場内を暴れ回るCODE ORANGEのエクスペリメンタル・メタル!
斎藤:続いては、コード・オレンジ。
奥村:昭和メタラーとしては、ザックリ“新世代”との認識ですが(苦笑)、結構キャリア長いんですね?
斎藤:8年ぶりの来日だったようです。
蔵重:急に劇薬が…という強烈さでした。元々は、コード・オレンジ・キッズというハードコア・パンク・バンドだった…と。
斎藤:昔の音を聴くと、もっとハードコアしていたようですが、最近はNUメタルの美味しい部分を凝縮した感があって、ここのところ、より注目度が高まってきたような。あと注目といえば、(マイク・)ポートノイの息子がサポート・ドラマーを務めていたことも…!
蔵重:昨年(’21年)の秋頃から入っているようですね。
斎藤:あと、女性ギターがカッコいいんですよね。
奥村:リーバ・メイヤーズ! 存在感アリアリでした。
蔵重:結構ヴォーカルも執ってて、ソロも弾いてましたね。
奥村:ノイズっぽいソロ・パートがインパクトあり。それに、叫んだり、唸ったりも。
斎藤:ただ、モッシュやサークル・ピットを要求しまくるので、その辺は色々と心配でした(苦笑)。
奥村:バンドにしてみれば、「もっと暴れてよ!」って感じだったんでしょうか?
蔵重:男性ギタリスト:ドミニク・ランドリナも、リフというか…刻みのサウンドが凄まじかった。
斎藤:彼は新しめのメンバーみたい。
蔵重:演奏力は、バンド全体としてもかなり高かったですね。ショウのオープニングからビョークの曲(「Hunter」)でスリリングだったし、独自の世界観を持っていました。
奥村:’00年代以降の新世代メタルをすべて吸収して、独自の世界を創り出している…という印象です。轟音、激烈さだけではなく、アンビエントなムードもあって、スクリーンの映像も効果的に使ってました。いや…アンビエントというより、スピリチュアルとか、エクスペリメンタルかな?
蔵重:あのどこに行くかわからない曲展開は、まさにエクスペリメンタルといえますね。
斎藤:あと、フェスの序盤でそっけないバンドが荒々しくやって帰っていく…というパターンは、ラウパ(“LOUD PARK”)を思い出すところもありました(笑)。
名作の再現ショウを繰り広げたAT THE GATES!
奥村:海外組の3番手はアット・ザ・ゲイツ。
斎藤:これはヘイロー以上に、自分にとっては“青春”ですね(笑)。
奥村:『SLAUGHTER OF THE SOUL』(’95年)再現ショウでしたが、特に何周年とかではない?
斎藤:27周年でしょうか?
奥村:もしや、コロナ前の時点で25周年で、その時はツアーに出られず、ようやくそれをやれる時期になった…と?
斎藤:いずれにしても、日本では飛び抜けて人気が高いアルバムですよね。
蔵重:これまた私はリアル・タイムでは聴いてこなかったんですが、激しめ系のバンドのインタビューで、アット・ザ・ゲイツを影響源に挙げるギタリストが何人もいたので、「これが本物か!」という感じで楽しみました。
奥村:『SLAUGHTER OF THE SOUL』はメロデスの原点とされていますしね。ただ、冒頭の2曲(「Blinded By Fear」「Slaughter Of The Soul」)が突出しているから、曲順通りに再現していくと、やんわり盛り下がっていったような気も…。
斎藤:確かに…。
蔵重:MCで「次の曲が何だか分かってるな?」と言ってましたね。
奥村:あと気になったのが、ヴォーカル(トマス・リンドバーグ)の迫力がなくて、以前に比べてパワー・ダウンしていたこと。
斎藤:でも、ヤンセンはビシッと締めていたと思います。
奥村:より“リズムの鬼” 感が出ていて…。
斎藤:ヤンセンが弾いてるということで、ザ・ホーンテッドの初来日で、「Blinded By Fear」をやった時のことを思い出したりも。
奥村:となると、余計にアンダース・ビョーラーが恋しくなる? 但し──ヘイローもそうでしたけど、ライヴ映えという点では、ヤンセンがいて良かったな…と。
斎藤:それはありますね! ともあれ、個人的にはノスタルジー直撃で大いに楽しみました。そして、次のソウルフライも、同じく自分的にはノスタルジー全開!
特別サポート・ギタリスト&初期曲満載のSOULFLY!
奥村:フィア・ファクトリーのディーノ・カザレス(g)がリードを弾いてました。いつからサポートやってるんでしたっけ?
蔵重:ここ最近だった気がします。
斎藤:去年あたりからですね。
奥村:しかし、フィア・ファクトリーの曲(「Replica」)をやったのは…?
斎藤:いきなりそこから攻めますか?(笑) まあ、(ソウルフライに)合ってるかどうかで言ったら……合ってないと思いますが。でも、お祭り(フェス)だからアリなんですよ。それよりも、新作(’22年『TOTEM』)から数曲だけやって、あとは殆どが1st(’98年『SOULFLY』)と2nd(’00年『PRIMITIVE』)から…という方が気になって。これまた直撃世代としては、ありがたかったんですが。
奥村:フェスという場で考えた場合、初期曲多め&フィア・ファクトリー曲あり…は正解?
斎藤:もしかしたら、(前任ギターの)マーク・リゾとディーノのスタイルが違うから、初期曲多め…というのもあったのかも。
奥村:マックス(・カヴァレラ:g、vo)は、さらに“大きく”なってましたね?
蔵重:(MCの)「アリガト…!」がかわいかったです(笑)。
斎藤:煽りの上手さはこの日トップ・クラスだと思いましたが、MCがお茶目で、もはや“楽しいお兄さん”感すらありましたね。
蔵重:但し、サウンドは激重。
斎藤:でも、ギター・サウンドもクリアに聴こえて良かったです。
蔵重:激しくてもスッキリ感はありましたね。
奥村:マックスって、今も弦4本だけなんですか?
斎藤:いや、6本張ってました。
蔵重:ディーノは8弦?
斎藤:いや、7弦ですね。そういえばマックスは、煽っても(観客が)声を出さないことに、ちょっとだけ戸惑っていたような気が。(「Back To The Primitive」に組み込んだ)ボブ・マーリーの「Get Up Stand Up」を歌わせるところで、誰も歌ってくれないから…「あれ?」みたいな。
蔵重:観客からしたら、バンドは「叫べ!」って言うけど禁止されているし、葛藤ですよね…。
奥村:事前に説明されていたとしても、何となく釈然としないモノがあったかも。
斎藤:海外とは事情が違い過ぎですもんね…。
蔵重:次のスティール・パンサーでは、ギターのサッチェルが「マスクは外さないで、〇〇だけ見せて」と言ってました(笑)。
奥村:「おっぱいヲ観セテ〜!!」ですね?
蔵重:それです…(苦笑)。