“帝国軍”インスト・バンド:ギャラクティック・エンパイア、ヤング・ギターに襲来!!

“帝国軍”インスト・バンド:ギャラクティック・エンパイア、ヤング・ギターに襲来!!

映画『スター・ウォーズ』シリーズのサウンドトラックをメタル・アレンジし、これまで2枚のアルバム(2017年『GALACTIC EMPIRE』&2018年『EPISODE Ⅱ』)をリリース。ライヴ活動も精力的にコナしている“帝国軍”インスト・バンド:ギャラクティック・エンパイアが、ヤング・ギターに襲来!

その記念すべき初インタビューは2020年4月号に掲載済みだが、ここでは現メンバーのCJ・マシャントニオ(カイル・レン)&クリントン・タスティン(レッド・ガード。今後、新ダーク・ヴェイダーに就任)、そして、昨年末に電撃脱退したクリス・ケリー(元ダーク・ヴェイダー)という3人のギタリストに、さらにグググ…と迫ってみよう。それぞれの個人データやバックグラウンドに加え、ギャラクティック・エンパイアとはまた別の活動バンドについても、ガッツリと語ってもらった…!!

CJ Masciantonio CJ・マシャントニオ

GALACTIC EMPIRE - CJ Masciantonio
①生年月日
1994年2月15日
②出身地
ペンシルヴェニア州ピッツバーグ
③ギターを始めた年齢
13歳頃
④影響を受けたギタリスト
エドワード・ヴァン・ヘイレン
⑤他の活動バンド
TETHRA

初めて組んだバンドはハード・ロックとオルタナ・メタル

俺がギターを始めたのは13歳くらいの頃で、当時からクラシック・ロックやブルース、あと’80年代のHR/HMともっと新しめのバンドを聴いていたよ。ヴァン・ヘイレン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、アヴェンジド・セヴンフォールド、レーナード・スキナード、エリック・クラプトン、パンテラ、ドリーム・シアター、キルスウィッチ・エンゲイジ、エリック・ジョンソン、ガンズ・アンド・ローゼズ、デフ・レパード…などなどだね。なかなか多彩なラインナップだろ?

他にギターを弾く家族はいなかったから、まずは先生についてレッスンを受けたんだ。でも、それは最初の何年かだけで、以降は独学で腕を磨いていった。ただ、レッスンで学んだことは自分のプレイの大きな基盤になっているとは思うな。

初めて組んだバンドは、ハード・ロックとオルタナ・メタル色が強いサウンドを志向していた。アヴェンジド・セヴンフォールド、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン、スリー・デイズ・グレイスといったバンドから多大な影響を受けていたからね。あと…実は、ゴーストライターを務めたこともあるんだ。ジャンルはメタル、ロック、それからラップやポップスも。色々なプロジェクトを幅広く手掛けてきたよ!

現在のメイン・ギターはシェクターで、“C-7 FR SLS Elite”と“C-1 FR SLS Elite”を使っている。ライヴ用のリグは、フラクタル・オーディオ・システムズの“Axe-Fx Ⅲ”だね。

TETHRA

TETHRAは俺にとって2番目のバンドなんだ。最初のバンド(UNPARALLELED HEIGHT)が終わった後、数年間で沢山のリフやアイデアを書き溜めたんで、それらを最終的に使ったのがTETHRAだった。クラシック・メタルから今どきのメタル、そしてプログレ・メタルなどに影響されているけど、実のところ、あまり明確な方向性は持つことなく、俺自身が自然に「これだ!」と感じた音楽をやっている。そうして完成したアルバム『TETHRA』(2019年)には、クレイジーなリフ、キャッチーなヴォーカル、激しいドラムが詰め込まれていて、実にクールに仕上がっていると思うな。

このアルバムでは、複雑なタッピングを色々と実践しているよ。特に、「Conquer & Dethrone」「The Hourglass」のタッピング・テクニックには注目してほしいな。あと「Eternal Flame」のソロはシュレッドが際立っていて、左手の使い方が他の曲とは全く異なっているから、そこにも着目してもらいたいね。冒頭ではアーム・バーを駆使していて、その後のディミニッシュを使った音使いが邪悪なムードを醸し出しているのも気に入っているよ。でも、単にシュレッドするのではなく、聴いたあとで心に残るようなフック、プレイに印象深い瞬間を持たせたいと常々思っていてね。メロディックなプレイに激しいシュレッドのリックを組み合わせて、ユニークなタッチにするようにも心掛けている。そうやって俺は、ギター・プレイで自己表現しているのさ!

