GOTWEE3 with KAZUE AKAO
タイトルを日本語にすると、どうやら“ゴツイ3人”…という意味のようで、ギタリストはマーシャル・アンプの中でも出力200Wの“Major”を愛用する島 紀史。ベーシストにワールド・クラスのブルースマン小笠原義弘、ドラマーにはFEEL SO BADの活躍で知られる山口“PON”昌人。“向かうところ敵なし”のこのメンツに、国産ハード・ロック・グループ:クルベラブリンカの歌姫である赤尾和重をゲストに迎えた、まさに豪華ラインナップだ。
曲目は島の敬愛するリッチー・ブラックモアの厳選カヴァーで、いきなりギターの音量が大きくなっているようだ(笑)。まずレインボーの『RISING』(’76年)から2曲が披露され、アップ・テンポな「Do You Close Your Eyes」が始まるやいなや、そのグルーヴが観客をすかさずとりこにする。何よりも、赤尾によるロニー・ジェイムズ・ディオ彷彿のパワフルな歌声が見事だ。小笠原のアタックを効かせたベース・ラインも非常にグルーヴィ。エキゾティックな大長編「Stargazer」では山口の暴れまわるドラミングに対し、島が渾身のロング・ギター・ソロを大音量で放つ。そのサウンドは耳に痛いかと思いきや、適度な歪み具合とクリアなサウンドで実に心地よい。最後はディープ・パープルの「Black Night」でオーディエンスを歌わせると、潔くステージを後にした。
GOTWEE3 with KAZUE AKAO セットリスト
1. Do You Close Your Eyes
2. Stargazer
3. Black Night
D_Drive
次なる出演はマーシャルが運営するレコード・レーベル“Marshall Records”から、昨年最新アルバム『MAXIMUM IMPACT』をワールドワイドにリリースした国産ギター・インスト・グループ:D_Driveである。ギター・チームのYukiとSeijiはマーシャルとの繋がりが深く、それぞれ“JVM”を基調にオリジナル・デザインを施した3段積みのシグネチュア・アンプをバックに登場。そびえ立つ“壁”の前にさらにマーシャルが増えた光景は壮観だ。
ツインのハモリの妙技が光る「Begin Again」に続き、Seijiがエラリー社長のために書き下ろしたという「Livingston’s Thumbs Up」ではユニークな響きのスケールを活かしたスリリングなフレーズを展開。パワフルなドラミングに定評のあるChiikoや躍動的なグルーヴを繰り出すベースのToshiも含め、全員がソロ回しを行なって喝采を浴びた。フェード・アウトするようなアーミングの掛け合いがユニークな「The Last Revenge」も、2人のギタリストのタッピングを含めたツイン・リードなど見せ場が満載で、最後までオーディエンスの心を離さなかった。
D_Drive セットリスト
1. Begin Again
2. Livingston’s Thumbs Up
3. The Last Revenge
なお、バンド転換の間には、司会進行を務めるマーシャルの牛澤滋由貴氏が出番を終えた面々と歓談する場が設けられる。イベント出演に至るまでの経緯が明かされたり、演奏時とは違ったアーティストの素顔が見られたりできるのは実に興味深く、牛澤氏の洞察力豊かながら軽快な口調で引き出されるエピソードの数々に、こちらもミュージシャンとの距離感が縮まるような思いにさせられる…そうこうするうちに、次のバンドがスタンバイ完了。こんな調子なので、終始ステージから目が離せない。これもまた、第1回から引き継がれた“Marshall GALA”の見所の1つなのだ。
犬神サアカス團
ここで舞台に幟が次々と立てられて異様な雰囲気に変わり、と同時に客席にも赤いはっぴを着た観客が増えていく。犬神 明(dr)をリーダーとする和風ロック・バンド、犬神サアカス團の登場だ。当時すでに、ギターの犬神情次2号(六弦)とベースの犬神ジン(四弦)が脱退することが決まっており、この日の公演は彼らを含めた状態で予定されていた中でも最大規模のものであったという。
そんな寂しさが垣間見えつつも、ショウが始まれば「暗黒礼賛ロックンロール」のゴキゲンな8ビートが炸裂! 観客も踊り出し、早くもお祭り状態に。情次が’70sロックの良いところを残した良質なギター・ソロを聴かせ、ジンと2人でサブ・ステージに移動したりと、さらにテンションを高めていく。犬神凶子(vo)の透き通るような歌声が映える「運命のカルマ」では、情次2号がワウを踏んだエモーショナルなソロを展開し、ハードなグルーヴを彩った。最後は「命みぢかし恋せよ人類!」。オーディエンスとのコーラスの掛け合いも楽しく、それこそ“みぢかし”といえどしっかりと場内を犬神ワールドに染めてくれたのであった。
セットリスト
1. 暗黒礼賛ロックンロール
2. 運命のカルマ
3. 命みぢかし恋せよ人類!
