キャッチー&メタルな宴の夜! ビースト・イン・ブラック@Zepp Shinjuku 2024.5.22〜23

キャッチー&メタルな宴の夜! ビースト・イン・ブラック@Zepp Shinjuku  2024.5.22〜23

BEAST IN BLACK:マジックも起きた“黒野獣”ステージ!

ビースト・イン・ブラック

約30分の転換を挟み、19時半にいよいよBiBのショウがスタート! ビリー・アイドルの「Shock To The System」が開演を告げ、荘厳なイントロSEから「Blade Runner」で幕開けるのは前回来日時と全く同じ。しかし、セットリスト全体は再構成され、『DARK CONNECTION』(2021年)から「My Dystopia」、『FROM HELL WITH LOVE』(2019年)から「Heart Of Steel」など、去年やらなかった曲を加えていたのは嬉しい限りだ。また、今回も日替わりのセットリストが組まれ、両日とも全19曲と、デビュー作『BERSERKER』(2017年)含め、3枚のアルバムからバランスよくたっぷりプレイ。2日間どっちも観れば、彼等のレパートリーのほぼすべてが網羅出来た…ともいえ、何とも贅沢な2Daysとなっていた。

バックドロップも新調。そこには映画『ブレードランナー』を想起させる近未来の街並みが描かれ、その中には“金山公寓”という漢字の謎看板も。また、バスドラのヘッドに“黒野獣”とあるのを見つけて、思わずニヤニヤしてしまったファンもいただろう。海外ツアーでは、ドラム・ライザーの前に巨大なその“野獣”の顔がド~ン!とあって、ドラムの左右には何故か鳥居…という、謎ステージ・セットを組んでいたので、きっと日本にも持ってくるハズ…と思っていたら、特にセットらしいセットはナシ。ただ、フロントの4人はいつもと変わらずステージ狭しとよく動き回り、ジューダス・プリーストやアクセプト彷彿のメタリックなフォーメーション・プレイが度々飛び出すから、特に大掛かりなセットなど必要ないかと。

ビースト・イン・ブラック全景

実際、BiBのショウは毎回“魅せ”場が満載! YG的には、カスペリ・ヘイッキネンの“顔で”弾きまくる百面相プレイを一番に挙げたい。今回も蛍光カラーのアイバニーズを弾いていた彼は、多くの場面でおどけた表情と共に大きなアクションを決め、時にウインドミル奏法でブチ上げ、タッピングひとつとってもしっかり魅せるプレイを心掛け、常に観客を煽りつつの激奏でありながら、それいてシュレッドの正確さもピカイチなのだから恐れ入る。また、ヤニス・パパドプロス(vo)に目隠しされた状態でソロを弾いたり、ヤニスにコードを押さえてもらって左手を休めたり(?)、マテ・モルナール(b)と向かい合ってお互いの楽器を弾くアクロバティックな絡みもコナしたりして、まさに天性のエンターテイナーと言う他ない。

マテ&カスペリ

カスペリ
Kasperi Heikkinen(g)

マテ・モルナール
Mate Molnar(b)

アッテ・パロカンガス
Atte Palokangas(dr)

一方、お馴染み赤いVシェイプを駆るバンドの首魁アントン・カバネンはというと、カスペリほどはっちゃけることはあまりないもののそのギター・ワークには秘めたる熱情、静かなる激情がたっぷり込められ、すぐにグイグイと惹き込まれること必至! リード・プレイから滲み出てくる生真面目さも、ギター・フリークには眩しく映ることだろう。彼が弾くソロは、怒濤のフル・ピッキングでギュッと詰め込まれた速弾きフレーズが最大の肝。それは、指板を広く使いレガートも駆使するカスペリとは対を為し、そのコンビネーションが何とも美味なのだ。加えてセカンド・ヴォーカルとして、多くのブリッジやサビで独特のダミ声シャウトを放つのも最&高!! アントンのあの声、あの叫びこそがBiBをBiBたらしめている…とさえ言いたくなるぐらいだ。

アントン・カバネン
Anton Kabanen(g)

アントン
バンド全景 フォーメーション

オーディエンスの熱狂は、もう序盤から突き抜けっ放しで、どの曲でもみんな歌いまくり、腕を振り上げ、ヘドバンに興じ、ジャンプもひっきりなし! 往年のディスコ・ビートの採り込みは、勿論トゥルミネンのディスコ・メタルとは全く趣を異にし、飽くまでトラディショナルなHR/HMの王道を行きながら、多くの楽曲でキャッチーさに全振りし、それなのにメタルならではの熱さに満ち満ちてもいる…なんて、まったくもってBiBにしか出来ない芸当だ。ところで、5月21日はヤニスの誕生日ということで、翌22日の初日公演では、観客一体となって「Happy Birthday To You」を大合唱。その際、ヤニスが「5月25日はマテの誕生日だよ」と話していた通り──そういえば、2019年来日時の東京公演ではそれを祝ったなぁ…と。そう、何故か彼等は5月に来日することが多く、2018年の初来日時もそうだったし、去年もまた然り。「それもあって、日本公演はいつも特別なんだ」とヤニス。初日は、そうしみじみMCされたあとの「One Night In Tokyo」が、いっそうスペシャルに感じられた。どうやら、本来はその前の「Blind And Frozen」でショウ本編が終了し「One Night In Tokyo」はアンコール1曲目だったハズが、色々感じ入った彼等は袖に引っ込むのも忘れて、ヤニス曰く「こういうパターンもイイだろ?」と、ショウが予定外に継続されたのも、日本、そして東京での公演だからこそのマジックだったかもしれない。

ヤニス・パパドプロス
Yanis Papadopoulos(vo)

バンド
ヤニス・パパドプロス

翌日はちゃんと(?)一旦引っ込み、「Cry Out For A Hero」からアンコールをやったが、その次にプレイされた「One Night In Tokyo」が、やっぱりスペシャルだとばかりに盛り上がりまくったのは言わずもがな。そしてラス曲は、両日ともお決まりの「End Of The World」! それぞれ約100分のショウは濃密この上なく──終演時、心地好い疲労感と共に、「間違いなく過去最高!」「彼等史上最強!!」と、すべての観客がそう強く感じたのではないだろうか…!!

ビースト・イン・ブラック 2024.5.22@Zepp Shinjuku セットリスト

1. Blade Runner
2. Eternal Fire
3. No Surrender
4. Sweet True Lies
5. Hardcore
6. Moonlight Randevous
7. Unlimited Sin
8. Ghost In The Rain
9. Revengeance MAchine
10. Heart Of Steel
11. Beast In Black
12. Born Again
13. Dark New World
14. My Dystopia
15. Die By The Blade
16. Blind And Frozen
17. One Night In Tokyo
18. End Of The World

ビースト・イン・ブラック 2024.5.23@Zepp Shinjuku セットリスト

1. Blade Runner
2. From Hell With Love
3. Beast In Black
4. Sweet True Lies
5. Broken Survivors
6. Crazy, Mad, Insane
7. Bella Donna
8. Hardcore
9. The Fifth Angel
10. Oceandeep
11. Highway To Mars
12. To The Last Drop Of Blood
13. Zodd The Immortal
14. Die By The Blade
15. Blood Of A Lion
16. Blind And Frozen
[encore]
17. Cry Out For A Hero
18. One Night In Tokyo
19. End Of The World
20. Song Played From Tape
21. Burning Heart