ロック式トレモロ搭載ギターのベストなチューニング方法は?
フロイドローズ式のトレモロ・ユニットが搭載されたギターでチューニングを変えようとすると、ブリッジの構造上、何度も音を合わせてはズレての繰り返しで、全弦が正しい音程に落ちつくまでにとても手間がかかります。どのような手順でチューニングするのが最も効率的なのでしょうか?
(インターネット博士/20代/男性)
弦交換とチューニングの仕方に大事なポイントが!
フロイドローズのようなロック式トレモロ・ユニットを搭載したギターでは、弦交換の際にボール・エンドを切ったり六角レンチが必要だったり、またチューニングに手間が掛かったりするのは確かです。しかし、ロック式だからできる激しいアーム・プレイなどがあるからこそ数多くのギタリストに愛され、普及したんだと思います。
弦交換の手順は理解していただいてると思いますので、今回はその中でもチューニングの狂いを抑える大事なポイントと、チューニングの方法を改めて紹介したいと思います。
弦を外す前、ブリッジを水平に保つ
弦を張り替えるわけですから、まずは弦を外します。この時、ボディー裏のトレモロ・スプリングが緩まないように注意しましょう。ブリッジを水平に保つことによって、スプリングの収縮の原因によるチューニングの狂いを軽減できるのです。
弦をすべて外すとブリッジがリセス(落とし込み)部分に下がってしまいますが、これを防ぐため、外す前にホーム・センターなどで売っているゴム板などをブリッジの下に挟みます。アームを押し込んで一旦ブリッジを浮かせ、できた隙間にゴム板を差し込んでください。
このような物が用意できない場合は、全弦を1度に外さず1本ずつ交換するのも1つの手です。
チューニングを行なう際は下記の手順で
張り終えたらゴム板を外してチューニングを行ないます。
A:アーミングをしたり1フレットずつチョーキングしたりして弦をよく伸ばし、なじませてください。少し負荷をかけることで、弦を外した際に1度度緩んだスプリングの状態が適正な張力に戻っていきます。
B:各弦のファイン・チューナーを真ん中の高さに揃えておきます。
C:ロック・ナットを締めない状態でチューニングを合わせましょう。ただし、この段階ではペグだけを回し、ファイン・チューナーは動かさないこと。
D:チューニングが合ったらロック・ナットを締めます。必要以上に締めすぎるとピッチが変わりますので、注意してください。
E:ファイン・チューナーで微調整を行なっていきます。ピッチが高ければ緩め、低ければ締めます。
ファイン・チューナーが回り切ってしまったら、ロック・ナットを緩めてAの手順から再びチューニングを合わせていきます。
この手順通りに行なってもチューニングが安定しない場合は、オクターヴ・チューニングの狂い、ネックの反りなど他の原因が考えられるので、無理せずリペアマンに相談しましょう。
また、例えばこちらのSIT製“Power Wound”など、チューニングの安定度を高める工夫がされた弦も発売されています。アームを多用する方にオススメなので、こちらも機会があれば試してみてください。