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山本恭司 ヤング・ギター2017年12月号 本誌未掲載インタビュー

インタビュー&文●坂東健太

BOWWOWは先述した『ERA』以降アルバム制作をストップしているが、現在もライヴ活動は定期的に行なっている。一時離脱している新美俊宏(dr)や、既に音楽業界から身を引いている佐野賢二(b)の代わりにサポートを加え、“BOWWOW G2”と名を変えてはいるものの、日本のハード・ロック黎明期にデビューしたバンドがいまだに動いているという事実は驚嘆に値すると言えるだろう。

そのBOWWOW G2の最新ライヴDVD『BOWWOW G2 LIVE IN TOKYO 2016 〜The 40th Anniversary〜』が、『Voice of The Wind』と同時期にリリースされている。これはタイトル通り、BOWWOWのデビュー40周年を記念し、2016年8月20日に渋谷マウントレーニアホールで開催されたライヴの模様を収録したもの。ここからはそのDVDを話の取っ掛かりとしつつ、その他の活動にも踏み込んだインタビューをお届けしよう。

過去の作品たちを風化させてしまうのは本当にもったいない

YG:今回のDVDに収められた40周年記念ライヴを私も実際に見させていただいたんですが、いわゆるグレイテスト・ヒッツ的なセットリストではなかったのが面白いと思いました。’80年代の曲が多めで、中間部には意外なアコースティック・メドレーもあり…。
KY:そうだね。アコースティック・メドレーでは、(再結成以前の)すべてのアルバムから1曲ずつ演奏することで歴史感を出そうと思ったんだけど、他のセクションは普通に「1回のライヴとしての完成度をどれだけ高めるか」という意識だったと思う。もちろん、みんなが好きな曲をある程度は押さえてあるけども、流れとしての完成度を目指したということだよね。

YG:つまりことさら40周年にこだわるというより、長くやってきた中で自然と、今回はこういうセットリストかな…と。
KY:そう、とても自然にね。こだわったのはアコースティック・セクションだけ。BOWWOWには歴史があるから、意外に人気がある曲とか、『CHARGE』(1978年)の「Sister Soul」みたいにライヴでほとんど演奏したことのない曲も入れたりしてね。ミュージシャンの中にはBOWWOWで育ったと言ってくれる人も多くて、彼らと話すと「あの曲、実は好きなんですよ!」みたいに盛り上がることも多いんだ。そんな会話もヒントにしたな。意外性があったほうが面白いでしょ?

YG:問題作と言われた“ポップ時代”の3枚に関しても、恭司さんは最近、よく自分で評価し直す発言をしていますよね。私も改めてその時代の作品を聴き直してみたんですが、『TELEPHONE』(1980年)なんかは実はわりと激しくロックしていますよね。
KY:ポップ時代は3枚作っているんだよね。『GUARANTEE』(1978年)の頃はとにかく急激にポップにしなきゃいけないという使命感があって、『GLORIOUS ROAD』(1980年)はその延長線上の作風。でも『TELEPHONE』はポップとロックの融合を模索していた時期のアルバムなんだ。あと、『GUARANTEE』と『GLORIOUS ROAD』の2枚は(斎藤)光浩がメイン・ヴォーカルだったんだけど、『TELEPHONE』では僕が再びメイン・ヴォーカルになったから、そのせいもあるかも。

YG:40周年ライヴのアコースティック・メドレーは、光浩さんとのデュオの形でしたよね。お二人のコーラスのコンビネーションが、BOWWOWの強みの1つなんだな…とも感じました。
KY:僕らは全然違う声質なんだけど、混ざるとあのBOWWOWっぽい感じが出るというのは、まあこれだけ長い歴史があるからなんだろうな。

YG:あのメドレーのために、少し長めにリハーサルをしたということは?
KY:特にない。もう光浩とは本当にツーカーだからね。僕が軽くある程度の流れを作って、ちょっと説明しただけ。僕は作曲した人間だからよく憶えているけど、光浩はまた憶え直さなきゃいけなかったはず(笑)。でもアイコンタクトが通じるし、カウントを出さなくても光浩とはシンクロできるから。セッション慣れしているというのもあるけど、僕はけっこう人の心を読むのが得意なんだ。特に音楽をやっている時はね。だから僕とセッションする人には、「何でこんなに上手く簡単に合わせちゃうんだろう」って言われることが多い。大リーグボール1号の奥義だね。分かりますか?(笑)

