LOUD PARK 2023座談会:Phantom Excaliverと振り返る Vol.1

LOUD PARK 2023座談会:Phantom Excaliverと振り返る Vol.1

この春──’17年秋以来、実に約5年半振りの開催となった国内最大の爆音の祭典“LOUD PARK”。今回は“限定復活”とのことながら、ヘッドライナーの復活パンテラを始め、最大10組が様々にラウドなパフォーマンスを繰り広げ、大阪&東京(千葉)と2日間、ともに大盛況で幕を閉じた。そんな全HR/HMファン大歓喜の“ラウパ”で堂々オープニング・アクトを務め、初出演を果たしたPhantom Excaliver(ファントム・エクスカリバー)のヴォーカルKacchang &ギタリストMatsuにガッツリ賑々しく振り返ってもらった。演者としても観客としても楽しみ尽くした2人の激熱レポートをお楽しみあれ〜!!

第1弾は、Phantom Excaliver〜Bridear、そしてジェイソン・リチャードソン&ルーク・ホーランドをお届け。

なお、本インタビューは “W:O:A Metal Battle Japan”開催前に行なわれたため、彼らの出演〜優勝に関しては触れていないことをご承知おきいただきたい。

当座談会の参加メンバー:

★Kacchang(Phantom Excaliver/vo)
★Matsu(Phantom Excaliver/g)
★奥村裕司(ライター/聞き手)
★上田慎也(ヤング・ギター編集部/立会人)

O.A. / Phantom Excaliver:夢のような1日でした!

ファントムエクスカリバー ステージ全景

奥村裕司:まずは、“LOUD PARK 2023”初出演おめでとうございました!! 結構ギリギリの発表でしたが、出演が決まったのはいつだったのでしょう?

Matsu:お話は少し前からいただいていたのですが、実際に出演決定したのは3月に入ってからです。

奥村:過去にラウパ(“LOUD PARK”)へ行ったことは?

Kacchang:2014年、’15年、’16年に行きました。

Matsu:僕も’14〜’16年ですね。

奥村:印象に残ってるバンドというと?

Kacchang:僕はギター・ヒーローが大好きで、ヴィクター・スモールスキがいた’14年のレイジに大興奮しました!!

Matsu:僕は’14年のドラゴンフォースとバトル・ビーストですね。あと、’15年のサバトンも最高でした!!

奥村:レイジはヴィクター脱退後の’16年にも出演していましたが…?

Kacchang:もちろん、その後のレイジも好きですが、遊び心のあるギター・ソロ構築など、やっぱりヴィクター大先生が最高にクールなので…!

Matsu:ぶっちゃけ、俺よりギター好きだもんな(笑)。

奥村:そんなラウパに自分達が出ることになって…いかがでしたか?

Kacchang:正直、なかなか実感が湧かなかったんですが、「絶対にカマしてやる!」という心持ちではありました。

Matsu:決まってから終わるまで一瞬過ぎて、実は今も実感が湧いておりません…(笑)。

Kacchang
Kacchang

Matsu
Matsu

奥村:オープニング・アクトということで、まだ観客入場中での演奏でしたが…?

Matsu:全く問題なかったです。普段(自分達のライヴに)来てくれるお客さんも沢山いて、「きっとゴールド・チケットを買ってきてくれたんだろうな…」と思うと涙が出てきました。

奥村:最前付近に(Phantom Excaliverのグッズの)“メタルは裏切らない”タオルを掲げてる人もいましたね?

Matsu:沢山いました! ありがたいことに、物販ではTシャツとその“メタルは裏切らない”タオルが完売したんです。

奥村:それは凄い! 新たなファンが獲得出来た…という実感も?

Matsu:はい! “メタルは裏切らない”がTwitterのトレンドに入ったり、夢のような1日でした。ただ、もちろん新しいお客さんが増えたことは嬉しいのですが、ずっと応援してきてくれた方、協力してくれた方々に晴れ舞台を見せることが出来て、それも良かったと思ってます! もちろん、夢だけでは終わらせませんが…!!!

奥村:“メタルは裏切らない!” というのは、いつ頃からバンドのスローガンに?

Kacchang:’15年にアンセムのライヴを観て感激して「やっぱメタルって裏切らないな…」と感じたことがあって、その後「Destiny〜人生に捧げたHeavy Metal」という曲を作ったんです。

Matsu:おい!(笑) それ…俺なんだけど、自分のことのように言うな! 最悪だよ(苦笑)。その「Destiny」の歌詞の最後に“メタルは裏切らない”って叫んでいて、そこから切り取られて…現在に到ります。

奥村:やはりラウパのステージは広かったですか?

