KAWASAKI ROCK CITY 2014に出演するY&T、ウィンガー、ファイアーハウスの見所をチェック!

KAWASAKI ROCK CITY 2014に出演するY&T、ウィンガー、ファイアーハウスの見所をチェック!

‘14年1月、実力派のアメリカン・ハード・ロック・バンドが川崎に集結! クラブチッタの25周年を記念して1月11日(土)と12日(日)に開催される“KAWASAKI ROCK CITY 2014”は、3組のベテランが火花を散らす、実に贅沢なラインナップを誇るフェスティヴァルだ。これに続いて13日(月)のゼップなんば公演“NAMBA ROCK CITY”にはY&Tとウィンガーが出演。そしてこれらに先駆け10日(金)には、Y&Tのクラブチッタ単独公演も行なわれることが決定している。

いずれも来日の度に極上のパフォーマンスを見せてくれるバンドばかりであり、往年のファンのみならず、彼らを知らなかった若いリスナーにも感動を与えてくれるはず。まさに’14年の幕開けを飾るにふさわしいイベントだ。

イベント開催に先立ち、今回の特集ページでは3バンドのバイオグラフィに加え、ヤング・ギター的な視点から見所を改めて紹介しておこう。
 

Y&T

KAWASAKI ROCK CITY 2014 - Y&T

サンフランシスコが生んだ炎のハード・ロッカー、Y&T。その虚飾のない情熱的なハード・ロック・サウンドは“Facemelting Music”と形容される。

彼らのデビューは’76年のこと。当時はイエスタデイ・アンド・トゥデイというバンド名で、アメリカのバンドらしからぬブリティッシュ的な湿り気を帯びたサウンドが、通なロック・ファンの間で注目を集めた。が、セールス的には低迷。転機が訪れたのは‘81年のことで、この時レーベル移籍を機にY&Tとして再デビューを果たす。折からのヘヴィ・メタル・ムーヴメントに呼応したかのように、さらにアグレッシヴなサウンドに仕上がった名盤『EARTHSHAKER』をリリース。その後『BLACK TIGER』(’82年)、『MEAN STREAK』(’83年)という名盤を次々に生んだ。

エモーショナルなサウンドの魅力を高めていたのが、メンバー個々の高い演奏力だ。中でもデイヴ・メニケッティ(vo, g)とジョーイ・アルヴェス(g)の鉄壁のツイン・ギターは強力極まりなかった。特に凄まじい泣きのヴィブラートと嵐のような速弾きを得意とするデイヴに対する評価は高く、彼は当時サンフランシスコのベスト・ギター・プレイヤーに選ばれている。

しかし時流に上手く乗れない不器用さも彼らの特徴だった。‘80年代中期のメタル・ブームにおいては、L.A.メタルを始めとする派手派手しいバンドたちの影に隠れて商業的な大成功を収めるには至らず、レーベル側からの要請もあってポップな要素を導入し始め、またメンバー・チェンジが続くなどの事件も影響して低迷。’90年末に解散の道を辿る。 ‘95年に再結成し、変わらぬ力強さを見せつけたものの、グランジやヘヴィネス・ミュージックの台頭といった時代の風に阻まれ、本領を発揮するには至らなかった。

その後デイヴは自身のソロ活動によってプレイヤーとしての評価を高めることになるが、並行してY&Tも復活。’80年代ロックに対する再評価の動きもあり、精力的なツアーを行なうようになり、デイヴの新たなパートナーであるジョン・ナイマン(g)を含む新ラインナップは、世界各地で熱演を繰り広げた。ファンの間でアルバム待望論が巻き起こる中、遂に‘10年には約12年ぶりのアルバム『FACEMELTER』をリリースするに至った。これに伴う’11年1月の来日公演は、オリジナル・メンバーだったフィル・ケネモア(b, vo)をガンで失うという悲劇の直後であったが、一切のパワー・ダウンを感じさせることなく剛直なステージを見せてくれた。

彼らのライヴ・パフォーマンスを形容するなら、ただ一言“熱い”。一切の小細工なしにロック魂を燃やす、強力なバンド・アンサンブルこそが最大の武器だ。特にギターだけでなくソウルフルなヴォーカルも聴かせるデイヴの勇姿には、ハード・ロック・ファンのすべてが心を揺さぶられることだろう。
 

ウィンガー

KAWASAKI ROCK CITY 2014 - WINGER

Y&Tが剛とすればウィンガーは柔。高度な音楽センスをキャッチーなハード・ロックに包み込んで展開するキップ・ウィンガー(vo, b)を中心とする彼らは、ハード・ロック界屈指の職人集団と言えよう。

スタジオ・プレイヤーとして様々な有名ミュージシャンの作品に携わってきたキップは、同じくセッションマンであるレブ・ビーチと新バンドを結成。元ディキシー・ドレッグスの凄腕ドラマー:ロッド・モーゲンスタイン、そしてポール・テイラー(key, g)を迎え入れた彼らは、ラットなどを手がけた名プロデューサー、ボー・ヒルの肝煎りで’88年にデビューする。当初SAHARAと名乗る予定だったが、バンド名は最終的にウィンガーに決定した。

考え抜かれた楽曲の完成度と精錬された演奏、そしてルックスの良さも相まって、1st『WINGER』は大ヒット。続く2nd『IN THE HEART OF THE YOUNG』(’90年)からも全米No.1ヒット曲「Miles Away」が生まれるなど、彼らは一躍時代の寵児となる。この時期にギター・キッズの衆目を集めたのがレブであった。独自のタッピング・テクニックに代表される華麗な技の数々によって、彼は新ギター・ヒーローとして君臨したのである。

