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「カコフォニー時代のソロを元に曲を書いた」ジェイソン・ベッカー、新作『TRIUMPHANT HEARTS』制作背景を振り返る

「カコフォニー時代のソロを元に曲を書いた」ジェイソン・ベッカー、新作『TRIUMPHANT HEARTS』制作背景を振り返る

ジェイソン・ベッカー

1月10日発売のヤング・ギター2019年2月号に掲載されるジェイソン・ベッカーのインタビューから一部を公開! ご購入はこちらから。

17歳の時にカコフォニーの一員としてシュラプネルからデビュー、天才ギタリストと崇められたジェイソン・ベッカー。ご存知の通り、彼は1991年にALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病に身体を冒され、以降自身ではギターを弾けなくなってしまった。しかしジェイソンの音楽表現に対する欲求は尽きることなし。コンピュータを駆使した作曲活動を続けた彼は、強力なゲスト・ミュージシャンたちの手を借りて完成させた新作『TRIUMPHANT HEARTS』を、先頃遂に発表した。近年も未発表音源を集めたコンピレーション的作品はいくつか世に出ていたが、ニュー・アルバムとなると実に23年ぶり。先行公開されていた「Valley Of Fire」を聴き、13人ものゲスト・ギタリストの一斉参加という話題性はもちろん、ジェイソンらしい情熱的なメロディーに感銘を受けたファンは多いだろうが、この曲以外にもアルバム全体が実に魂のこもった楽曲ばかりで構成されている。ジェイソンの才と名手たちの力奏が化学反応を起こした、愛に満ちた1作だ。

カコフォニー時代のソロを元に曲を書いた

YG:純粋なニュー・アルバムを発表するのは、1995年の『PERSPECTIVE』以来となりますが、アルバムを作ろうというプランが立ち始めたのはいつ頃のことだったのでしょうか?

ジェイソン・ベッカー(以下JB):特に計画したわけではなかったんだ。ここ数年、ずっと曲を書いているうちに、1枚のアルバムが作れそうな感じがしてきてね。十分な数が揃ったところで、新しいアルバムの制作を考え始めたというわけ。それから、僕自身のストーリーを伝える歌詞を自分で書いていたら、それを乗せた曲が欲しいなと気付いた。それが「Hold On ToLove」だ。これとは別に、プリンスが亡くなった翌日、彼自身と彼の音楽に向けた曲を、歌詞も付けて書きたいと思った。自分が昔弾いたギター・プレイも入れた形でね。それに何年も書き続けていたクラシック音楽の曲をまとめて、さらに西部劇みたいな曲も書きたかった。子供の頃、何度か連れられて行った砂漠への旅行や、エンニオ・モリコーネのマカロニ・ウェスタン映画のテーマ・ソングみたいな曲が大好きだったからね。その曲では、自分の大好きなギタリストたちをフィーチュアしたらどうだろうか…と考えた。これが「Valley Of Fire」。つまり1つ1つの曲が、僕がそれを作った時にどんな気持ちだったかということを表していて、そしてこのアルバム全体が、ここ数年間で僕がやってきたことを表しているというわけ。僕にとっても、関わった多くの人たちにとっても大仕事だった。だから“TRIUMPHANT HEARTS”(訳註:勝利を喜ぶ勇士たちといったニュアンス?)というタイトルにしたんだよ。たくさんの手助けなしには、このアルバムを完成させることはできなかった。

YG:あなたのドキュメンタリー映画『NOT DEADYET』が2012年に公開されたことで、おそらく多くのファンから反響があったと思います。その声があなたのアルバム作りのモチベーションになった、ということはありましたか?

JB:それは関係なかったな。素晴らしい感想をもらえることはいつだって素敵なことだけど、僕のやることは音楽を作ることであり、そのモチベーションはむしろ自分の頭の中にある音楽を外に出したいという思いからきている。外に出せば、自分も聴くことができるからね。そしてこのアルバムを作るに当たって、クラウドファンディングが成功した時はさらにモチベーションが湧いたし、圧倒されもした。僕のためだけでなく、世界に向けて素晴らしい作品を作りたいと思ったよ。

YG:1曲目の「Triumphant Heart」はチェロの美しい響きに加えて、マーティ・フリードマンによるエキゾティックなソロもあって、実に壮大ですね。この曲を書くに当たっては、マーティに弾いてもらうことをすぐに思いついたのでしょうか?

