「自分のストラトキャスターをもっと弾きやすくしたい」「僕のテレキャスターはもっと音が良くなるんじゃないか?」…そんな悩み、疑問を抱きながら日々を過ごしているギタリストは多いことでしょう。
今回のクリニックではフェンダー・カスタム・ショップのマスター・ビルダー、ジェイソン・スミス&ポール・ウォーラーの両氏を講師としてお招きし、ハイ・クオリティなカスタム・ショップ製品の秘密の1つでもある“セッティングの極意”について実演を交えながら語っていただきます。
またクリニックの終了後、フェンダー・カスタム・ショップ製品の購入のご相談をすることも可能です(詳細は後日このページにて発表予定)。
参加費は無料ですが定員は30名。応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。ちなみに参加者全員を対象としたプレゼントの用意も予定していますので、そちらもお楽しみに! お申し込みはこのページ下部にあります。
参加特典の内容が決定! 2017.9.4
特典1:参加者全員にフェンダー・カスタム・ショップのオリジナル・ピック(非売品)がプレゼントされます。
特典2:イベント内で行なわれるフェンダー・カスタム・ショップ関連クイズにより多く正解した人には、他では滅多に手に入らない超レアなスペシャル・アイテムをプレゼント! その他、キャップやTシャツなど、同ブランド製のオリジナル・グッズも当たります。
たくさんのご参加お待ちしております!
マスター・ビルダー紹介
1980年代のストラトキャスターの品質向上に多大な貢献をしたことで知られるR&Dスタッフ、ダン・スミスを父に持つ生粋のフェンダー職人。1995年にフェンダー・カスタム・ショップへ加わり、名高いシニア・マスター・ビルダーであるジョン・イングリッシュに5年間師事した後、2006年に自身もマスター・ビルダーへ昇格する。スティーヴィー・レイ・ヴォーンの“Lenny”ストラトキャスターや、ディーン・ディレオ(ストーン・テンプル・パイロッツ)のダブル・ネック・ストラトキャスター、ジョン・5のダブル・ネック・テレキャスターといった個性的モデルの数々を手がけ、他にもジョシュ・クリングホッファー&フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、スティーヴ・ハリス(アイアン・メイデン)、ゲディー・リー(ラッシュ)といった多数のアーティストのギター製作に携わっている。
ジュニア・ハイスクール時代の工作の授業でベースを作ってしまうほど、幼い頃から木工に親しんでいたポール・ウォーラーは、専門学校Roberto-Venn School of Luthieryにてさらなる専門技術を学び、2003年にフェンダーへ入社。ボブ・ベネデット、ステファン・スターンといった高名なマスター・ビルダーの下で学んだ後、自身も2010年にマスター・ビルダーへ昇格する。ジョージ・ハリスン(ザ・ビートルズ)のローズウッド・テレキャスターを再現するという大役を務めた他、キース・リチャーズ&ロニー・ウッド(ザ・ローリング・ストーンズ)、バディ・ガイ、アダム・クレイトン&ボノ(U2)、ナイル・ロジャース、トロイ・ヴァン・リーウェン(クイーンズ・オブ・ストーン・エイジ)など、世界の名だたるアーティストの楽器を製作を担当。
テスト・レポート
今回のクリニックで講師を務める2人のマスター・ビルダーが製作した最新ギターを1本ずつお借りすることができたので、ここにそれぞれを試奏したインプレッションを掲載させていただこう。その素晴らしい技術の一端を垣間みていただけるはずだ。
57 Stratocaster C.C. Michael Landau built by Jason Smith
マイケル・ランドウと言えば、過去にもフィエスタ・レッドの1963年型や、3トーン・サンバーストの1968年型をモチーフとしたシグネチュア・ストラトが発表されているが、今回試奏したのは彼がここ数年メインで使用しているギターを再現したもの。トータス柄のピックガードにパール柄のハムバッカーが2つ載っているという、独特な仕様がファンの間で話題になったモデルである。
もちろん本人のものと同様に、ジェイソン・スミス氏が製作を担当。Closet Classic(長年保管した未使用のヴィンテージ品を再現したモデル)らしく、金属パーツはブリッジ・サドルやピックアップ・カヴァーなどに薄い錆が浮いている程度だが、ボディーはかなりの経年変化を感じさせる濃い黄色がかったブロンドだ。
ネックの背面も使い込まれた風合いで、1フレットから12フレット辺りまでが弾き込みによって自然と薄くなったような感じ。このネックは当モデルの最大の特徴でもあり、そもそもはランドウ本人が所有している’68年製ストラトのシェイプを基にしているという。ジェイソン・スミス氏いわく「Mr.ランドウのお気に入りのネックで、頂点が中心から(6弦側に)ズレたとても奇妙な形なんです。それを細かく再現するため、少し注意深く時間をかける必要がありました」とのこと。
