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ANGRA ラファエル・ビッテンコート&マルセロ・バルボーザ 本誌未掲載インタビュー

インタビュー●蔵重友紀 Yuki Kurashige 通訳&翻訳●川原真理子 Mariko Kawahara Pic : Enrique Grandi

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去る2月に最新スタジオ・アルバム『OMNI』を発表したブラジル・メタル・シーンの代表的バンド、ANGRA。そのファミリーの一員でありつつも現在はメガデスでの活動に重きを置くキコ・ルーレイロに代わって、メンバー旧知の仲であったマルセロ・バルボーザ(アルマー、etc.)をギタリストとして迎え入れ、新たなチームワークとケミストリーの中で完成されたのが本作だ。その内容について、YGでは本誌3月号にバンド創設者のラファエル・ビッテンコートとマルセロによるインタビューを、現在発売中の4月号にはDLC映像連動で2人の最新奏法分析記事を掲載している。ここでは、誌面スペースの都合でカットしていた3月号インタビューの未掲載部分をお届けしよう!

レコーディング前の音作りに何時間もかけるんだ

YG:ニュー・アルバム『OMNI』におけるギター・パートの音作りはいかがでしたか? 

ラファエル・ビッテンコート(以下RB):本作のプロデューサーであるイェンス・ボグレンと、彼と共にレコーディング・エンジニアを務めてくれたデイヴィッド・カスティリオから「たくさんの機材を用意したよ」と言われたので、曲毎にいろいろ使ったんだ。デイヴィッドはレコーディングをするたびに、常に新しいセッティングを試していた。アンプのツマミをいじったり、ペダルをしょっちゅう変えたり…だから何の機材を使っているのか把握するのはなかなか難しかったね。

マルセロ・バルボーザ(以下MB):いろんなセッティングでいろんなテイクを録ったからね。最終的にどうなったのかはっきりとは言えないな。彼らほどのレベルになると、こんなにもいろんな物をいろんな組み合わせて使うんだ…と思ったよ。

RB:努力を惜しまない彼らの姿に感動したよ。最近じゃ、この音で録ってみたけど曲に合わなかった、そしたらミックスの時にリアンプしてみよう…といったことをするのが普通だけど、彼らは違う。ミックスの段階では単純にミックス作業しかしないのさ。だから事前の音作りに何時間もかけるんだ。あれは凄い経験だった。3時間を費やしてセッティングしたサウンドよりも、その前に試したサウンドの方が良かった…ということもあったからね(笑)。

MB:そう、結局最初のアイデアに逆戻りさ。「え〜っ!!!」って感じだったけど、イェンスはありとあらゆる可能性を試してみて、その中から最高なサウンドを見つけないと気が済まないんだよ。たとえそれが一番最初のものであったとしても、だ。

YG:こだわりの程が伺えますね。では、どんなギターがあったのですか? 

MB:リードやソロに使ったのは、アイバニーズ“Prestige”とサー。あと、スタジオにあったギブソン・レスポールとPRSギターズの“Custom 22”。それに、フェンダーのバリトン・ギターだ。デイヴィッドの持っているギブソンのゴールドトップ、PRSギターズ、ヤマハの新しいモデル“Revstar”も使ったね。バッキングには、主に“Evertune”ブリッジを搭載したESPを使った。かなりゲージの太い弦を使ったんだ…確か、(1弦から)[.012〜]のセットだったと思う。チューニングを全弦1音下げにしていたから、弦が太くないと弾きにくいんだ。でも感触がベースみたいなんで、慣れるまでに2時間かかったよ。それと、PRSでオーヴァーダブすることもあった。

YG:アンプ周りに用意されていたのは?

MB:バッキングの方はヘッドにEVH“5150”を使い、その前にアイバニーズ“Tube Screamer”などを置いてちょっと歪ませていた。リズム系はほぼこのアンプだったけど、キャビネットが何だったかはわからないな。2台同時に使っていて、1台はメサブギー、もう1台はマーシャルだったと思う。リードとソロに関しては、曲毎にアンプが変わっていたよ…メサブギー“Dual Rectifier”等を使った。

RB:アンプもキャビネットも、常に3種類ずつ試してみたんだ。…それから、たくさんのエフェクター。ディレイ・ペダルだけでも5〜6種類あったよ。

MB:古いものばかりで、デジタル系はなかったな。

RB:クリーン・サウンドにもエフェクトをかけたんだけど、使われたのはなんとテープ・エコーだった。本物の古いヤツで、まだちゃんと動いてたよ。僕は以前見かけたことはあったけど、使ったのは初めてだ。そうやって、いろんな音を重ねて行ったのはすごく楽しかったね。

MB:そうそう、YouTubeで公開しているメイキング動画の中に、「Travelers Of Time」のギター・パート用に音作りをしている様子が入っているんだ。そこでも観られるんだけど…フェイザー、フランジャー、ディレイなど、いろんなものを繋げたり変えたりしているうちに、ある時偶然笛のようなすごい高音が出たんだよ。“ウィ〜ン、ウィ〜ン”ってね! まるでポルターガイストのようにず〜っと鳴っていて、止められなかった。デイヴィッドはそれも録音して、ミックスに使っていたよ。ループ再生させてエコーをかけて、すごく変な音に加工して…(編註:CD Time 2:12〜、3:21〜付近だと思われる。動画はこちらの5:15辺り)。

YG:さて、日本盤にはボーナス・トラックとして「Z.I.T.O.」の2018年ヴァージョンが収録されています。原曲は1996年『HOLY LAND』でしたが、チューニングが1音下がり、モダンで迫力ある仕上がりになっていますね。オリジナルもエキサイティングですが、より洗練されたこちらも素晴らしく、甲乙つけがたいほどです。ラファエルはいかがですか?

RB:僕達は既に、現在のラインナップで昔の名曲をライヴ演奏していた。1stアルバム『ANGELS CRY』(’93年)に収録された「Carry On」もやったし、『HOLY LAND』を全曲プレイしたこともあったよ。でも、それをスタジオでやったらどうなるかを、みんなに聴いてもらいたかったんだ。そうすればリスナーは、このバンドの変わっていないところと新しいところがわかるだろうからね。セルフ・カヴァーは、それを見せられるいい方法だと思ったんだ。

YG:ソロ・パートは、マルセロがかつてのキコのソロを新たに練り直したのか…と思っていたら、こちらのヴァージョンでもキコが弾いたそうですね?

MB:ああ、今回のレコーディングではキコ本人が弾いたんだ。ライヴでは、できるだけオリジナルに忠実に弾くよう心がけているよ。

RB:当初はマルセロが昔の曲を弾くところをみんなに聴いてもらいたかった。でも、この曲のリメイクをすることをキコがとても喜んでね、彼も参加したいと言い出したんだ。それで、キコが相変わらずファミリーの一員だということをみんなに知ってもらうためにも、それがいいと思ったんだよ。

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