Kacchang:あんな奥行きのあるフロアを見るのは初めての経験で、緊張が止まりませんでした…。

Matsu:ホントそれ…。会場入りした瞬間の迫力がハンパなく、普段滅多に送らない自分の家族のグループ・ラインに写真を送ったぐらいでした。

奥村:当日の使用機材を教えてください。

Kacchang:ギターはオリジナル・モデルで、ENDALL ORIGINAL SOUNDという個人工房で作っていただいたものです。アンプはEVH“5150 III 50W 6L&”で、トゥーノーツの“Torpedo Live”というキャビネット・シミュレーターを介して出力しております。

Matsu:何でお前が答えるんだよ!(笑)

Kacchang:EVHは僕と一緒にお茶の水(の楽器店で)で試奏して買いました。

奥村:あの聖剣も“機材”でしょうか?

Kacchang:聖剣は立派な機材でございます。自分は主にツイン・リードやバッキングを担当しております。

奥村:ほお、音も出てたのですか!?

Kacchang:出てます! 剣のシェイプのギターですから。いずれどこかのメーカーとエンドースするのが夢です。

奥村:どのメーカーと?

Kacchang:あ、え〜と…実はお客さんからの差し入れで、「これで世界を守ってくれ」という声と共に納品していただきました。

奥村:それを、音が出るように改造して?(笑)

Kacchang:スミマセン…本当はオモチャです。音なんて出るワケないじゃん! あ〜、話題を変えましょう。

Matsu:逃げた(笑)。

Tomo-P、かっちゃんと聖剣

上田慎也:Matsuさんのオリジナル・ギターについてもう少し詳しく教えてください。

Matsu:27フレット仕様で、ベース並みに重いです。トラ目(材)が最高にキレイで、大好きな赤色のVシェイプがコダワリ・ポイントです。

奥村:ボディー材が重いというのは、鳴りを重視した結果?

Matsu:確かに鳴りは違うと思います。ボディーはアルダーだった気がします。本当は(名前がMatsuだけに)松の木を使いたかったのですが、神聖な木なので市場に出回ってなかったようで…。あ…いや、実は素材などはあまりコダワリがなくて。指板はローズウッドです。

奥村:日本ではパイン材(松)は油分が多く、ギターには向いていない…とか?

Matsu:僕の顔と同じく油ギッシュなので使えない…ということなのかな? 実はマンゴーの木を使ったギターも持ってまして、その理論からいけると思ったのですが、「あまりお勧めしない」とのことで結局松を使う話はナシとなりました。

奥村:マンゴー材のギターもオリジナル?

Matsu:いえ、八王子のハードオフで一目惚れして買ったBacchusのギターです。その使用材が謎にマンゴーでして(笑)。

奥村:ラウパ・ステージでのそれぞれご自身のハイライトはどの瞬間でしたか?

Kacchang:「メタルは裏切らない」のギター・ソロ冒頭の泣きフレーズですね。

Matsu:何でお前がギター目線やねん!(笑) いや、そこもそうなんですが、MC中にギターのアルペジオをよくBGMにしていて、その時に込み上げてくるモノがありました。

奥村:ちなみに、これまでどんなフェスに出演してきましたか?

Kacchang:’17年9月に“フジソニック”というフェスに出させていただきました。アンセムやMUCC、フジファブリック、BiSHや加山雄三率いるThe King All Starsなどが出演しておりました。

奥村:“フジソニック”では、サブ・ステージながら結構遅い時間の出演だったようですね?

Matsu:(サブ・ステージの)トリ前で、BiSHと(出演時間が)カブってました(笑)。

Kacchang:僕達の前が緑黄色社会で、次がゆるめるモでした。ゆるめるモのあのちゃんがライヴ終わりの僕を見てドン引きしてました(笑)。

Phantom Excaliber @ LOUD PARK 2023 セットリスト

1. 炎のラプソディ
2. やっさっさ
3. メタルは裏切らない
4. THE REBELLION

O.A. / BRIDEAR:堂々としたステージング!

ブライディア ステージ全景

奥村:もうひとつのオープニング・バンド:BRIDEARは、さすがに出番直後だったので観られなかった…ですよね?

Kacchang:少しだけ観られました!

Matsu:僕も機材を片付けながら聴いてました! BRIDEARとは長い付き合いではあるので。

Kacchang:過去に結構対バンしてたので、お互いメンバーが入れ替わったりしてきた中、こういった場所で再会出来たことが僕は凄く嬉しかったです!

Matsu:ただ、女性であんなテクニカルなことをされてしまうと僕としては勝てる要素が…(苦笑)。

奥村:女性バンドならではの華やかさの一方で、ヘヴィな要素も少なからずあって。

Kacchang:堂々としたステージングでフロアの熱気も凄かったです!