実のところ、この特殊シェイプは握って如実に分かるほど大げさではなく、言われてみれば低音弦側が丸くて高音弦側が薄めかも…といった程度。弾きやすさはむしろ、先述した背面の弾き込み処理によるところが大きい。サラサラしたマットな部分とツヤツヤしたグロスの境目が絶妙で、リード・プレイからコード・プレイに移る際、またその逆でも、左手をどれだけ早く動かそうが1フレットや12フレットの位置で自然に止まる。写真を見れば分かる通り、かなり計算づくで丁寧に処理がなされている印象を受けた。
もう1つの特徴はもちろん、ルックス的に最も目を惹くピックアップだろう。搭載されているのはローラー製の“Imperial Humbucker”で、パール・タイプのカヴァーを採用したもの。“P.A.F”を意識したモデルではあるが、そのサウンドは非常に独特だ。
まずアンプで鳴らして一番最初に驚いたのは、リア・ポジションの存在感。ゲインは控えめだが、周波数帯域のバランスの良さが驚異的な太さにつながっており、強くピッキングすればストラトらしいバリッとした中高域も出る。フロントやミックス・ポジションは同様のテイストながらも、低域にブーミーさが出ないよう調整されているようだ。
また歪ませた時のニュアンスは確実にハムバッカーではあるが、音の密度を絶妙に薄く仕上げることで常に爽やかなテイストを感じさせる。繊細な音使いのコード・プレイ時に威力を発揮しそうで、この辺りはまさしくランドウ的だ。
ちなみにブリッジは以前のランドウ・モデルにも採用されていたものと同様、カスタマイズされたヴィンテージ・タイプのシンクロナイズド・トレモロ。弦のボール・エンドがなるべくサドルに近い位置で止まるよう、サステイン・ブロックの穴が深めに加工されているのが特徴で、アーミング時のチューニングの狂いを最小限に抑えている。スプリングは3本だが、テンションをかなりきつくしてユニットがボディーに付いた状態にしてあり、強くピッキングしてもピッチのブレが起こらないようにしてあるようだ。この辺りも本人の好みに合わせてあるのだろうか。
そして最後に触れておかなければならない特徴は…、とにかく軽いこと! 正確に計測したわけではないが(また個体差もあるだろうが)、片手で軽々と振り回せるほどの軽量感はストレスとは全く無縁。頻繁にステージをこなすライヴ派ギタリストに特にオススメしたい。
(写真はクリックorタップで拡大)
57 Stratocaster C.C. Michael Landau built by Jason Smith スペック
Body : Ash 2P
Neck : Maple 1P, Landau ’68 C shape
Fingerboard : 7.25″ radius, #6105 fret
Finish : Nitrocellulose Lacquer, C.C.
Pickup : Lollar Imperial Humbucker
Control : Volume, Tone1(Neck), Tone2(Bridge), 3Way Pickup Selector
1961 Stratocaster Relic -Faded Fiesta Red- built by Paul Waller
続いて紹介するのはポール・ウォーラー氏作、スラブボード(指板とネックの接着面が平らになっている)期の1961年製ストラトキャスター再現モデル。このギターの最も目に留まる特徴は、やはりボディーのマルチ・レイヤー仕様だろう。奇しくも先述したマイケル・ランドウの過去のシグネチュア・モデルの1本が似たようなルックスだったが…、つまり3トーン・サンバーストの塗装の上から、カスタム・カラーであるフィエスタ・レッドを重ね塗りしたものを再現しているわけだ。ボディー・トップの肘が当たる箇所や、バックの腹が当たる箇所を見ると、赤い塗装が削れて下のサンバーストが露出していることが分かるはず。
ちなみに本誌2017年9月号のP.201にて「最近はより説得力のあるレリック・ギターを作るため、新しい技術を模索している真っ只中」とポール・ウォーラー氏が語っている通り、彼の近年の興味はもっぱらレリック加工の精度を高めることに向いているようで、そのこだわりは随所に見られる。塗装のリアルなクラック、ノブやピックガードの変色の具合などは言うに及ばず、特筆したいのは金属パーツの処理の仕方。その風合いは「長年弾き込んではいるが、きっちり愛情を持ってメンテし続けた状態」を思わせるもので、例えば最も接触することの多いブリッジ・サドルなどは、錆を取るために磨いた結果、同時に面取りされて手触りが滑らかになった…といった感触。必要な精度を保ちつつ工業製品的な冷たさをなくすという、このバランス感覚は見事だ。
