アーチ・エネミーが新曲で完全掌握:気合いの最終日! WOA2022レポート DAY 3

アーチ・エネミーが新曲で完全掌握:気合いの最終日! WOA2022レポート DAY 3

3日目の朝に響いた、激情メタルコア2連打!

前の晩は深夜から明け方にかけて、いっそう冷え込みが厳しかった。テントの中で寝袋にもぐり込んでも、寒くて寝られなかった…という人もいたのではないだろうか。いや大袈裟でなく、「ここは雪山か?」というぐらいの体感で、ブルブル震えながら、「このまま眠ったら死んでしまうのでは?」なんて思ってしまったぐらいだ。朝になって陽が昇ってからも、昨日までのように気温急上昇とはいかず、8〜9時頃になって、やっと15〜16℃まで上がったようだが、しばらくはちょっと雲で蔭っただけで「寒っ…!」となる状態が続いた。

予報では、最高気温19℃とのこと。しかし、お昼近くになると日差しがどんどん強くなり、午前11時半に本日のメイン・ステージ一発目:BLEED FROM WITHINがHARDERへ登場する頃には、グッと夏らしく陽光が眩しいぐらいになっていた。朝方の寒さが嘘のようで、既に体感では25〜26℃はあるような…。昨日より雲が少ない分、直射日光もキツめ。ただ猛暑・酷暑とまではいかず、この4日間では最も過ごし易かった。

毎年最終日の土曜になると、みんな疲れが溜まってくるからか、また呑兵衛連中は二日酔いで起きられないのか、最初の1〜2バンドは集客に苦労するのだが、今年はやっぱり3年振りでみんな気合いが入っていたようで、初っ端からかなりの数が集まり、BLEED FROM WITHINの激情メタルコアに、朝イチ(実際にはもうお昼でも、殆どのヴァッケナーにとっては早朝も同然?)からヘドバン&モッシュの嵐が吹き荒れまくり。そのノリは、続くFASTERステージのトップ・バッター:ニーエラへと引き継がれる。このいきなりのメタルコア2連打はなかなか強烈だ。

WOA22 スティーヴン・ジョーンズ:ブリード・フロム・ウィズイン
Steven Jones(g) / BLEED FROM WITHIN
クレイグ・ゴーワンズ:ブリード・フロム・ウィズイン
Craig Gowans(g) / BLEED FROM WITHIN
ベンジャミン・ヒレーケ:ニーエラ
Benjamin Hilleke(vo) / NEAERA
トビアス・バック:ニーエラ
Tobias Buck(g) / NEAERA

しかし、ここからまたサウンド傾向がジェットコースターのように、目まぐるしく変わっていく。HARDERの2番手は、地元パワー・メタラーのオルデン・オーガン、FASTER2番手は、米産オルタナ・メタラーのライフ・オブ・アゴニー、その次は元ナイトウィッシュの歌姫:ターヤ…というように。まぁ、そんな感じでジャンルがバラけてくれないと、メシも食いに行けないし、Tシャツを買いに行くことも出来なくなるのだが。

オルデン・オーガン:ニールス・レフラー
Neils Löfler(g) / ORDEN OGAN
オルデン・オーガン:パトリック・スパーリング&ダーク・メイヤー=ベルホーン
Patrick Sperling(g)&Sebastian“Seeb”Levermann(vo) / ORDEN OGAN
ターヤ・トゥルネン&ダグ・ウィンビッシュ
Tarja Turunen(vo)& Doug Wimbish(b) / TARJA
ターヤ:アレックス・ショルプ
Alex Scholpp(g) / TARJA

意外とユルめ、ヴァッケナー流フェスの楽しみ方

実を言うと、現地オーディエンスは何かにつけてわりとユルめ。無論、とにかくライヴ最優先で、メシなんて二の次…という猛者もいなくはないものの、多くがゆったりとフェスを楽しんでいる。ライヴの最中にビールを買いに行く…なんて日常茶飯事だし、最前列付近はともかく、かなり前の方でも密集状態ということはほぼない。みんな適度に距離を取ってステージを眺めており、その隙間をスイスイ進んで行けば──バンドにもよるが──5列目あたりまでなら楽に到達出来ることも。

インフィールド後方
後ろはゆったり

あと、ビール・サーバーを背負った売り子(日本では野球場などでお馴染みのあのスタイル)が観客の間をウロウロしている(それぐらい隙間があるということ)のも、WOAではいつもの光景だ。他にタバコやアイスの売り子さんもおり、ここ最近は見かけないが、10年以上前にはでっかいプレッツェル(ブレーツェル)を売り歩く姿もあった。