TETHRA - TETHRA

TETHRA/
TETHRA

CD&配信|2019年発売

Amazonでみる

Clinton Tustin クリントン・タスティン

GALACTIC EMPIRE - Clinton Tustin
①生年月日
1992年9月
②出身地
ペンシルヴェニア州ダウニングタウン
③ギターを始めた年齢
13歳頃
④影響を受けたギタリスト
ガスリー・ゴーヴァン、ポール・ギルバートなど
⑤他の活動バンド
なし

近所の“スクール・オブ・ロック”で大半のテクニックを学んだ

俺にとって最初の楽器はトランペットで、9歳で手にして以来ずっとそっちにのめり込んでいたけど、父親がガレージ・セールで超ボロボロのアコースティック・ギターを20ドルで買ってきてからは、それをいじって遊ぶようになってさ。当時は13歳ぐらいで、メタリカやメガデスに夢中な一方、AC/DCやレッド・ツェッペリン、ヴァン・ヘイレンといったクラシック・ロックにもかなりのめり込んでいた。それで弟と一緒に、初心者向けのグループ・レッスンへ通うようになったんだよ。

ただ、家にあった古いアコースティック・ギターは子供が弾くには大変だったから、両親がストラト・シェイプを借りてきてくれてね。結局、そのギターは俺が独り占めして一日中ずっと弾きまくっていたよ。その後は2年間ほど独学で練習しまくって、近所の“スクール・オブ・ロック”に参加した。ここの先生が凄いギタリストでさ! 1年間だけだったけど、テクニックの大半はそこで学ばせてもらったな。同年代の才能あるプレイヤーも沢山いたし、カヴァー・ソングをやる機会もあって、俺にとって素晴らしい学びの場となったね。

初めての自分のギターは、スクワイアのテレキャスター・モデル。両親が買ってくれるというんで、昔からギターを弾いていた叔父が一緒に選んでくれたんだよ。影響されたギタリストは、ガスリー・ゴーヴァン、ポール・ギルバート、ダイムバッグ・ダレル、エディー・ヴァン・ヘイレン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ジミ・ヘンドリクス、マーティ・フリードマン、トム・クウェイルなどなど。彼らからは、今でも毎日のようにインスピレーションを得ているよ。あと同世代のギタリストだと、ザ・ブラック・ダリア・マーダーのブランドン・エリスが、最近のお気に入りだね。

最初に友達とジャムり始めた頃は、クラシック・ロックの名曲をカヴァーしたり、12小節のブルースでジャムったりしていたんだけど、14歳の時に2つのバンドを始めた。ひとつは初期のレディオヘッド、アークティック・モンキーズ、ザ・ストロークスといったところに影響されたオルタナ・ロック・バンドで、もうひとつではもっとヘヴィなことをやっていて、アヴェンジド・セヴンフォールドやキルスウィッチ・エンゲイジ、オール・ザット・リメインズみたいな音楽を目指していたよ。

現在レッド・ガードとしては、オーストラリアの弦楽器メーカー:オームスビー・ギターズの“Goliath”をメインで弾いている。ファンド・フレットのマルチ・スケール、ヘッドレスの7弦なんだ。オームスビーとは2017年に俺がCAROUSEL KINGSというバンドに入った時からずっとエンドース契約を結んでいてね。あと他にも、ギブソン・レスポールとかアイバニーズ“RG550”、シャーベルやジャクソン、ブリードラブのアコなんかも所有していて、最初に買ってもらったスクワイアのテレキャスター・モデルもまだ持っているんだよ。

Chris Kelly クリス・ケリー

GALACTIC EMPIRE - Chris Kelly
①生年月日
1992年5月
②出身地
ペンシルヴェニア州ドイルスタウン
③ギターを始めた年齢
10歳頃
④影響を受けたギタリスト
ジョン・ペトルルーシ
⑤他の活動バンド
ALUSTRIUM

