A DYING MACHINE/トレモンティ

A DYING MACHINE/トレモンティ
アーティスト名TREMONTI
トレモンティ
アルバム名 A DYING MACHINE
ア・ダイイング・マシン

CD | ユニバーサル ミュージック | 2018年8月2日発売

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前作までトレモンティ兄弟が運営する“FRET12”からのリリースだったが、今作より大手へ移籍——クリードやアルター・ブリッジの頭脳:マーク・トレモンティ(vo, g)率いるトリオが、4作目で満を持しての国内デビュー。日本盤のみ2曲追加収録だ!

他にバンドがあるのに、やる必要は?…という向きもあろうかと思うが、ここは遠慮なく彼の中の無邪気さや創造性を開放する場——「Bringer Of War」「From The Sky」「Throw Them To The Lions」「The Day When Legions Burned」の、まるでギター・キッズに戻ったかのような激烈なスラッシュ魂が聴けるのはここだけ(漏れなくフラッシーなソロも付属!)。スピード・チューンでなくとも㈮㈷辺りのイーヴルなリフの刻みも特別だし、アッパーなメロディーにスラッシーさを刻みつけた「Take You With Me」のユニークな試みや、近年のマストドンを意識した体の卓越した構成力と叙情性で、プログレッシヴに展開する表題曲「A Dying Machine」も強力。これぞマーク節の、ヘヴィ・ゲージをリズミックに刻みながらのアルペジオで独特のミステリアスさを演出する「Traipse」や「The First The Last」…、特に「Traipse」の憂鬱な旋律には解散したクリードの残影が浮かんできてたまらない。

熾烈なサウンドとメロディーの両立はヘヴィ・ロックの命題の1つだと思うが、怒声や濁声に逃げずに正面から取り組んでいるのも好印象。ノー・グロウル、ノー・デス・ヴォイスで、男臭く熱唱する本格派ヴォーカリスト:マークも、実に魅力的だ。

【文】菅原健太