アーティスト名 | CHILDREN OF BODOM チルドレン・オブ・ボドム |
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アルバム名 | HALO OF BLOOD ヘイロー・オヴ・ブラッド |
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フィンランドが誇るメタル・マスターによる待望の通算8作目となるアルバム。前作はアメリカ人プロデューサー:マット・ハイドを迎えて制作された意欲作だったが、本作からミッコ・カルミラとピーター・テクトグレンという『BLOODDRUNK』(’08年)での布陣に再びバトンタッチされている。全体的な音楽性に大幅な変化は感じられないが、冒頭の20秒間に強烈な緊張感を封じ込めたオープニング曲や、ブラック・メタル的な暴虐さと鋭利さで一気に迫るタイトル曲、アグレッシヴで疾走感のある「All Twisted」などからは原点回帰の匂いをも感じさせる。「Scream For Silence」のような抒情的なミドル・テンポ・ナンバーもファンには既にお馴染みの曲調だろう。
だが、アルバム全体が過去作品の焼き直しのような内容になっているわけでは決してない。驚いたのはドラマティックなスロー・ナンバー「Dead Man’s Hand On You」の存在だ。前作でツアーを共にした同朋アモルフィスからの影響だろうか、イントロで聴けるギターとピアノのアルペジオはまだしも、アレキシが普段より低い声や囁き声を使って情感たっぷりに歌ってみたりと、これまでの彼らのイメージにはない新機軸ともいえる曲調になっている。
恒例のボーナス・カヴァーはラウドネスとロクセットだが、原曲に忠実な前者「Crazy Nights」の出来が見事。飽くまでも現代的なヘヴィネスを音像の軸に据えたブルータル路線ではあるが、初期風味を感じさせるスリリングな疾走感と叙情的なメロディーは、あの“チルボド節”を待ち望むファンには歓迎されるだろう。
(Masa Eto)
昨年、キャリア15年を総括するベスト盤『HOLIDAY AT LAKE BODOM〜』を発表し、今回から“ニュークリア・ブラスト”に移籍。COBは次の章に入ったということになる。それもあってか、本作では昔からバンドを知るミッコ・カルミラをプロデューサーに迎えた。『HATEBREEDER』(’99年)からミックスなどバンドの多くに幅広く関わったミッコなら、COBの魅力を深いところから引き出してくれるだろうという読みだ。
とはいえ、真のプロデューサーはバンドでありアレキシ。作り方が変化したということはない。収録曲も同様、彼らの表現法を変えてほしいと思う人はいないわけで、妥協なしで綿密にアレンジされたメロディアス&ヘヴィ、そして過激でダークなスタイルを守りつつ、次のレベルに推し進めている。ただ今回は、2ndの頃にあってもおかしくない「The Days Are Numbered」、3rdのヴァイブに似ている「All Twisted」等々、昔のサウンドを彷彿とする曲もあり、それは今回の“新”と言えるかもしれない。
ちなみに、前作では「収録し忘れた」という“ボドム湖の殺人”に関する曲「Bodom Blue Moon(The Second Coming)」も、しっかり収録。そして注目は、いつも“迷選”でリスナーの驚きを誘うボーナス曲の「Crazy Nights」(日本盤のみ)。嬉しいことにラウドネスの名曲をカヴァーしている。
アレキシのプレイは毎度のことながら、本当にこれが即興か?と思わせる完璧さ。超絶なリックが正確無比のリズムで綴られている。激フレーズの応酬だが、この人のフレーズは綺麗で心地よいのだ。
(福田真己)