YG:『巨人の星』ですか? 世代じゃないので分からないです(笑)。
KY:星 飛雄馬が対戦バッターの所作から心の動きを読んで、構えたバットのどこかにボールを強引に当て、凡打にしてアウトにする…という魔球なの。それに似てるね(笑)。セッション相手のちょっとした目の動きとか、ギターの動きとか、息の吸い方で心を読んじゃう。あと1音1音の動きから、いつ相手のソロが終わるかを読んで、タイミング良く自分がソロを引き継ぐとか。それも経験ありきだけどね。

YG:経験と、思い切りかもしれないですね。ちなみに今後、BOWWOWが本格的に活動を再開する可能性はあるんですか?
KY:本格的かどうかは分からないけど、少なくとも来年の夏には必ず東京でライヴをやろうと思っているし、できれば他の土地でもやりたい。2017年は色々な都合でできなかったんだけどね。

YG:あと、久々のニュー・アルバムを求めている人もいると思います。
KY:いやぁ、それはなかなか難しいかな。WILD FLAGの方が、ミニ・アルバムとか何らかの形で新作を出す可能性は高いね。BOWWOWは色々と大変なんですよ(笑)。やることが大掛かりになっちゃう。まあ、未来のことは誰にも予想できないけどね。意外にすんなり事が進む可能性もあるし。

YG:不思議ですよね。BOWWOWにしてもWILD FLAGにしても、一時は封印したわけじゃないですか。それが今や、WILD FLAGではかなりの本数のツアーをやっていますし、BOWWOWもライヴ活動自体はコンスタントに続いているという。
KY:そうだね。まず基本的に僕は、BOWWOWもVOW WOWもWILD FLAGも、今までやって来たバンドはすべて愛しているんだ。大好きな作品も残して来たし、それらの作品たちを誰も演奏しないまま風化させてしまうのは、本当にもったいないと思う。VOW WOWはなかなか復活が難しい状況だから、なるべく自分のソロ・ライヴの時に歌うようにしているしね。BOWWOWに関してはね、2000年頃に再結成した時、あまりにも光浩と息が合ってしまって笑っちゃったんだ。4メートルぐらい離れた距離でお互いにギターを手に取って遊んでいた時、同じ曲を一緒に弾き始めたのよ。すごく長いブレイクのある曲だったのに、特に合図もせず完璧に合っちゃって。お互い大人になったこともあるんだろうけど、とても居心地が良かったんだよね。もっと若かった初期のBOWWOWの頃は、僕がめちゃくちゃわがままかつワンマンで、和を乱していたんじゃないかな…と反省するところもあってね。自分が引っ張ろうという意識があったとはいえ。

YG:今思えば、ということですよね?
KY:いや、当時も自覚はあったよ(笑)。まだ20代前半の頃だったな。まあ年を重ねて改めて自分を見直せば、そんな風に反省すべきところもある。でもね、例えば小学校の同窓会で集まると、何となく子供の頃の力関係にパッと戻るじゃない? BOWWOWもWILD FLAGも今でも自分が引っ張るような関係ではあるんだけど、お互いにちゃんと和を尊びながら、成熟したメンバー関係が築けている感じだね。そうなると、すごく居心地が良くなる。だから今は続けていられるんだろうな。

山本恭司 最新リリース

山本恭司 - Voice of The Wind
『Voice of The Wind』/山本恭司

最新ソロ・アルバム | CD | Timeless | TIMEC-4 |2017年10月17日発売

BOWWOW G2 - BOWWOW G2 LIVE IN TOKYO 2016 〜The 40th Anniversary〜
『BOWWOW G2 LIVE IN TOKYO 2016 〜The 40th Anniversary〜』/BOWWOW G2

最新映像作品 | DVD | Timeless | TIMED-2 | 2017年10月17日発売

山本恭司 公式ウェブサイト:
http://www.kyoji-yamamoto.com/

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