Matsu:イカついんですよ。ちゃんとヘッドとキャビで鳴らしてたし。別に偏見を持っているワケではないんですが、女子ギタリストって右手が弱めな方が多い中で、BRIDEARの曲はリフがしっかりしていて、なおかつソロもセンシティヴなので「凄い!」と思って観ていました。

Kacchang:可愛いらしいルックスとは裏腹の確かなギター・ワークや刻みなど、ギタリストとしてすっかり確立されていると思いまいました。

Matsu:ツアーもガッツリ廻ってて、言い方はちょっとアレですが(笑)、ゴリゴリのバンドマンですよね! 人見知りなので…あまりしゃべったことはないんですが、みんな「気合い入ってるな!」という印象です。

奥村:終演後、バックステージで何か話したりは?

Matsu:「久しぶり〜!」ぐらいかな?(笑)。

Kacchang:「聖剣、光るようになったんですね!」と言われました!(笑)

BRIDEAR フォトギャラリー

BRIDEAR セットリスト @LOUD PARK 2023.3.26

1. Road
2. Ghoul
3. IGNITE
4. BloodyBride

JASON RICHARDSON & LUKE HOLLAND:たった2人で“ギター・ショウ”を確立!

ジェイソン・リチャードソン&ルーク・ホーランド

奥村:続いてはジェイソン・リチャードソン&ルーク・ホーランド。

Matsu:もちろん、観ました! でも、僕の後に弾いてほしくなかったです…(苦笑)。

Kacchang:次世代ギター・ヒーロー、僕もこの目で拝見しました。ピッキングと左手の運指のシンクロ率が100%…。あまりの音粒の揃い具合に、まるで“ギター・ソロではない何か”を聴いてる気分でした。

Matsu:同世代として、いつか戦わなきゃいけない相手だと思ってます。

Kacchang:1フレットから24フレットまでを変幻自在に駆けずり回るその様は、まるでスポーツ・カーが指板をドリフトしているかのよう。まさに超絶技巧という言葉がピッタシ当てハマります。ただ、ライヴ後にギターを見せていただきましたが、ドリフト後のタイヤ痕は見当たりませんでした…。

ジェイソン・リチャードソン
Jason Richardson

奥村:ギター&ドラムのデュオで全面的にオケを使って…というのは?

Matsu:最近、そういうスタイル増えてますよね〜。僕はどちらかというとバンド(形態)で観たいタイプなんですが…。

奥村:超絶テクニカル系としてはああいったデュオも全然アリなんでしょうけど、ヴォーカルまで音源で…ってのは、ちょっと苦笑してしまいました。

Matsu:ヴォーカルは魂を伝えるモノと思っているので、なるべく機械ではなく人から発したいですよね〜(笑)。

上田:彼らと対等にプレイ出来るプレイヤーがいない…というのが、デュオでやってる主な理由みたいですよ。

Matsu:そうか〜。でも僕はやっぱりみんなで音を出したいタイプなので…!

奥村:ほぼ1曲毎にちゃんとMCを入れたり、2人で淡々と演奏しているようで、映像を上手く使い、見事にライヴ感を演出していたのは良かったかと。ギタリストとしてはやはり刺激を受けましたか?

Kacchang:Matsuはテクニカルなことよりもパッションやメロディーを重視するので、ギタリストとしては真反対になりますね。ただあの音数やプレイ・スタイルは、同じギタリストとして要チェックだと思われます。

Matsu:だ〜か〜ら〜、何様だよ!(笑) まぁもちろんチェックして勉強はしますが、あまり刺激を受けるということは…。良くも悪くも“僕は僕”、“彼は彼”と割り切れちゃうタイプなので。

奥村:ラウパにあの手のデュオが…というのは、ある意味で画期的だったのでは?

Kacchang:そうですね。“ギター・ショウ”を確立させたという点ではそう言えると思います。

Matsu:彼らだけを切り取ってしまうと違和感を覚える人もいるかもしれませんが、フェス全体として見るのであれば確実に必要なピースだったと思います!

奥村:たった2人であの大会場に臆する様子がなかったのも凄い。

Matsu:さすがですね。まぁ「よ〜弾くわ〜!」「スゲ〜!!」って感じでした!(笑)

JASON RICHARDSON & LUKE HOLLAND フォトギャラリー

JASON RICHARDSON & LUKE HOLLAND セットリスト @LOUD PARK 2023.3.26

1. Tendinitis
2. Ishimura
3. Sparrow
4. Titan
5. Retrograde
6. Upside Down
7. Hos Down

(文&構成●奥村裕司 Yuzi Okumura Pix●中島たくみ Takumi Nakajima)