JB:すぐには考えつかなかった。この曲にあんな日本風の響きがはまるだろうなんて、まったく計画してなかったしね。僕は最初、メロディー以外の全パートを書いていたんだよ。すると、曲の中でパワフルなペンタトニック・スケールが聴こえてきた。そこからメロディーを書いた後、ここにマーティのプレイを入れるべきだということがはっきり見えたんだ。僕の共同プロデューサーであるダン・アルヴァレスも曲の終盤で美しいピアノを弾き始めたので、それで決まりだった。マーティは僕がアルバムを作っていることを知るとすぐに、自分が弾ける音源は何でも送ってくれと連絡をくれた。それで彼にこの音源を送ったんだ。

YG:この曲や「Valley Of Fire」以外でも、アルバム制作においてマーティが尽力してくれた部分は多かったのでしょうか?

JB:マーティは、僕がお願いすれば何でもプレイして、助けてくれるからね。実は今回、マーティが聴くよりも前に曲が書き上がっていたんだ。だから彼が手伝ってくれたのはミックス・ダウンの部分だ。ほとんどを手伝ってくれたと言っていいだろう。僕は自分の耳を信じていなかったから、曲を送っては助言を仰いでいた。オーケストラの4曲も送ったね。マーティは素晴らしいアドヴァイスをたくさんくれたよ。例えば「Once Upon A Melody」では、僕のギター・ソロをもっともっと目立たせてほしいと言ってきた。カコフォニーの「Go Off!」(1988年『GO OFF!』収録)から持ってきたソロなんだ。そんな感じで…それにスティーヴ・ハンターも、ミックスに関して素晴らしい助言をしてくれたよ。

YG:今挙がった「Once Upon A Melody」では、2度目のソロに「Go Off! 」の音源を使っているんですよね? さらに1度目のソロには、カコフォニー時代のデモから発掘された、あなたのリード・プレイが使われているそうですが、曲全体が素晴らしくエモーショナルに仕上がっていますね。

JB:どうもありがとう! そう言ってもらえて嬉しいよ。

YG:これは曲が先にあって、後から曲に合うソロを見つけたのですか? それとも最初にソロを使おうと思い立ち、そこから曲を書いたのでしょうか?

JB:この曲はあのソロを元に書いたんだ。古い4トラックのテープから1番目のギター・ソロを見つけた時は凄くワクワクしたよ! 本来は「Black Cat」(『GO OFF! 』収録)のイントロに使うつもりで弾いたものでね。他のトラックをミュートして、ギターだけにして聴いてみたらインスパイアされて、それを土台にして曲を書いたんだ。「Go Off!」のソロは僕のお気に入りで、最初はこれを元に違った曲を書きたいと思っていた。結果的に、屈託のない僕の子供時代、ギターを弾いていた10代、そして作曲に専念する今の時代のすべてが1つの曲に反映された形になったよ。

YG:ジェイク・シマブクロがウクレレを弾いた「Fantasy Weaver」は、まるで映画音楽のような壮大さですね。これに関しても、カコフォニー時代に書いたアルペジオが曲の土台になっているそうですが?

JB:そうだね、2分辺りのところに出て来るハープのアルペジオは僕が書いたんだ。あと2~3箇所、カコフォニー時代に重ねたパートが入っているよ。実はカコフォニーでライヴをやっていた時…

この続きは、1月10日発売のヤング・ギター2月号にて。

特集内には、ほかにも下記内容を掲載。

●マーティ・フリードマン 最新インタビュー
●ジェイソン・ベッカー バイオグラフィ
●「Valley Of Fire」にて客演したガス G.、ジェフ・ルーミズ、ニール・ショーン、リッチー・コッツェンのコメント
●「Valley Of Fire」ギタリスト12名のギター・ソロを徹底奏法分析
feat. マイケル・リー・ファーキンス、スティーヴ・ヴァイ、ジョー・ボナマッサ、ポール・ギルバート、ニール・ショーン、マティアス“IA”エクルンド、マーティ・フリードマン、グレッグ・ハウ、ジェフ・ルーミズ、リッチー・コッツェン、ガス G.、スティーヴ・ハンター

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お楽しみに!

当ページの連動記事をヤング・ギター本誌に掲載!