PAINT THE SKY WITH BLOOD/ボドム・アフター・ミッド・ナイト:アレキシ生前の新バンドで遺した、意地と気合の3曲

PAINT THE SKY WITH BLOOD/ボドム・アフター・ミッド・ナイト:アレキシ生前の新バンドで遺した、意地と気合の3曲
アーティスト名BODOM AFTER MIDNIGHT
ボドム・アフター・ミッド・ナイト
アルバム名 PAINT THE SKY WITH BLOOD
ペイント・ザ・スカイ・ウィズ・ブラッド

CD | ワードレコーズ | 2021年4月23日発売

Amazonでチェック

昨年12月29日に41歳の若さで急逝したアレキシ・ライホ(vo, g)が生前に新バンドで遺した3曲が世に出ることとなった。チルドレン・オブ・ボドムからメンバー3人が脱退してバンド名の使用権まで失ったアレキシが、唯一残留したダニエル・フレイベリ(g)、そして新たに迎えたミトヤ・トイヴォネン(b/元サンタ・クルス)、ワルッテリ・ヴァユリュネン(dr/パラダイス・ロスト)らと共に、“COBの正統な後継バンド”として新たに船出せんとしていた一世一代の意欲作の片鱗が、この“たった3曲”から、痛いほどに伝わってくる。

2曲のオリジナル「Paint The Sky With Blood」「Payback’s A Bitch 」は、COB時代の名作群に封じ込められていた“らしさ”を見事に凝縮した、今後紡がれていただろう新たな歴史の幕開けに相応しい意地と気合いが溢れ出す名曲に。また、カヴァー曲としてメロディック・ブラック・メタルの先駆者:ディセクションがシーン黎明期にリリースした名作2nd収録の楽曲「Where Dead Angels Lie」をセレクトしたことからも、アレキシがこの新バンドに込めようとしていた熱いアティテュードの一片が読み取れる。わずか3曲でありながら、グラマラスなR&Rを入り口にエクストリーム・メタルを極めた類稀なロック観と卓越したクラシカル・センス/テクニックを持つ不世出のギター・ヒーローは、これでもかと輝きを放っている。これで終わりだなんて本当に寂しいよ、アレキシ。

【文】西野幸一郎