Strings Of My Soul／Tak Matsumoto

有能なギタリストとそのギター・プレイを世に発信するという志の下、松本自ら’04年に立ち上げたレーベル“House Of Strings”からは、同年に『House Of Strings』、’05年に（春畑道哉、大賀好修、増埼孝司とのコラボ作）『Theatre Of Strings』がリリースされている。その第３弾となる本作品は、その過去２枚で取り上げていた楽曲、’02年のソロ２作品に収録されていた曲を中心に、懐かしい過去曲や初CD化の未発表曲なども収録（リミックス＆リマスタリングが成され、ギターの新録もある）。その意味では、“ソロ・プロジェクトに於ける松本ワールド”を総括する、そんな内容だ。美しいメロディーを如何に美しく奏でるか、そこの追及姿勢が窺えるこれらのインストは、改めて“House Of Strings”の使命を浮き彫りにしている。

新曲の歌モノ③と共に、話題を呼ぶであろう曲が⑩。御存知の通り、邦題「上を向いて歩こう」は世界中のミュージシャンがカヴァーしている日本歌謡屈指の名曲であり、しかもゲスト参加しているのが、グラミー賞作品『TAKE YOUR PICK』（’10年）をコラボしたラリー・カールトン…となれば、もう多くを語る必要なし。２人がそれぞれ醸すアダルトな空気は、これまた“House Of Strings”のレーベル・カラーそのもの。ギターの深い魅力の様々が本作には封じ込められている。
（福田真己）