ボトムライン  
開場 18:30 / 開演 19:00
チケット料金(スタンディング):11,000円(税込/ドリンク代別途必要)

東京公演

日程:2023年11月24日(金)
会場:LINE CUBE SHIBUYA  
開場 18:15 / 開演 19:00
チケット料金(全席指定):S席 11,000円 / A席 10,000円(税込)

詳細・お問い合わせ:ウドー音楽事務所

公演ページ:THE WINERY DOGS – ウドー音楽事務所

企画・招聘・制作:ウドー音楽事務所
協力:ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル

ザ・ワイナリー・ドッグス『III』

THE WINERY DOGS - III

III / THE WINERY DOGS
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