ORIGIN／オムニアム・ギャザラム：メランコリズムに注力したメロデス・バンドの9th

フィンランド出身のメロディック・デス・メタル・バンドによる9thで、ベーシストがチェンジした。事前の情報がなかったら「えっ、別のバンドのCD買っちゃった？」となるかも知れないほど、音楽性がドラスティックに変化している。元々落ち着きのあるアダルト／玄人指向の音楽性を示すバンドだったが、今回はそれが極端に推し進められ、デス・ヴォーカルこそ引き続くも、バンド・サウンドはデス・メタルらしい攻撃性やスピード感を捨て、欧州メタル特有のメランコリズムの主張に注力した印象だ。これまでのファンの賛否は大いに分かれるかと予想するが、作品の質自体は少なくとも低くはない。

【文】小澤明久