DINOSAUR/B’z

DINOSAUR/B’z
アーティスト名B'z
B'z
アルバム名 DINOSAUR
DINOSAUR

CD | VERMILLION RECORDS | 2017年11月29日発売

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’00年代のB’zはそれ以前より骨太な方向へ行こうとしていたとはいえ、まだありとあらゆる場所へアンテナを向け、ジャンルレスでありたいという実験的精神が強かった気がする。それが’09年の『MAGIC』で化けた…と個人的には思っていて、当時世界最高峰だったグリーン・デイやニッケルバックの音圧に匹敵する分厚い音で、若者顔負けのエネルギッシュなロックを聴かせたのが超痛快だった。

そこから数作は同じ路線のまま進化が続き、今作『DINOSAUR』も延長線上にはあるものの、また少し違う方向へ進もうとしているのかも…と思わせる多彩さが随所から感じられる。例えば「CHAMP」などに顕著な、パーカッションやキーボードの目立つ音作りは、よりシンプルだった前作とは明らかに異なる要素だ。松本孝弘のギター・サウンドに関して言えば、左右で壁を作るような猛烈に分厚いオーヴァードライヴが主体ではあるが(もちろんバラードはその限りでない)、どの曲でもオブリの抜き差しでヴァリエーション豊かな音色が上下左右から現れ、豪快なのに芸が細かいという不思議な感覚。「声明」辺りを聴いてもらえれば分かりやすいだろうか。ただそれでいて、ミクスチャーが全盛だった’90年代のような雑多感、ゴッタ煮感がないのは、焦点を絞るセンスが30年の間に研ぎ澄まされたからなのだろう。快作。