Marty Friedman Live Project Vol 3開催決定 & 2018.3.23 ライヴ・レポート

Marty Friedman Live Project Vol 3開催決定 & 2018.3.23 ライヴ・レポート

マーティ・フリードマンが本格的にソロ・ギタリストとしての活動をスタートさせたのは2002年のことであり、実はそろそろバンド時代よりもソロ・キャリアの方が長くなろうとしている。一時期は日本での活動に執心するあまり、他の国では「あの人は今…?」状態になっていた彼だが、2014年の『INFERNO』で再び世界制覇に乗り出してからは、自身のバンドを率いて勢力的なワールド・ツアーを継続。どれだけお茶の間の人気者になろうと、あくまでもロック・ギタリストとしての熱さを忘れない彼なのである。

そして一方、ここ日本では近年、マーティが新しい形のライヴ・エンターテイメントを模索していることを、ファンの方々ならご存知のはず。当サイトでも以前2017年7月28日公演“真夏の宴 Joy and Aggression 〜 An Evening With Marty Friedman”のレポートを掲載させていただいたが(2017年7月28日公演レポート)、簡単に言ってしまえばライヴレストランでの、食事を楽しみながら鑑賞できるディナーショウ形式である。彼はここで(メタリックな激しさはキープしつつも)泣きのメロディー成分を200%増にした、超エモーショナルなショウを展開。さらに以前はあまりやらなかった日本語での軽妙なMCもどんどん取り込み、自身のファニーな側面も積極的に見せて楽しませてくれている。エンターテイナーとしてのレベルが現在進行形でどんどん上がって行っているような印象を、見た人は受けるのではないだろうか。

そんな新型マーティ・フリードマンの姿を見ることができるライヴの第3弾、Marty Friedman Live Project Vol 3 初夏の宴「Glorious Summer Music」が、2018年6月29日(金)にラドンナ原宿にて行なわれることが決定した。目と鼻の距離で彼の演奏を楽しむことができるこの機会を、未体験の人も体験済みの人もぜひ逃さないようにしていただきたい。

Marty Friedman Live Project Vol 3 初夏の宴「Glorious Summer Music」
日程:2018年6月29日(金)
開場:18:00 / 開演:19:30
会場:ラドンナ原宿
座席:全席指定(事前予約制)
お問い合わせ:03-5775-6775(会場)

…さて、実は去る3月23日、おなじラドンナ原宿にて行なわれた第2回目の公演“春の宴 / Passionate Guitar”を、見せていただく機会を得ていた。非常に遅まきながら、ここではその模様を改めて振り返らせていただきたい。

当日は清(b)、CHARGEEEEEE(dr)、マシュマロシスターズ(piano & strings)という、昨年の第1回目と同じメンバーに加えて、新顔として菰口雄矢(g)が参加。穏やかなクリーン・トーンから「Tibet」が始まり、「Angel」「West」「Night」と、冒頭を1992年のアルバム『SCENES』からの曲で固めるというのは前回と似た流れだ。マーティいわく「25年以上前にリリースしてからほとんど手つかずだった」というこの作品、改めてライヴで聴かされると、静と動のダイナミクスの大きさやドラマティックさに驚かされる。マーティとしては珍しいシングルコイルのギターを用いた極太サウンドの艶やかさも、非常に魅力的だ。

さらに5曲目には、喜太郎をプロデューサーに迎えて作られた1994年のアルバム『INTRODUCTION』から、メロウで穏やかな「Bittersweet」が続く。当時のファンの中には、普段のメタルなマーティの姿とギャップがあまりにも大き過ぎて面食らった人も多かったはずだが…、しかし長いソロ・キャリアの文脈で改めて聴けば、これも実に彼らしいコブシのきいたマーティ節。時間をかけて洗練された表現力は清々しさが半端ない。

中間部ではお馴染みの「天城越え」(石川さゆり)、「I LOVE YOU」(尾崎豊)というJ-MUSICのマーティ流解釈が続き、さらに最新作『WALL OF SOUND』(2017年)からの曲を含むハード&メロウなナンバー連発で大喝采。そんな安心して見ていられる“いつものマーティ・フリードマン”の後には、“新しいマーティ・フリードマン”を聴かせる時間だ。ゲストとして呼び込まれたのは、マーティが音楽監修を務めたNetflixオリジナル・アニメ『B: The Beginning』のイメージ・アルバムで共演したジョン・アンダーダウン(vo)。彼の歌をフィーチュアして始まった同作からの「The Perfect World」は、濃厚な泣きとは無縁の透明感ある歌メロが特徴的で、誤解を恐れずに言えばマーティらしからぬ普遍的ハード・ロック・ナンバーだ。「こういう超王道の曲も書けるんだ!?」という驚きを覚えたのは筆者だけではないはず(ちなみにアルバムの方ではMAN WITH A MISSIONのJean-Ken Johnnyがヴォーカルを取っていたが、より中性的なジョンの歌声もなかなかハマっていた)。そして続いて、2011年の東日本大震災の頃に書いたという完全未発表曲「Letter」も飛び出す。こちらは目をつむって聴けば完全にJ-POPバラードそのものであり、MONKEY MAJIKなどに通じる多国籍要素も随所で感じられるナンバー。もちろんいずれの曲も、ギター・ソロが入って来た途端に演歌的な濃いコブシが表われることは言うまでもない。

そんな意外な側面も見せた後、分厚いイントロが強烈な「雪の華」(中島美嘉)からは、再びギター・インスト・モードへ突入。中間部ではそれまでバックに徹していた菰口がステージ前面へ歩み出て、マーティとギター・バトルを繰り広げるという嬉しい展開も。感情むき出しのマーティと、知的かつ冷静に音をコントロールする菰口…、異なる個性のぶつかり合いが爆発的なエネルギーを生み、この夜最大のギター的ハイライトを作り出す。そこからエンディングまで、感涙バラードあり、ヘヴィ&メロディアスあり、仕掛け満載のメンバー紹介あり…という多彩な展開で飽きさせず、ショウは右肩上がりのテンションで幕を閉じたのだった。

Marty Friedman 2018.3.23

マーティ・フリードマン “春の宴 / Passionate Guitar” 2018. 3. 23 @ラドンナ原宿 セットリスト

1. Tibet〜Angel
2. Valley Of Eternity
3. West
4. Night
5. Bittersweet
6. 天城越え
7. I LOVE YOU
8. Whiteworm
9. Streetlight
10. Lovesorrow
11. Tears Of An Angel
12. The Perfect World
13. Letter
14. 雪の華
15. Undertow
16. For A Friend
17. Thunder March〜Barbee Banditsメドレー
18. Trance(メンバー紹介)
[encore]
19. Amazing Grace