ギターを始めたキッカケはリンジー・ローハン

俺がギターを始めたのは10歳ぐらいだったんだけど、そのキッカケがなかなか面白くてね。実は、リンジー・ローハンが映画『フォーチュン・クッキー』(2003年)でギターを弾いているのを見たからなんだ。もちろん、当時はそれがフェイクだなんて知りもしなかったけど、ディストーションのかかったギターを耳にして、とにかく「欲しい!」と思ったのさ。その後、“スクール・オブ・ロック”というプログラムに参加し、ハイスクール卒業まで続けた。週に一度45分のレッスンと3時間のリハーサルがあって、すべては四半期に一度の発表会のためだったから、全く油断ならなくてさ。そこでの経験が、プレイヤーとしての俺を形成したと言ってもイイ。何もかもあのスクールのおかげだよ。

その“スクール・オブ・ロック”参加前に好きだったのは、グリーン・デイ、ブリンク182、シンプル・プランなど当時ラジオでかかっていたモノ全般だね。でも、“スクール・オブ・ロック”の先生が(メタリカの)「Creeping Death」(1984年『RIDE THE LIGHTNING』収録)を弾いて見せてくれたことで、何もかもが一変した。以降はもっぱらクラシック・ロックにハマりまくり、以来メタルこそが俺の人生になったんだ。

家族の中では父がアコースティック・ギターを少し弾く程度で、あまり高度なことをやっていたワケではなかったから、ギターを始めてすぐの頃は地元のギター・ショップを回って、教えてくれる人を探したりもしていたよ。でもまだガキの頃は父のプレイを見たり聴いたりするのが大好きで、いつも「クールだ!」と思っていたな。当時のギターヒーローは──そうだな、凄く難しい質問だけど、どうしてもひとりピックアップするなら、やっぱりジョン・ペトルーシだ。彼のプレイからは、俺が他に尊敬の念を抱いてきた大半のアーティストを遥かに上回る影響を受けているんでね。

初めて組んだバンドでも、もちろんメタルをやっていたよ。初ライヴの時に名乗ったのはRED VITALITYだったっけ…? 冬にガレージで1回だけプレイした。しかも誰かがマイクを壊してしまったから、ヴォーカルなしで1曲だけやって、もうそれで終わりだったね(苦笑)。

現在のメイン・ギターはキーセルで、フィッシュマンのピックアップを搭載している。他はフラクタル・オーディオ・システムズ“Axe-Fx Ⅲ”、アーニーボールの弦、あとはステージでさらにヴォリュームがほしい時はメザブギーのアンプとキャビネットも使っているよ。

ALUSTRIUMについて

ALUSTRIUMは2008年結成のALTERED IMAGEから派生し、2010年にスタートした。俺の相棒はマイク・デマリア(g/ギャラクティック・エンパイアの初代レッド・ガード役)で、2015年に出た『A TUNNEL TO EDEN』は『AN ABSENCE OF CLARITY』(2011年)に続く2ndアルバムだ。このバンドでは俺もマイクもメロディックな方向性を採っているけど、中でもタイトル・チューン「A Tunnel To Eden」のマイクのソロは死ぬほどカッコいいからぜひチェックしてくれ。あと俺のお気に入りは、アルバムの最後にある3部構成の組曲「The Illusion Of Choice」のパート3“Thanatos”にある、俺とマイクの掛け合いソロだね。あのパートではお互い競い合うようにプレイしていて、ひたすら音を炸裂させたんだ。凄く楽しかったよ!

ちなみに、その組曲「The Illusion Of Choice」では、パート1“Genesis”にダニエル・モングレイン(ヴォイヴォド)、パート2“Eros”にアダム“ノリー”ゲットグッド(元ペリフェリー)、そしてパート3にはラスティ・クーリー(元アウトワールド)が、それぞれギター・ソロを客演してくれている。みんなにメールを送ったところ、参加を快諾してくれたんだよ。確か3人とも、それぞれの曲で最後のソロを弾いてくれていると思う。彼らのプレイは俺とマイクにとてつもない刺激を与えてくれたけど、そもそも俺達とは明らかに違うことをやっているよね。彼らの貢献には超ワクワクしたし、3人3様の卓越したスキルだけでも純粋に驚異的だったな!

アーティスト情報

オフィシャル・サイト
Facebook @galacticempireofficial