ところで、本日はマスク着用率がちょい高めだったり。水曜日には数名しか見かけなかったのに、今日は夕方までに数十人ほど発見することが出来た。みんな体力が落ちてきて、それでコロナ感染が気になった…? いや、どうやら土埃対策のようだ。昨日は少しだけ雨が降ったものの、基本ずっと晴れているから、すっかり地面が乾燥しきって、人が動くだけで砂塵が舞い、風が強いと口の中がジャリジャリになってしまうぐらい。ステージ前でモッシュやサークルに巻き込まれたら、それこそ体中が砂まみれに…。つまり、防疫よりも防塵のためのマスクということ。まぁ、それでも超少数派であることに変わりはないが。もはやヨーロッパでは、完全に“コロナは風邪”といった感覚で、ほぼ誰も気にしていないのだから。

インフィールド前方
ほぼ全員ノーマスク!

AS I LAY DYING〜HÄMATOMが大活躍!

17時45分、FASTERステージにアズ・アイ・レイ・ダイングが登場。’13年、ヴォーカルのティム・ランべシスが殺人教唆罪で逮捕されたことで、一時は活動を停止していたが、ティムの服役&出所を経て’18年に復活を遂げ、その翌年にはアルバム『SHAPED BY FIRE』をリリース。ファンを安心させている。その後、フィル・スグロッソ(g)を除くメンバーが相次いで脱退するも、アンアース他の面々をサポート・メンバーに迎え、WOAでもフィルのパートナーはアンアースのケン・スージーが務めていた。

その人気っぷりは未だ健在。初期からの根強いファンは勿論のこと、メタルコア大御所として若いファンにもリスペクトされていることが、観客の盛り上がりっぷりから窺える。ケンの張り切りようも微笑ましく、超ムキムキになったティムに負けじと、演奏の合間に何故かステージ前で腕立て伏せをやったりも…!

ティム・ランべシス:アズ・アイ・レイ・ダイング
Tim Lambesis(vo) / AS I LAY DYING
フィル・スグロッソ:アズ・アイ・レイ・ダイング
Phil Sgrosso(g) / AS I LAY DYING
ケン・スージー:アズ・アイ・レイ・ダイング
Ken Susi(g) / AS I LAY DYING

続いて、19時15分にHARDERステージで激演を見せたのは、地元勢であるヘマトム。インダストリアル風味のヘヴィ&キャッチーなサウンドは、メッセージ性の強い母国語のアジテーションを孕み、所謂ノイエ・ドイチェ・ヘアテ一派と目される。その人気は凄まじく、多くの曲で大合唱が大発生! ’11年以来、これで5回目のWOA出演を果たした彼等──今年はこの日だけでなく、木曜日にはLOUDERステージでアコースティック・ショウ(ピアノやホーン、女性コーラス入り)を、金曜日にはアモン・アマースも立った高所ステージでサプライズ・パフォーマンスを…と、異例の連日出演となったことを付け加えておこう。

オスト:ヘマトム
Ost(g) / HÄMATOM
ノルド:ヘマトム
Nord(vo) / HÄMATOM

そんなヘマトムのショウが終盤に差し掛かった頃、いつの間にか広大なフェスティヴァル・エリアは、本日最大の観衆で埋め尽くされていた。このあとに登場するダブル・メイン・ステージそれぞれのヘッドライナーを観るため、次から次へとインフィールドに人が雪崩込み──前日のスリップノットの時よりはやや少なかったが──とにかく見渡す限り人・人・人…といった状況に。

ARCH ENEMY〜POWERWOLF〜LORDI 大合唱にスクリーム!

まずは20時45分、FASTERにアーチ・エネミーが登場。その時点でまだニュー・アルバム『DECEIVERS』は発売前だったが、既に5曲のMVが先行公開されており、そのうち4曲(WOAで初披露となった「In The Eye Of The Storm」含む)が演奏され、さらに「The Watcher」のプレミア披露もあった。序盤から大熱狂するオーディエンスに、バンドのテンションも急上昇! メンバー全員、アドレナリン出っ放しなのがパフォーマンスの端々から窺える。特に巧手:ジェフ・ルーミズのプレイは神憑っていて、流麗とか言いようがない速弾きが炸裂する度に、まるで後光が差すかのオーラがスパークしまくっていた。

ジェフ・ルーミズ:アーチ・エネミー
Jeff Loomis (g) / ARCH ENEMY
アーチ・エネミー:ダニエル・アーランドソン
Daniel Erlandsson(dr) / ARCH ENEMY

