ニック流マイナー・メジャー7アルペジオ ニック・ジョンストン奏法コラム第11回

ニック流マイナー・メジャー7アルペジオ ニック・ジョンストン奏法コラム第11回

今月紹介するリックは、mmaj7(マイナー・メジャー・セヴンス)のアルペジオを基にしたフレーズ。ロックではあまり聴き慣れない響きだが、使いどころを覚えれば間違いなくフレージングの幅が広がるはず。では、いつものようにニックの言葉からスタートしよう。

Nick’s Comment

このアルペジオのシェイプは、マイナー・コードにテンションを加えたい時によく使うんだ。基本的にはGマイナーのアルペジオで、長6度と長7度のインターヴァルが加えられている。ジプシー・ジャズを聴くとこのサウンドがしょっちゅう活用されているから、僕はそれをロックに適用させてみたんだ。かなりクールなサウンドやヴァイブになったし、比較的弾きやすくなったことは言うまでもないね。[ルート+m3rd+5th]のベーシックなマイナー・コードが出てくる進行でプレイする際に、このアルペジオをコードの上に乗せてサウンドをダークな響きに持っていくんだ。実は、全く同じアルペジオのシェイプをIVコード上で弾いたりもするんだよ。

Ex-1は、スロー・テンポ時の譜例。5弦10fをルートにしたGmmaj7のコード・フォームを意識すると覚えやすいはずだ。図1と併せてチェックし、3弦11f&1弦14fが長7度、1弦12fが長6度に相当することを確認しておこう。

続くEx-2は、ノーマル・テンポ時のプレイ。ノーマル時は、中指のピッキングを使わずに、上昇時に3弦11fを2度弾いているようだ。で、このmmaj7のアルペジオ。ニックの言うようにマイナー・コードに合わせるのがオーソドックスな使い方なのだが、実はドミナント7th・コードに合わせることもできる。というのは、ドミナント7thのコード・スケールに相当するオルタード・ドミナント・スケールの中にmmaj7のアルペジオが含まれるからだ(図2)。当然、オルタード〜とスタート位置が違うだけのリディアン・ドミナントにも、mmaj7が含まれることになる(図3)。従って、IVコード(IV7)上でも使用することができるのだ。

Ex-1ニック流mmajアルペジオ・リック(1)

●スロー時は、上昇時の3弦11fを中指でピッキング。下降時は、ピッキングせずに左手TAPで発音するのがニック流だ。

Ex-1 ニック流mmajアルペジオ・リック(1)

Ex-2ニック流mmajアルペジオ・リック(2)

●[5弦→4弦→3弦]、[3弦→2弦→1弦]をダウン・スウィープで。結果的に、3弦11fを2度弾くことになる。

Ex-2 ニック流mmajアルペジオ・リック(2

図1Gmmaj7のアルペジオ・ポジション

図1 Gmmaj7のアルペジオ・ポジション

図2オルタード・ドミナント・スケールに含まれるmmaj7

図2 オルタード・ドミナント・スケールに含まれるmmaj7

図3リディアン・ドミナント・スケールに含まれるmmaj7

図3 リディアン・ドミナント・スケールに含まれるmmaj7

プロフィール

Nick Johnston

ニック・ジョンストンはカナダ出身のギタリスト。フル・シュレッドから繊細なニュアンスまで網羅する卓越した演奏テクニックと抜群のメロディー・センスで動画サイトなどを中心に話題を集め、2011年の『PUBLIC DISPLAY OF INFECTION』をはじめ、これまでに4作のオール・インスト・ソロ作品を発表。昨年9月発売の最新作『REMARKABLY HUMAN』で正式に日本デビューを果たした。本作には、ガスリー・ゴーヴァンやポール・ギルバートがゲスト・ソロを弾いた楽曲もボーナス・トラックとして収録。2017年2月にはアニマルズ・アズ・リーダーズのツアーに帯同して初来日を果たし、ライヴやギター・クリニックを行なうなど、国内でのさらなる活躍が期待されている急進中のロック・ギタリストだ。

インフォメーション

公式ウェブサイト:www.nickjohnstonmusic.com
フェイスブック:www.facebook.com/NickjohnstonOfficial

最新リリース情報

foxtails

『REMARKABLY HUMAN』/Nick Johnston

キングレコード|CD|2016年9月14日発売