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“クイーンの理解者”ヌーノ・ベッテンコートの体験談「分析して歌詞を読んで歌って…ただただ夢中になっていた」

インタビュー●坂東健太 Kenta Bando Pic●William Hames

Nuno Bettencourt

1月10日発売のヤング・ギター2019年2月号『クイーン特集』内に掲載されるインタビューを一部公開! ご購入はこちらから。

ロック・ギター界でクイーンのことを語らせるなら、まずこの人をおいて他にいない…ご存知ヌーノ・ベッテンコート。彼自身が体験してきたエピソードの数々は、まさにクイーン・ヒストリーの一部と言っても過言ではない。

今回ヌーノ・ベッテンコートに話を聞いたのは、“GENERATION AXE”のツアーに区切りがついた昨年12月半ばのこと。情報通の読者諸氏ならご存じだろうが、今回の同ツアーにて彼らは「Bohemian Rhapsody」をインストゥルメンタル・アレンジでプレイしている。ヌーノ、スティーヴ・ヴァイ、イングヴェイ・マルムスティーン、ザック・ワイルド、トーシン・アバシの5人が奏でるあの名曲が素晴らしくないはずもなく、このタイミングで来日してくれていたら大きな話題になったはずなのに…と、思わずないものねだりしてしまったのは筆者だけではあるまい。

さて、ヌーノと言えばクイーンのメンバーと親交が深いことで知られており、また本人がここからのインタビュー内で語ってくれている通り、エクストリームはブライアン・メイ本人から直々に“クイーンの理解者”として太鼓判を押された存在。そんな彼に、かの有名な“Freddie Mercury Tribute Concert”出演時を始めとする、クイーンにまつわる様々なエピソードを振り返ってもらった。時間にして30分ほどではあったが、内容が実に濃密なので短さを感じないのではないだろうか。単なるファンやマニアでは語り得ない、リアルな体験談を楽しんでほしい。

分析して歌詞を読んで歌って…ただただ夢中になっていた

YG:クイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』が、現在日本でも空前の大ヒット中です。アメリカではどんな状況ですか?

ヌーノ・ベッテンコート(以下NB):ゴールデングローブ賞にノミネートされたらしいよ。昨日ブライアン・メイからメールがあって、「(授賞式のある)1月に会えるかな?」って聞かれたんだ。もしかしたらアカデミー賞なんかにも選ばれるかもしれないね。

YG:すごいですね。ヌーノ自身は既に観ました?

NB:ああ。“GENERATION AXE”のツアー中に、スティーヴ・ヴァイと一緒に観に行った。良かったんじゃないかな! とは言え、僕にはちょっと難しい部分もあってね。普通の音楽ファンと、ミュージシャンとしての見方はちょっと違うからさ。例えばシナリオの進み方は、事実とは順番が異なっていたりするよね? クイーンの歴史のハリウッド・ヴァージョンを作ることにフォーカスしているというか…、音楽よりもドラマ的な要素が強いかな。もちろんそれは良いことだよ、やっぱりストーリーがなくちゃね。全体的には良かったし、しっかり楽しませてもらったよ。スタジオにいるクイーンのポップなヴァージョンを観た気がした。

「Bohemian Rhapsody」などの曲作りのシーンなんかは、面白おかしく描写されていたな。フレディ・マーキュリーは完全なる天才だったわけじゃないと、僕は思うんだ。映画の内容は音楽性の変化がどうこうというよりも、そんな彼の人生の紆余曲折に関わる部分が大きかったと思う。重ねて言うけど、そういう見せ方になっているのは悪いことじゃないよ。映画として仕立て上げるにはむしろそうしなきゃいけない。じゃないと、お客さんに気に入ってもらえなくなるからね(笑)。映像がただのスタジオ作業だけになってしまうのも、どうかと思うしさ。

YG:ヌーノ自身が初めてクイーンの存在に気付いたのは、何歳の頃でした?

NB:6年生の頃…いや、8~9歳かな? それより前に聴いていたことは間違いないよ。だけどすごさに気付き始めたのは、8~9歳の頃だった。

YG:つまり、相当幼い頃から大ファンだったということですね。

NB:ああ、そうだよ。取り憑かれていたね。1曲1曲を分析して、歌詞を読んで歌って…。ただただ夢中になっていた。僕は純粋に、彼らの音楽的才能に魅せられたんだ。ラジオから流れてくる曲はどれも、1曲の中に豊富な音楽の要素が詰まっていた。AC/DCの曲は3つか4つのコードで成り立っていて、それが格好いいよね。対してクイーンはコード、ハーモニー、セクション展開の仕方など、素晴らしく壮大なものばかり。1曲1曲が大イベントなんだ。ただの曲じゃない、イベントだよ(笑)。

YG:それなら、クイーンのライヴを観たのも早かったのでは? 初めて観たのはいつだったのでしょう?

NB:悲しい事実を教えてあげるよ。あの4人がいたクイーンは、一度も観たことがない。

YG:本当ですか?

NB:ああ、一度もない。許してもらえなかったんだ。僕の兄貴たちはボストン・ガーデンで行なわれたライヴに行ったんだけど、僕はまだ小さかったから連れて行ってもらえなかった。すごくがっかりしたよ。その後ミュージシャンになりたくて仕方なかった僕は、音楽の勉強に明け暮れていたのに、何故かバンドのライヴというものにあまり注目していなかった。ギターの弾き方を学んだり、ベースを弾いたりしている頃はね。どうしてだか分からないけど、興味がなかったんだ。今、すごく後悔しているよ(笑)。

YG:初めて聞く話ですね。ギターを真剣に弾き始めていた頃、クイーンの楽曲もかなりコピーしたのではないでしょうか?

NB:クイーンって、ヴァン・ヘイレンやAC/DC、レッド・ツェッペリンみたいに、聴いたらすぐコピーできるっていうわけじゃないんだ。それに必ずしも同じように弾く必要はないと思っていた。たくさんの要素が入っているしね。でも、シンプルなパート…例えば「Tie Your Mother Down」(1976年『A DAY AT THE RACES』収録)のリフとかは弾いていたな。そんな風にして所々コピーしたパートはあるけど、1曲全部というのはなかったかも。

YG:それはつまり、クイーンの音楽の複雑さに気付いていたからですよね。弾き方が分からない曲も多かったのでは?

NB:ああ。弾くよりも聴いて楽しむタイプのバンドだったね。クイーンの音楽に対しては、リスナーとしてのファンだったと言うべきかな。ちなみにクイーンのメンバーの中で僕が最も大きな影響を受けたのは、もちろんブライアン・メイだけど…

この続きは、1月10日に発売されるヤング・ギター2月号をお楽しみに!

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