しかし時代の波は厳しく、陰鬱なヘヴィ・ロックがメインストリームを席巻した’90年代に入ると、ウィンガーには軽薄なヘアー・メタル・バンドという誤ったイメージがつきまとうようになる。これに抵抗するかのようにヘヴィさを増した3rd『PULL』が’93年にリリースされるも、バンドはすでに行き詰まりを感じていた。3rd制作前に脱退していたポールに替わってジョン・ロス(g)を加入させ、ツアーに出るが、その終了後に解散の道を選んでしまうのであった。

その後キップはソロに転向、レブもドッケンへの加入やソロで活動を続ける中、’01年にウィンガーが再結成。’80年代ロック再評価の追い風を受けてツアーを行ない、新曲入りのベスト盤『THE VERY BEST OF WINGER』をリリースしている。しかしこれは一時的なものに終わった。

レブは’03年よりホワイトスネイクに加入しているが、その後もキップとの友情は崩れることがなく、’05年にウィンガーの再結成がアナウンスされる。同時期にレブはナイト・レンジャーのケリー・ケイギー(dr, vo)らとザ・モブを結成し、キップのプロデュースでアルバムをリリースしており、これも弾みとなったのだろう。’06年にウィンガーの復活作『IV』がドロップされ、より音楽的な深みを増したサウンドが提示されていた。

リリースは’09年の『KARMA』を最後に途絶えてしまったが、ウィンガーは現在もプロフェッショナルなパフォーマンスで世界のファンを魅了し続けている。前回の来日に当たる‘07年の公演(ラットとのカップリング)以来、アルバム楽曲を忠実に再現する職人的テクニックの素晴らしさが心に刻み付けられているというファンは多いことだろう。

“KAWASAKI ROCK CITY”では最も人気の高い1st『WINGER』の全曲再現とベスト選曲によるライヴが行なわれるということで、才人キップを筆頭として極上のプレイを楽しませてくれることだろう。ホワイトスネイクでの活躍を通し、そのギターに味わいを増し続けているレブ、楽曲に対する的確なフレージングをタイトなフィンガリングで奏で上げる実力者ジョン、このツイン・ギターは全ギター・キッズにとって見逃せないものになるはずだ。
 

ファイアーハウス

KAWASAKI ROCK CITY 2014 - FIREHOUSE

ウィンガーやY&Tが’90年代に苦杯を嘗めさせられたのとは対照的に、ウィンガーと同じく’88年に結成されたファイアーハウスは、そのキャッチーでメロディアスなサウンド方針を曲げることなく時代を乗り切り、現在まで息の長い活動を続けているバンドである。

ビル・レヴァティ(g)とマイケル・フォスター(dr)はホワイト・ヒートというバンドで活動しており、パワー・メタル・バンドのマックス・ウォリアーのメンバー:CJ・スネア(vo)&ペリー・リチャードソン(b)と意気投合して自分たちのバンドに迎え入れる。この4人によるホワイト・シスターは最終的にファイアーハウスへと改名し、’90年のデビューに至る。

ストレートなハード・サウンドに陽性のメロディーを乗せた、その楽曲センスは極めて高度で、1stアルバム『FIREHOUSE』はリリースと同時に大ヒットし、アメリカだけでも20,000枚のダブル・プラチナムを獲得した。同作品の成功によって、彼らは“American Music Awards”を始めとした数々の音楽アウォードで新人賞を総なめにしている(本誌ヤング・ギターの’91年人気投票でも“Best New Comer”に選ばれた)。続く『HOLD YOUR FIRE』(’92年)もセールスは好調で、その後も安定した活動を持続。特に『3』(’95年)のアジア圏での成功は特筆すべきで、インドネシアなどでは大規模なツアーを度々展開していた。

‘00年代に入るまでは、彼らの強みの1つとして、デビュー以来オリジナル・メンバー4人が不動であることが挙げられたが、‘00年に初めてペリー・リチャードソンが脱退。この後も幾度かベーシストが交替するも、バンドの活動が揺らぐことはなく、現在も活発なライヴを通じてキャリアを積み重ねている。‘11年に8年ぶりのアルバム『FULL CIRCLE』がリリースされているが、これは過去の代表曲をリメイクした作品で、楽曲クオリティの高さを改めてファンに実感させる内容となった。

ファイアーハウスの来日は、ナイト・レンジャーとのカップリングとなった’07年5月以来。残念ながら出演は“KAWASAKI ROCK CITY”のみであるが、久々の日本公演にエキサイトしているファンは多いことだろう。高い演奏能力でタイトに楽曲を聴かせる、安定したパフォーマンスは毎回期待を裏切らない。そんな中でコンテンポラリーなテクニックを駆使しながら、起承転結のはっきりしたギター・ワークを聴かせるビルの存在は非常に大きい。ツボを押さえつつテクニカル…近年のソロ活動も通じてスキルに磨きをかけている実力者のプレイを堪能してもらいたい。
 

KAWASAKI ROCK CITY 2014 公演概要

KAWASAKI ROCK CITY 2014バナー

★KAWASAKI ROCK CITY 2014

日程:2014年1月11日(土)・12日(日)
会場:クラブチッタ(神奈川県川崎市)
開場:16:00  開演:17:00
出演:Y&T、ウィンガー、ファイアーハウス

 

その他公演

★Y&T単独公演
日程:2014年1月10日(金)
会場:クラブチッタ(神奈川県川崎市)
開場:18:00  開演:19:00

★NAMBA ROCK CITY
日程:2014年1月13日(月)
会場:なんばHatch(大阪市難波)
開場:16:00  開演:17:00
出演:Y&T、ウィンガー

チケットなどその他の情報は、以下特設ページをチェック!
KAWASAKI ROCK CITY 2014(終了)