Key=Cマイナー/E♭メジャーにおけるアルペジオ ニック・ジョンストン奏法コラム第1回

Key=Cマイナー/E♭メジャーにおけるアルペジオ ニック・ジョンストン奏法コラム第1回

2014年6月号のインタビューでYG初登場、さらにDVD奏法企画にも協力してくれたニック・ジョンストン。度肝を抜くレベルのあの映像を観て、プレイ意欲を刺激された読者は多いはずだ。そのニックが、今月から誌上奏法講座『ATOMIC GUITAR』(毎回DVDに映像を収録!)を開始。また究極の技巧を紹介してくれることになった。

さて、第1回目のエクササイズはEx-1。各小節の計3アルペジオから成っている(図1の3フォーム参照)。2小節目の2本指TAP(P-1P-2)など、ポイントは幾つかあるが、最も注目すべきは、アップ・スウィープを省略している点だ。2小節目後半の下降のアルペジオ・ラインは、ただフィンガリングするだけで音を出している(映像注目/P-3)。技巧派のアルペジオ弾きに多いこれは、今や常識と言えるかも。

以下、ニックが寄せてくれたアドヴァイスだ。

Nick’s Comment

「このリックは短いけど、テンポが速く音が溢れているようだ。クールなテクニックが沢山詰め込まれていて、かなりトリッキーだよね。テクニックには、スウィープ、レガート、複数指タッピングがある。僕は昔、長い時間を掛けてこういったものを練習していた。何年も続けて、それで自然にできるようになったんだ。だからみんなも、まずはゆっくり弾くところから始めて、その動きを筋肉に記憶させていこう。それで基礎が掴めたら、あとは繰り返し練習するだけさ! 一番大変なのは、2度目(2小節目)のアルペジオの時、右手中指と薬指でさらに上の音をタッピングするところかな。ここは特に時間を割いて取り組みたいね。」

「このアルペジオで僕は、Key=CマイナーもしくはKey=E♭メジャーにおける、コードFm(1小節目/図1の上段)とコードCm(2〜3小節目/図1の中段→下段)のサウンドを出しているんだ。どんなKeyでも、僕にはこのアプローチに惹かれる傾向があるんだよね。君がこのリックを楽しんでくれることを願うよ。読んでくれてありがとう。また来月会おう!」

Ex-1 スウィープ、レガート、複数指タッピングを含むアルペジオ

アルペジオのコードは1小節目がFm(図1上段)、2〜3小節目がCm(同中段→下段)。2小節目後半はアップ・スウィープしていない。フィンガリングだけで音を叩き出している。

Ex-1 スウィープ、レガート、複数指タッピングを含むアルペジオ

図13アルペジオ・ポジション

図1■3アルペジオ・ポジション

プロフィール

Nick Johnston

ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、これまでに4作のオール・インスト・ソロ作品を発表。昨年9月発売の最新作『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たし、ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。

インフォメーション

公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial

最新リリース情報

foxtails

『REMARKABLY HUMAN』/Nick Johnston

キングレコード|CD|2016年9月14日発売