台湾のソニックが新曲「ENDLESS AEONS」のMVを公開予定

台湾のソニックが新曲「ENDLESS AEONS」のMVを公開予定

4月28日、台湾のメタル・バンド:ソニックが新曲「ENDLESS AEONS」(百萬遍)のミュージック・ビデオを公開する。

ソニックは『MIRROR OF RETRIBUTION』(2009年)のデビュー以来、『TAKASAGO ARMY』(2011年)、『BUTIK』(2013年)などのアルバムをリリースし、来日公演はもちろん、“Ozzfest”や“Download Festival”、“Wacken Open Air”などの大型フェスや、欧米でのツアーを行なってきた。しかし、2016年にヴォーカルのフレディ・リムが台湾の国会議員に当選してからは、バンドとしての活動は控えめになっていた。

この約10年間、フレディは国会での仕事に専念し、他のメンバーもそれぞれのプロジェクトに取り組んでいたため、ソニックは台湾国内でのみ時折大規模な公演を行なう程度だった。『Battlefields of Asura』(2018)や『PATTONKAN』(2023)などの作品はリリースされたが、海外でのライヴ活動はほぼ停止していた。

「ロックは世界を変える」と言われるが、フレディはそれを現実のものとした。2期にわたる議員在職中に彼は、アジアで初めて同性婚を合法化する法整備や、先住民族の権利保護の推進、ウクライナへの人道支援予算の可決、さらに「移行期正義(トランジショナル・ジャスティス)」の推進などに尽力した。これは、過去の権威主義時代の政府機密文書を開示し、社会に真実と正義をもたらそうという取り組みである。

2023年、予想外の出来事が起きた。機密解除された文書により、フレディ自身の家族に関する悲劇的で知られていなかった過去が明らかになったのだ。歴史と神話が交差するソニックの音楽が、フレディの祖父母の悲しくも勇敢な物語と重なったのは、偶然ではなかったのかもしれない。その事実に衝撃を受けたフレディは、8年間の議員活動に幕を下ろすことを決意し、再選を目指さないと発表した。彼は人生の意味、音楽と共に進むべき道を見つめ直すことにした。

新曲「ENDLESS AEONS」の台湾語タイトルは「百萬遍(Pah-bān-piàn)」で、仏教の用語であり、業を断ち切るために多くの人が集まり経を唱える儀式を指す。「ソニックの音楽は常に輪廻と災厄について語ってきた——とても宗教的なんだ」とフレディは語る。

フレディは「これまでは台湾が何度も繰り返してきた災厄を描いてきたけど、実際に自分の家族にそれが降りかかっていたと知って、個人的なものになった。そこから『ENDLESS AEONS』や他の曲を書き始めた」と語る。「この災厄はいつ終わるのか? もし人生をやり直せるなら、悔いなく生きることはできるのか? この曲は問いであり、同時に答えでもある」。制作に参加したギタリストのジェシーは「複雑に聴こえるけど、実はとてもシンプルな曲。複雑な問いにシンプルな言葉で答える、それがこの曲の意図なんだ」と語っている。

ベーシストのドリスはこの曲で台湾語の演歌スタイルの歌唱に挑戦し、メンバーたちを驚かせた。彼女は「何年も練習してきて、ベストは尽くしたけど、正直レコーディングの時はすごく緊張してた」と話している。

ミュージック・ビデオは、過去の『Defenders of Bu Tik Palace Acoustic Version』『KAORU』『Millenia’s Faith Undone』『Pattonkan』などのMVと物語がつながっている。登場人物は1947年の二・二八事件の犠牲者であり、地獄のような輪廻に落ち、転生後も犠牲を払い続ける。「ENDLESS AEONS」では再び転生し、時のトンネルを抜けてソニックのライヴ会場に落ちる——それは輪廻の連鎖が断ち切られたことを意味している。

フレディは2024年に議員としての任期を終えた。現在ソニックは新たな楽曲制作にも取り組んでおり、将来的には再び海外でのライヴを行なう可能性も示唆している。

INFO

ソニック - ENDLESS AEONS

ENDLESS AEONS / CHTHONIC

2025年3月12日発売 | 配信

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