SPIN OFF四人囃子#1
第2回目の“GALA”もいよいよ大詰め。ラストは日本が誇るプログレ・バンド四人囃子を軸とした、SPIN OFF四人囃子#1だ。四人囃子のオリジナル・メンバーである岡井大二(dr)と坂下秀実(key)の2人に、ギター&ヴォーカルを務める稲葉政裕とベースの山崎 洋が加わったラインナップで、第1回の“GALA”でも“稲葉囃子”名義の出演で大きなインパクトを残している。
やはりこちらも難曲かつ名曲の連続で、「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」や「なすのちゃわんやき」など、形容しがたい魅力に溢れたサウンドが観客を魅了する。岡井のどっしりしたドラミングには有無を言わせぬ迫力があり、眼光鋭く各パートに目をやりながらグルーヴを牽引する様子が圧巻だ。幻想的なメロディーを奏でる坂下のキーボードも音色を次々と変えながら、名曲をその場に描き起こしていく。山崎も穏やかな動きながら、堅実なベース・ラインでグルーヴを支えている。普段は小田和正のバックを務めるなど、スタジオ・ミュージシャンとして広く活躍中の稲葉は、実はマーシャルの3段積みスタック・アンプの愛用者でもあるそうで、「小田さんがデス・メタルをやることになったら、歪みサウンドの作り方も研究するけど」と笑いを誘いつつ、クリーンを基調とした美しいストラト・サウンドでバックやリードを聴かせている。
最後は四人囃子最大の名曲といえる「一触即発」! 一体どこまで展開していくのだろうと思わずにはいられないほど、多彩なセクションが次から次へと押し寄せる。スリリングなキメの連続やブルージーなギター・ソロなど、ありとあらゆる要素に神経が研ぎ澄まされ、それでいて自由自在に変化していく別次元のサウンドは、誰もが我を忘れて見つめずにはいられない凄まじい引力を持っており、まさに今夜のクライマックスに相応しい強烈なパフォーマンスを見せてくれたのだった。
SPIN OFF四人囃子#1 セットリスト
1. 空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ
2. なすのちゃわんやき
3. 一触即発
Marshall GALA 3に向けて
これにて終演となった“Marshall GALA 2”。最後はほぼすべての出演者がステージに出揃って、エラリー社長をステージに迎え入れ、彼から直々に素晴らしいパフォーマンスへの感謝とねぎらいの言葉がかけられた。締めくくりには「“Marshall GALA 3”でまた会いましょう」とのお言葉が…、これにて次回のイベント開催が決定となった。
4時間超えの長丁場にもかかわらず、常にステージから目が離せないパフォーマンスの連続で、まさにギター、マーシャル、ロック三昧。ギター・ファンにとってはこの上ない幸せが味わえた一晩だった。
INFO
※牛澤氏による本イベントのより詳細なライヴ・レポートが、Marshall Blogに掲載!
Marshall GALA 2