DOWNLOAD JAPAN 2022を振り返る! YG座談会レポート

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数々の長編曲で魅せたDREAM THEATER 〜来年度のラインナップはいかに?

DLJ2022 ドリーム・シアター ジェイムズ
James LaBrie(vo) / DREAM THEATER

DLJ2022 ドリーム・シアター:楽器隊

斎藤:堂々ヘッドライナーのドリーム・シアターですが、今回はちょっとセトリが地味だったかも。

蔵重:そうですか? 今回のツアーはずっとあの流れでやってて、前情報として知っていたのもあったけど、やっぱり私にとってはベスト・アクトでしたね。

斎藤:長尺曲が多かったのは?

蔵重:まあ、(長尺でも)外せない曲はありましたからね。新作(’21年『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』)にトピックが多かったんです。グラミー獲得の「Alien」、一番長いタイトル・トラック(約20分半)、それに初めて8弦ギターを使った「Awaken The Master」も新作からで、これも10分弱。

DREAM THEATER - A VIEW FROM TOP TOF THE WORLD
DREAM THEATER – A VIEW FROM TOP TOF THE WORLD

奥村:でも、ベテラン・バンドの多くは最新作からプレイしても2曲ぐらい…というパターンが多いんで、やっぱりドリーム・シアターは気合いが違いますね?

蔵重:そうですね。それに(マイク・)ポートノイ(前dr)がいた時の、「毎日セットリスト変えるぜ!」というノリから解放されて随分経ちますが、(演奏曲の)数を絞って確実にコナそう…という方向になっているのは分かります。

奥村:でも、単独公演ならまだしも、フェスであのセトリは…?

斎藤:自分も、ハードル高めとは思いました。だからか、(2曲目に)『AWAKE』(’94年)の「6:00」が始まった時、「オオオオオオ…!!」という歓声が大きかったような。

DLJ2022 ドリーム・シアター ジョン・マイアング
John Myung(b) / DREAM THEATER
DLJ2022 ドリーム・シアター マイク・マンジーニ
Mike Mangini(dr) / DREAM THEATER

蔵重:新作から以外も、長編を沢山やりましたね。『A DRAMATIC TURN OF EVENTS』(’11年)から(約11分の)「Bridges In The Sky」とか、 『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』(’09々)から(20分弱の)「The Count Of Tuscany」とか。

奥村:フェスだと熱心なファン以外も観るので、「Metropolis Part I」とかもやって欲しかったかな。そういえば、アンコールでやった「Pull Me Under」も、元々今のツアーではセットに入っていなくて、ここ日本から加えられた…とか?

蔵重:そうです。おそらく直前の7月で『IMAGES AND WORDS』(’92年)がリリース30周年を迎えたのもあるかな…私としては今回も全体的に満足だったんですけど、考えてみたら「Glass Prison」とか、他に聴きたい曲はありました。

奥村:しかし、ここまでセトリの話ばっかですけど、それだけ今回は特異なセレクトだった…と。

蔵重:20分超の(新作の)タイトル・トラックをやると決めた時点で、(演目全体の)曲数が限られてしまうので、他に10分超を沢山入れることはなかった…かも(苦笑)。

斎藤:でも、初めてサマソニに出た時(’10年)も、1曲目(「A Nightmare To Remember」)から20分ぐらいあったし、長尺で驚くことはあまりなかったかな(笑)。あと今回は、演奏と映像がビッチリ合ってて。

蔵重:そうですね。開演前から、新作ジャケのアートワークが動くような、ちょっとしたオープニング映像も展開されていました。

奥村:マイキー(マイク・ポートノイ)が脱けて以降、ジャムとかインプロの比率は下がってますか?

蔵重:そうかもしれないですね。遊びがあっても、わりと決められた枠の中で…という感じなので。

斎藤:蔵重さん的に、今回のハイライトになった曲は?

蔵重:「Count Of Tuscany」に、リキッド・テンション・エクスペリメントが『LTE3』(’21年)でやっていた「Rhapsody In Blue」を組み込んでいたところですね。中盤でジョーダン(・ルーデス:key)とジョン(・ペトルーシ:g)だけになる静かなセクションで、ぴったりハマってました。

DLJ2022 ドリーム・シアター ジョーダン・ルーデス
Jordan Rudess(key) / DREAM THEATER
DLJ2022 ドリーム・シアター ジョン・ペトルーシ
John Petrucci(g) / DREAM THEATER

奥村:それにしても、ジョンは衰えないですよね? 今55歳でしたっけ? 

斎藤:いつものことではあるけど、やっぱり「この人らおかしいな」という驚きはあって。勿論、良い意味で(笑)。

蔵重:昔より指が動くんじゃない?…と思うところもあります。実際、新作ではより難易度が上がっている曲もあって。特に、「A View From The Top Of The World」ソロでの高速フル・ピッキングなんかは、元々“バカテクで驚いてナンボ”のバンドではありますが、目の前で再現されるとやっぱり改めて驚異を感じます。

斎藤:ペト(ジョン・ペトルーシ)の場合は、何でも普通に弾きコナすから、涼しい顔なのか、難しい顔なのか、表情だけでは(フレーズの難易度が)さっぱり分からない(苦笑)。

蔵重:分からないですよね。あの髭の下で葛藤してるのかもしれないし…(笑)。いや…それにしても、圧巻の1時間50分でした。

DLJ2022 ドリーム・シアター ジョーダン&ジョン

斎藤:さて──では、そろそろシメに入りましょうか。“DOWNLOAD JAPAN”は来年春にも開催されるそうですが、どんなバンドが観たいですか? 自分的には、アイアン・メイデンですが。

奥村:メイデン観たいですね〜! 結局、“Legacy Of The Beast”ツアーでは、まだ来日していないワケで…。あとは、ジューダス・プリーストの50周年ツアー“50 Heavy Metal Years”の一環としての来日にも期待したい。それから、マイケル・アンジェロ入りのマノウォーも…! 

蔵重:私は、フィル・アンセルモとザック・ワイルド達のパンテラのリユニオン。正確には、ANSELMO BROWN PANTERA…ですかね。

奥村:でも、パンテラは単独ツアーやりそうじゃないですか? メイデンあたりはフェスじゃないと、なかなか来日はキビしいかも…。

斎藤:メイデンもそうですが、今年の“DOWNLOAD UK”に出たバンドは全部観たいですね。次回は、2ステージ制の復活にも期待。

奥村:あと、このままHR/HM系フェスとして日本でも定着していって欲しいです。

蔵重:まだまだ日本では、コロナの状況も気になりますが──今回は、爆音を久々に生で体験出来て、来場者はみなさん満足だったんじゃないでしょうか。

斎藤:メタル・ファンはちゃんと感染対策を守ってて真面目だし、安心感も高いので、次回にも期待…ということで! 来年春を楽しみに待ちましょう〜!!