試奏してみてまず印象に残ったのは、ネックの処理の素晴らしさ。クセのないCシェイプだが、親指を指板上から出して握りやすい若干細めの印象で、ハイ・フレットからロー・フレットまで手を滑らせた時に太さの違いを感じさせない絶妙な形状だ。ネック背面の処理は先の“57 Stratocaster C.C. Michael Landau”と比べると、より自然にラッカーが剥がれたような経年変化を再現しているが、やはりその境目の位置は計算づくのようで、左手を素早く動かした時に1フレットや12フレットの位置でピタリと止まる。このナチュラルな使い込み感こそレリックの醍醐味。
指板Rがヴィンテージらしくきつめの7.25インチなので、弦高は若干高めに設定されており、ジャンルで言えばブルース系、クラシック・ロック系、カッティング系などを自然と弾きたくなる。そしてこのギターが持つサウンドは、そういったダイナミックさが求められるジャンルにこそ威力を発揮すると言える。その肝となっているのが、手巻きで製作された“Fat 60s Strat”ピックアップ。基本的に出力は控えめで、弱く弾けば際限なく繊細になる一方、激しく弾けばピークのある強い音もしっかり出すことができる。この優れた強弱表現力は上級者向けと言えそうだが、同時に自分が実力以上に上手くなったような気分になる“オマケ感”も兼ね備えている辺りが、何とも不思議だ。
スラブボード指板は一般的にマイルドなサウンドが特徴と言われ、このギターの場合もそのイメージ通り中低域が豊かで、特にリア・ポジションの太さは特筆もの。ただおそらくピックアップの特性なのか、倍音の出方は鋭角的なので、シャープさを表現したい時にはピッキングの具合できっちり鋭くもなる。またヴォリュームを絞った時にもブライトな高音域をキープすることができる、トレブル・ブリード回路が組み込まれているのも見逃せないポイント。その他のコントロールも実は意外に現代的な仕様で(ハーフトーンも出せる5ウェイ・ピックアップ・セレクター、フロント+センター用とリア用に分けられたトーン・コントロールなど)、見た目のイメージよりヴァリエーションの広い音色を出すことができる辺りも魅力だ。
(写真はクリックorタップで拡大)
1961 Stratocaster Relic -Faded Fiesta Red- built by Paul Waller スペック
Body : Alder 2P
Neck : Quartersawn Maple, Mid 60’s Style Oval C Shape
Fingerboard : Rosewood, 7.25″ Radius, Vintage Frets
Finish : Nitrocellulose Lacquer, Relic
Pickup : Handwound Fat 60s Strat Pickups
Control : Volume(with Treble Bleed), Tone1(Neck & Middle), Tone2(Bridge), 5Way Pickup Selector, Vintage Mod #2
Fender Custom Shop×YG Night Clinic ~マスター・ビルダーが伝授するセッティングの極意~ イベント概要&応募
講師:ジェイソン・スミス、ポール・ウォーラー
(フェンダー・カスタム・ショップ マスター・ビルダー)
日程:2017年9月26日(火)
開場:18:30 スタート:19:00(終了予定:20:30)
開催場所:東京都渋谷区某所 ※参加される方には個別にご連絡します。
定員:30名
参加費:無料
参加申し込み方法:下記の応募ボタンを押すとメーラーが起動します。こちらに下記の必須事項を入力してご送信ください。後ほどメールにて申し込み確認の通知が届きます。当日はこのメールを印刷してお持ちいただくか、または携帯電話の画面を受付に掲示してご入場下さい。
(1)お名前・年齢
(2)メールアドレス
(3)お電話番号
(4)当日、マスター・ビルダーに質問したい事柄
(5)フェンダー製品、およびフェンダー・カスタム・ショップ製品の所有本数(あれば)
(6)フェンダー・カスタム・ショップへの思い、ビルダーへのメッセージなど
(7)最近の本誌で興味深かった記事
締切:2017年9月10日(日)23:00
締切より数日以内に、当日に関する詳細なご連絡をメールにてお送りいたします。
注意事項:申し込み多数の場合は抽選とさせていただきます。
※締切が過ぎましたので、受付を終了させていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。