’19年4月にカップリング来日を果たした、スウェーデンのスカー・シンメトリーとフィンランドのオムニウム・ギャザラム。メロディック・デス・メタルを出発点に、それぞれ個性溢れるアグレッシヴ&メロディック・サウンドを志向する両バンドのギタリスト:ペル・ニルソンとマーカス・ヴァンハラが同席してのインタビューをお届けしよう! デジタル派でバカテクの持ち主であるペル、アナログ派でどちらかというとフィーリング重視のマーカス…と、実は全くタイプが異なる2人だが、前者がメシュガーやノクターナル・ライツ、後者がインソムニウムと、どちらも複数のバンドに所属し、マルチに活躍という共通項もあったりする。今回2人には、コダワリの機材について訊いてみた…!!
YG:2人は複数のバンドを掛け持ちしていますが、バンドによってギターを替えることなく、大体いつも同じモデルのギターを弾いていますね?
マーカス・ヴァンハラ(以下MV):そうだね。ジャクソンの、ランディ・ローズ・モデル“RR”だ。今回持ってきたのは両方ホワイト・フィニッシュのモデルで、片方はバンドのロゴが全面に描かれたフィニッシュのモデル。もう1本はトラスロッド・カヴァーにロゴが入ったものだ。黒も持ってるよ。俺はコレクターでもあるからね。
YG:白はオムニウム・ギャザラム、黒はインソムニウム…と使い分けているのですか? それぞれの音楽性にも合っていると思いますが…?
MV:いや、それは考えたことがなかったな。
YG:ペルはストランドバーグ製のギターがトレードマークになっていますが、今回持ってきた“Boden Singularity”は、“True Temperament Fretting System”が施されていますね?
ペル・ニルソン(以下PN):ああ。イントネーションを改善したくてね。キーボードにピッチを合わせようとすると、すべてが正しいイントネーションにならないといけない。レコーディングの最中は、特定のコードに合わせてチューニングし直す時もあるほどだ。(“True Temperament Fretting System”は)スタジオでより効果を発揮するよ。でも、ライヴでも違いを感じることがあるな。ピッチをシビアに合わせて弾かなきゃいけない時もあるから。メシュガーで弾く場合は、デス・メタル特有の低音リフが中心になるけど、時々高音でユニゾンすることもある。そうした時に(“True Temperament〜”は)有益だと気付いたんだ。これを導入したギターは2〜3本持っているよ。
YG:この“〜Singularity”はシグネチュア・モデルなんですよね?
PN:そうだよ。ノクターナル・ライツでも同じモデルを使っている。どっちのバンドも7弦ギターを必要とするからね。但し、スカー・シンメトリーではドロップAチューニングにしている。1〜6弦まではスタンダードだけど、7弦のみ1音下げているんだ。メシュガーでは8弦ギターを使う。そっちは全弦スタンダードだ。
YG:それぞれギターは何本持ってきましたか?
MV:2本だね。どっちもスペックは近いけど。
PN:俺も同じモデルが2本。でも、基本的には1本あれば充分だ。
YG:1本は完全にバックアップ用ということですね?
PN:そう。
MV:俺も1本で通すことが多いけど、時々「コッチの方がイイな!」と思って、気分で持ち替えることもあるよ。
YG:アンプは何を?
PN:俺はペダル(型のギター・プロセッサー)を使っている。Line 6の“HX Stomp”だ。以前は(Line 6の)“POD X3”(POD X3 Live)を使っていたんだけど。“HX Stomp”はアンプ・タイプの数も、スピーカーのモデル数も多いし、エフェクトも沢山あってイイね。スタジオでレコーディング作業する時も、いつもシミュレーターを使っているよ。お気に入りのEVHアンプ(のシミュレート・サウンド)とかね。 実はオールドスクール・タイプなんだ(笑)。それを鞄に入れて持ち運ぶことが出来るんだから最高だ。
MV:ホンモノは動かす必要ナシ。
PN:その通り(笑)。
MV:俺は(フラクタル・オーディオ・システムの)“Axe-FX”。ここに何でも入っているよ。足元に置いた専用MIDIフット・コントローラーで、音色を切り替えたりしている。そういえば、デモ音源を制作する時、いつも使っているギター・プロセッサーがあるんだけど…何だったっけ?(苦笑) 性能も音も凄く良くてお気に入りなんだけど…ああ…そうだ、Positive Gridの“BIAS”だな。
YG:今回、ペダルは持ってきましたか?
PN:いや。すべて“HX Stomp”1台の中に入っているから。
YG:マーカスは以前、「BOSSのペダルだけは持っていく」とおっしゃっていましたね?
MV:ああ。BOSSの“HM-2”を使っているよ。これがデス・メタルのサウンド・メイクに欠かせないんだよ。かなりクレイジーなセッティングだけど、“Axe-FX”だけとはまた違った味が出せる。実際、どんなサウンドにも対応出来るよ。
YG:ペルは新製品が出ると、自分からどんどん探っていくタイプですか?
PN:今年(’19年)はNAMMショウに行ったんだ。でも、あまり試奏はしなかった。昔は何でもチェックしまくって、色々買っていたけど、最近は機材を山ほど買い込むこともなくなったな。製作者にも少し知り合いがいるし、時々気になる新製品を手に入れるぐらいだ。以前ほど熱狂的にはなっていないよ。
※タイトル画像とは裏腹に、実はこんなに和やかな対談でした…。