デス・エンジェル単独公演:モダンに進化するベテラン・スラッシャー! 代官山UNIT 2018.5.9 レポート

デス・エンジェル単独公演:モダンに進化するベテラン・スラッシャー! 代官山UNIT 2018.5.9 レポート

アメリカ発のベイエリア・スラッシュ・メタル・バンド:デス・エンジェルが5月9日、一夜限りの公演を代官山UNITにて行なった。彼らが来日するのは’14年の“LOUD PARK”以来、つまり4年ぶりとなるが、単独としては’90年代以来となり、かなりのインターヴァルが空いている。100%フルで彼らのパフォーマンスが見られるというこの貴重な機会は、メタル・フリークにとって垂涎必至だったことは間違いないだろう。
 

公演は水曜日で平日ではあったものの、多くのオーディエンスが会場に押し寄せ、始まる前から今にも暴れ出しそうなほどの熱気が滾っていた。そして開演後メンバーが登場し、最初にプレイされたのは最新作『THE EVIl DIVIDE』(’16年)からの「Father Of Lies」だ。テンポが速く、ツイン・ギタ―でのハモリから泣きのリードまで高度なテクニックを要する楽曲ではあるが、ロブ・キャヴェスタニィ(g)とテッド・アギュラー(g)のプレイは正確無比で、2人の息もぴったりだ。その後もザ・スラッシュ・メタル!と言わんばかりの激烈な刻みを多用した新曲が続き、「The Dream Calls For Blood」ではロブが体をのけぞらせながら荒々しいギター・ソロを見せつけ、「Relentless Revolution」は怪しげなイントロ・リフに、テッドが放つタイトなパワー・コードが加わることで緊迫感がより強調されていた! ベースのデミアン・シッソンとドラムのウィル・キャロルはメンバーの中では新しく入った部類ではあるが、10年近く経った今ではすっかり正式メンバーの風格で、デミアンは演奏中に前方のオーディエンスと触れ合ったりなど、サービス精神溢れるパフォーマンスも見られた。

DEATH ANGEL - Rob & Ted

中盤以降は徐々に懐かしいナンバーが増えて行く。「Voracious Souls」は’87年にリリースされた衝撃のデビュー作『THE ULTRA-VIOLENCE』からの選曲だが、一切サウンドに古臭さを感じさせず、むしろスタジオ作よりも一層モダンに進化していることが如実に感じられた。そして「The Ultra-Violence」のインパクトのあるイントロが始まるも、曲は本編に向かわず「Thrown To The Wolves」へと変わる。近年では海外での公演でお馴染みとなっているライヴ仕様の特別アレンジに、オーディエンスのヴォルテージは更に上昇。テッドは相変わらずのポーカー・フェイスを保ちながらも演奏に派手さが目立ち、ロブはエモーショナルにアーミングを活かしたソロを弾きながら観客を煽りまくる。「Lost」ではマーク・オゼグエダ(vo)がいつものようなアグレッシヴな歌唱ではなく、哀愁を漂わせたクリーン・ヴォイスで観客の心を鷲掴みに! 来年には50歳を迎える彼だが、その幅広い分野に対応できる歌唱力には一切の衰えを感じさせなかった。そしてセットリストの中で唯一の2ndアルバムの収録曲である「3rd Floor」から強烈なフィードバック音と共に「Caster Of Shame」を披露し盛り上がりは遂にピークに達する! 本編ラストは「The Moth」でメンバーは一層切れ味の高いパフォーマンスを見せ、この時のデミアンは動きまくるベース・フレーズを難なく弾きこなしており、オーディエンスを圧倒していた。

アンコールを求める間もオーディエンスの歓声は鳴り止まず、マークがMCを挟み若干会場も落ち着いてくるが、1stアルバムの超高速ナンバー「Evil Priest」ですぐに熱量はマックスに。疲労が溜まりがちな終盤だとは思えないほどのパワフルなプレイで観客を煽りまくる! そして公演最後の曲となる「Kill As One」ではロブは凄まじい轟音と共にワウ・ペダルを活かしたブルータルなソロを響かせ、ヴォーカルとオーディエンスのコール&レスポンスで会場は完全に一体となり、大団円を迎えて公演は終了した。 

フェスでは何度か来日しているが、単独公演というのもありひと味違うパフォーマンスを見せてくれたデス・エンジェル。今回のオーディエンスの反響から察するにまた近々来日が期待できそうだが、次回もまた新たなアルバムを引っ提げて、再び日本のスラッシュ・メタラーを唸らせてほしい。

DEATH ANGEL - BAND

デス・エンジェル 2018.5.9@代官山UNIT セットリスト

1. Father Of Lies
2. The Dream Calls For Blood
3. Relentless Revolution
4. Claws In So Deep
5. Seemingly Endless Time
6. Stop
7. Breakaway
8. Voracious Souls
9. The Ultra-Violence(Intro)〜Thrown To The Wolves
10. Lost
11. Mistress Of Pain
12. 3rd Floor
13. Caster Of Shame
14. The Moth

[encore]
15. Evil Priest
16. Kill As One