一方、マイケル・アモットもワウを駆使したメロディックな泣きのフレーズを連発。2人が並んで&背中合わせでハジき出すリフ重奏やツイン・リード攻勢の威力も、軽く普段の数倍増しだったと言いたい。加えて、アリッサ・ホワイト=グラズのカリズマが、これまた以前の数倍…いや、数十倍以上に増幅されていたのだ。ショウ開始すぐに、最高にブルータルなグロウルでもってオーディエンスをすっかり掌握してみせた彼女は、華麗なマイク・スタンド捌きを含め、アクションだっていちいちカッコ好く、他のメンバーとの絡みも絶妙。イントロからマイケルのタッピングが火を噴く「Handshake With Hell」での、クリーン・ヴォイス&後半のウィスパー・ヴォイスも完璧だった。

マイケル・アモット&アリッサ・ホワイトーグルーズ
Michael Amott(g)& Alissa White-Gluz(vo) / ARCH ENEMY
アーチ・エネミー:シャーリー・ダンジェロ
Sharlee D’Angelo(b) / ARCH ENEMY

アーチ・エネミー 2022.8.5 @Wacken Open Air 2022 セットリスト

1. The World Is Yours
2. Deceiver, Deceiver
3. Ravenous
4. War Eternal
5. In The Eye Of The Storm
6. House Of Mirrors
7. My Apocalypse
8. The Eagle Flies Alone
9. Handshake With Hell
10. The Watcher
11. Under Black Flags We March
12. As The Pages Burn
13. No Gods, No Masters
14. Nemesis
15. Fields Of Desolation

そして次に、HARDERのヘッドライナーを務めたのは地元の英雄:パワーウルフ! ゴシック・ホラー風味の讃美歌メロディック・メタルで人気の彼等は、荘厳&優美かつキャッチーな楽曲で大合唱を引き出し、随所で炎をたっぷり使い、巨大スクリーンも駆使して、大観衆を沸かせまくり。狼男の双子ギタリスト:マシューとチャールズのグレイウルフ兄弟がステージ狭しと駆け回り、メロディアスなフレーズを連発すると、鍵盤奏者のファルク・マリア・シュレーゲルも度々キーボードを離れて前へ出てきては、ひっきりなしに観客を煽る、煽る。

パワーウルフ
POWERWOLF
パワーウルフ:マシュー・グレイウルフ
Matthew Greywolf(g) / POWERWOLF
パワーウルフ:チャールズ・グレイウルフ
Charles Greywolf(g) / POWERWOLF

ヴォーカルの吸血鬼法王:アッティラ・ドーンのMCがほぼドイツ語のみで、何を言っているのか殆ど分からなかったのは残念だったが、芝居掛かったオペラティックな歌唱は本当に見事で、彼の統率の下、推定5万人以上の観客が声を枯らして叫び、ヘッドバンギングし、全力で飛び跳ねる様は正に壮観この上なかった。

パワーウルフ:アッティラ・ドーン
Attila Dorn(vo) / POWERWOLF

但し、まだフェスは終わりじゃない。午前0時15分からFASTERステージにて、フィンランドの怪物バンド:ローディがクロージング・アクトとして今年のWOAを締め括るのだ。特殊メイク&コスチュームでメンバー全員がモンスターと化してパフォームする彼等は、文字通りエンタメの権化。良い意味でシンプル&分かり易く、一度聴いただけで一緒に歌える楽曲だらけなのも、大きな大きな武器だ。さらには、セクシー・ダンサーが出てきたり、ギターやベースのヘッドから火花が散ったり、ミスター・ローディ(vo)の背中から悪魔の羽根が生えてきたり…と、とにかくショウ全編が見どころ!

ローディ:ミスター・ローディ
Mr. Lordi(vo) / LORDI

今年になって、長年ギター・パートを担ってきたアメンが脱退してしまったのには驚かされたが、その後任として迎えられたコーネは、プレイの安定感も、キャラの存在感も決してアメンに負けておらず、むしろギター・スキルにおいては、アメンを凌駕していたと言えよう。今やデビュー当時のメンバーで残っているのは、バンド創設者のミスター・ローディただひとり。されど、彼がいればバンドは安泰なのも事実である。よって、メンバー交代でどんなモンスターが新たに加わるのか──それもまたポジティヴに楽しみたい!

ローディ:コーネ
Kone(g) / LORDI

サブステージを盛り上げたDEATH ANGELやブライアン・ダウニー、そして終演へ…

さて、ここからサブ・ステージ以下の出演バンドについても見ていこう。やっぱり観たかったのに観逃したバンドは沢山あったが、メインのバンドを序盤で打ち切り、何とか幾つかは観ることが出来た。

LOUDERステージで観たのは、カナダのパンキッシュなトリオ:ダンコ・ジョーンズと、米ベイ・エリア・スラッシュの古豪:デス・エンジェル。’96年結成、’98年デビューの前者は、言ってみれば“ロック>メタル”な路線をずっと貫いているのに、WOAではいつも大人気だ。昨年リリースされた通算10枚目のアルバム・タイトルは『POWER TRIO』! それをまんま体現するストレートフォワードなロケンローは、カラッと晴れた野外フェスによ〜くマッチする。

