「アルバム全曲を通して1人1人の見せ場を用意したい」サンズ・オブ・テキサス feat. ジェス・デ・ホイヨス&ジョン・オリヴァレス 2018来日

「アルバム全曲を通して1人1人の見せ場を用意したい」サンズ・オブ・テキサス feat. ジェス・デ・ホイヨス&ジョン・オリヴァレス 2018来日

1人が書いた曲でも全員で練り直す(ジェス)

Jes De Hoyos

YG:その最新アルバムについても聞かせて下さい。前作の『BUPTIZED IN THE RIO GRANDE』はメンバー全員で作曲したと本誌(”16年9月号)のインタビューで語っていましたが、今作においても同じ手法で作曲されたのでしょうか。

JO:ああ、間違いない。

JH:すべてチームワークによるものだよ。誰か1人が楽曲の大半を書き上げてきた場合でも、一旦構造を分解して、パートを変更したり差し替えたり、追加したりしたよ。曲がどんなアプローチを求めているのか、みんなで意見を出し合い、練り直していった。

YG:ほとんどの曲にグルーヴィなギター・ソロが含まれていますが、このインスピレーションはどこから湧くのでしょうか? 

JH:以前の俺は、時速何百万音で弾けるか…みたいな速弾きを意識していたけど、バンドを始めてジョンに出会ってから、よりリズム感を重視したソロを弾くことを考えるようになったんだ。どう言えばいいのかな。曲が求めるものを弾く、という感じだね。1曲だけソロが入ってないものもあるけど、必要なさそうだと感じたから、そうなったんだよ。何であれ、曲に必要だと思うことをやっていくんだ。

YG:1曲目「Buy In To Sell Out」は、全体のリフやヴォーカルの歌唱法にヘイトブリードのようなハードコアやメタルコア的な要素があり、本作の中でも特に異色なサウンドを持ったナンバーですよね。その辺りのジャンルを意識されたのでしょうか?

JH:ヘイトブリードもクールなバンドだよね。彼らに喩えてくれるのは光栄だよ。このアルバムでは、自分達の中にあるヘヴィな部分を出そうということは意識していた。例えば今作にはバラードが入っていない。1stには2曲入れていたけどね。そして確かに、「Buy In〜」は他と違ったサウンドを持っている。だから意図的にアルバムの1曲目に持って来たんだよ。

YG:「Turnin” The Page」のようにアコースティック・ギターをフィーチュアした曲もありますが、これはどちらがアコースティックを弾いているのですか? 

JH:ヴォーカルのマークが弾いているよ。

JO:ジェシーや俺が曲を書くことは多いけど、こういったゆっくりめなタイプの曲はマークが書いているんだ。

JH:土台になる大半の部分が既に出来ていて、それをバンド全員で細かく分解して練り直し、こんな形に完成したんだよ。

YG:日本盤には、ソーシャル・ディストーションの「Ball And Chain」(”90年『SOCIAL DISTORTION』)のカヴァー曲がボーナス・トラックとして収録されていますが、この曲をチョイスした理由を教えて下さい。

JO:実は、レーベルからの提案だった。「俺達がこの曲をカヴァーする所を見てみたい」という話を、プロデューサーのジョシュ・ウィルバーを通して知ったんだ。2週間しか時間をかけられなかったけど、楽しく作れたよ。日本のみんなに聴いてもらえて本当に嬉しい。日本盤以外には収録されていないからね。

YG:イントロとエンディングのピアノ演奏によるゆったりしたパートと、ギターの歪みを効かせたヘヴィな中間部パートの対比が強烈ですね。

JO:原曲の方はロカビリーのアップ・スウィングな感じだけど、俺達はもっとヘヴィにしたかったんだ。

JH:俺はこの曲をやろうとなった時、特に乗り気じゃなかった。でも、結果的に凄く満足のいくものになったよ。マークの歌が素晴らしい。ピアノの部分も彼が考えたんだけど、見事なアレンジだよ。実は、ここで聴けるギター・ソロは完成予想図を見るために俺が仮で入れたものだったんだ。

JO:誰にも聴かれないだろうと思って録音したんだよな(笑)。

JH:そう、単なる1発録りだよ。もっと練られれば良かったけど、まさか採用されるとはね!

YG:ちなみに、今回の来日に持って来た機材は?

JO:俺はESPとエンドースを結んでいて、LTDのTLシェイプを持って来たよ。ピックアップはEMGだ。アンプはピーヴィー“5150”で、キャビネットはマーシャル。弦はアーニーボールを使っていて、ピックはジム・ダンロップ製…そのぐらいで、シンプルだね。

JH:俺はフェンダーの“Jim Root Stratocaster”だ。これはスリップノットのジム・ルートのシグネチュア・モデルで、彼の大ファンだというわけではないんだけど、EMGピックアップの搭載、ハイ・ポジションに向かうにつれてフレットが平らになっていくネックの仕様(コンパウンド・ラジアス)…といったスペックが気に入ったから使っているんだ。シュレッド・プレイがやりやすいからね。それと、エフェクターも幾つか持って来たよ。HORIZON DEVICESの“Precision Drive”(オーヴァードライヴ/ブースター)とモーリーの“Bad Horsie”ワウ。それから、エンドースしているiSPテクノロジーズの“Decimator II G-String”(ノイズ・ゲート)を持って来たよ。素晴らしいペダルで、弾き終わった後の余韻を消してくれる。あとはディレイ。TCエレクトロニックの“Flashback Delay”で、コンパクトなタイプのヤツだ。

YG:わかりました。最後に、一言ずつメッセージをお願いします。

JO:俺達は行く先々でYGをチェックしているんだ。アメリカの書店にも時々置いてあるからね。そんな雑誌に取材されるのは凄く嬉しい。もちろん俺達の音楽を日本のファンが気に入ってくれているのも凄く嬉しいよ!

JH:記事の中で名前に触れてもらえるだけでもありがたいぐらいなんだ。ファンやYGの読者なしには、こんな恩恵を受けることはなかっただろうね。

YG:どうもありがとうございました。

2人:ありがとう!