ダンコ・ジョーンズ&ジョン・カラブレース
Danko Jones(vo、g)& John Calabrese(b) / DANKO JONES

’15年以来のWOA出演となった後者は、今回もストイックなメタル魂がショウ全編で爆裂しまくり。激タイトなのに激エモーショナルでもある演奏は、観る者をグイグイ惹き込み、本当はザクザク・リフや激速ビートにヘドバン全開といきたいのに、情念溢れる激熱パフォーマンスに見入ってしまい、気が付けば棒立ちに…というオーディエンスも少なくなかったようだ。テッド・アギラーの堅固なリズムに乗るロブ・キャヴスタニーの激エモ・リードは、とにかく感情を揺さぶって止まない。スラッシュなのにディープ過ぎる──しかも、デビューから35年を経て、オリジナル・メンバーは五十路を超えても、未だ深みを増しているなんて凄過ぎる…!!

デス・エンジェル:ロブ・キャヴスタニー&マーク・オセグエダ
Rob Cavestany(g)& Mark Osegueda(vo) / DEATH ANGEL
デス・エンジェル:テッド・アギラー
Ted Aquilar(g) / DEATH ANGEL

それからBULLHEAD CITYでは、W:E:Tステージでアティックとブライアン・ダウニー率いるALIVE AND DANGEROUSを観た。キング・ダイアモンドを敬愛してやまない前者は、あのホラーな空気感をまんま受け継いでおり、ステージ・セットにも筋金入りのフォロワーとしての矜持が窺えた。シン・リジィのオリジナル・ドラマー率いる後者は、言わばセルフ・トリビュート・バンド。弦楽器隊はブライアン御大の息子世代と思われ、ベース兼シンガーなんて、まるで故フィル・ライノットのコスプレという印象だったが、上手がジョン・サイクス・タイプで下手がスコット・ゴーハム・タイプなギター2人も含め、演奏の再現度は上々だった。

アティック
Max Povver(g)、 Katte(g)& Meister Cagliostro(vo) / ATTIC
ブライアン・ダウニー・バンド
Brian Grace(g)、Matt Wilson(vo、b)& Phil Edgar(g) / BRIAN DOWNEY’S ALIVE AND DANGEROUS

まぁ、土台を支えるドラマーがホンモノで、71歳にしてあのスウイング感が健在なのだから、もしそこそこのヤツらが歌ったり演奏していたとしても、それなりに納得することが出来る…かも? いや…、ブライアンのドラミングはマジ感動モノで、「Are You Ready」からスタートし、「Jailbreak」「Emerald」「Rosalie」ときて、「Dancing In The Moonlight」から「Massacre」で涙チョチョ切れました…。本当は2曲ぐらい観たら、インフィールドへ戻ってアーチ・エネミーの続きを…と思っていたのに、あまりに素晴らし過ぎて、7曲目の「Still in Love With You」までみっちり堪能してしまいました。出来ることなら最後まで観ていたかったけど、パワーウルフの出番には間に合うようにしなきゃだったので…。いつか彼等には、是非とも日本でライヴをやって欲しいものだ!!

ブライアン・ダウニー
Brian Downey(dr) / BRIAN DOWNEY’S ALIVE AND DANGEROUS

そうして──今年も、終わってみれば4日間はあっという間に過ぎ去っていった。土曜日の日暮れを過ぎた頃になると、「あ〜、終わってしまう〜」と寂しさが募ってくるのもいつものこと。今回は、BRIAN DOWNEY’S ALIVE AND DANGEROUSを観ながら、3年振りに戻ってこれた嬉しさを噛み締めつつ、体力の衰えもひしひしと感じていた次第…。

来年の第32回は、既にチケットがソールドアウトになっているWOA。(何と、8万枚が5時間で売り切れたとか…!) そりゃ、アイアン・メイデンがヘッドライナー確定となれば、「絶対に行く…!!」となるのも当然か。あと、現時点でアナウンスされているのは、メガデス、エンシフェルム、ディーサイド、ザ・ドロップキック・マーフィーズなど。他に、ヴァイキング古楽ユニットのヴァードゥルナや、映画のトレイラー音楽で名を上げたトゥー・ステップス・フロム・ヘルといった、WOAらしいヒネリ技のエントリーも話題だ。勿論、今後おいおい発表されていく残りのラインナップも楽しみで仕方ない。

WOA22 夜景

それではまた、来年もお会いしましょう。晴れでも雨でもこのメタルの聖地で…!!

SEE YOU IN WACKEN 2023…RAIN OR SHINE!!!!

WOA23フライヤー