NEMOPHILA、Zeppツアー完遂! 最終日レポート@Zepp Haneda 2022.6.24

NEMOPHILA、Zeppツアー完遂! 最終日レポート@Zepp Haneda 2022.6.24

“地獄のゆるふわバンド”NEMOPHILAが、各地のZeppホールを廻って対バン・ライヴを行なう初の国内ツアー“NEMOPHILA Zepp Tour 2022 ~虎穴に入らずんば虎子を得ず~”を展開。6月3日の福岡公演(with MUCC)からスタートし、同10日の名古屋(with PassCode)、11日の大阪(withラウドネス)、18日の札幌(with 氣志團)…と毎週末に個性的なアーティストを相手に対バンを行なってきた彼女たちが、去る6月24日、そのツアー・ファイナルとなる東京・Zepp Haneda公演(with ROTTENGRAFFTY)を行なった。

この羽田公演当日、ヤング・ギター取材班はNEMOPHILAのメンバーが会場入りするところからバンドに密着。リハーサル、本番、そして終演後まで彼女たちの姿を追っていたのだが──一見、いつも通りの明るく楽しげで“ゆるふわ”な彼女たちではあったが、明らかに数週間前の福岡公演時とは違う“何か”が感じられた…。Zeppツアーの初回である福岡公演については当サイトでも密着レポートをお届けし、ライヴ前のバックステージでワイワイと過ごすメンバーたちの様子を動画でも観ることができるが、実のところ、あの日の彼女たちの周辺には一種のピリついた空気が漂っていたこともまた事実。

初の国内ツアーの初日に初めての会場で、しかも先輩バンドを対バンに向かえてのライヴともなれば緊張するなという方が無理であり、そんな空気感もごく当然のことのように思えるが、それでも普段は極めてポジティヴなヴァイブを放っている彼女たちから緊張や不安、さらに言えば余裕のなさのようのものが感じられたことは、ライヴを直後に控えたところで少々気がかりなことではあった…。

もちろん、先のレポートにもあるように、それでもバンドは出し得る限りの力で(とびっきりの笑顔を見せながら)最高に攻めたパフォーマンスを展開して福岡のオーディエンスを盛り上げ、ショウは大成功のうちに終了。動画の最後にはステージからバックステージに戻ってきたばかりのメンバーに感想を聞くシーンも収められているが、中でもフラフラと素足で通路を歩いて戻り、感想の言葉も控えめだったSAKI(g)の姿からは、全力を尽くしたという心地よい疲労感や緊張と不安から解き放たれた安堵感、そしてツアー初日の対バン・ライヴを見事やり切ったという達成感と自信が感じられた。

その上で筆者は、「今回の対バン・ライヴは、NEMOPHILAのメンバーにとって必ずや良質な糧となったことだろう。そして、この後も名古屋、大阪、札幌での対バンを経て、Zeppツアー最終公演となる東京・羽田では、さらにひと回りもふた回りも進化したパフォーマンスを見せてくれるに違いない…!!」とレポートを結んでいるが、まさにその“進化”こそが羽田公演で感じた“何か”なのである。

残念ながら筆者は名古屋、大阪、札幌の各公演を現地会場にて観覧することはできなかったが、福岡公演同様、各地での対バン経験がまさにNEMOPHILAの“糧”となったことは想像に難くない。ここまでの4公演を通じて、毎回全力でステージをコナし、オーディエンスからの熱い声援を受け、そして何より対バン相手から多くを学んだ彼女たちが飛躍的な“成長/進化”を遂げたことは、羽田公演のバックステージ/ステージ上における彼女たちの言動からも明らかだった。

落ち着いた葉月(g)、はにかむハラグチサン(b)、笑顔のむらたたむ(dr)、クールなSAKI(g)、そして元気いっぱいの mayu(vo)──会場入りの様子もバラバラの五者五様で(ぜひ動画でチェックを!)、そんな風に各メンバーがまったく異なるキャラクターの持ち主であるというのもNEMOPHILAというバンドの魅力のひとつであり、またバンド内がうまく機能している理由ではないだろうか。とにかく、バックステージでのメンバーはみなリラックスした表情で、福岡で感じられた“ピリついた空気”や“余裕のなさ”のようなものはまったく感じられなかった。

…かといって決して“気を抜いている”わけではないことは、その後、細部に至るまで入念にサウンド・チェック/リハーサルを行なっていたメンバーの真剣な表情を見れば一目瞭然。特にSAKIは、いくつかの音色を切り換えながら音響スタッフの意見にも耳を傾けつつ、“ベスト”なサウンドを徹底的に追求していた姿が印象的だった。

リハの後、各メンバーからぞれぞれ動画用にコメントをもらうことができたのだが、そこで彼女たちが一様に口にしていたのが“対バン”で得た貴重な経験についての言葉で、各対バン・アーティストへの感謝の意を表しつつ、彼ら/彼女らとの共演が自分にとっていかに刺激となり、どれほど糧となったかを語っていた。そして、その言葉の端々から感じられたのが、“自信”。対バン相手から吸収たことをここですべて発揮したい! 新たに身に付けたことを早くステージで披露したい! NEMOPHILAのメンバーからは、そんな風に前のめりでポジティヴな自信が滲み出ていたように思う。

さて一体、彼女たちはどんなショウを観せてくれるのか…、こちらの期待も高まっていく。

NEMOPHILA - バンド

前置きがずいぶんと長くなってしまったが…、先攻のROTTENGRAFFTYがその熱いミクスチャー・サウンドで会場を十二分に温めてステージを後にしてから転換を経て、いよいよ後攻であるNEMOPHILAの出番。場内が暗転すると定番のオープニングSEが鳴り響き、メンバーがステージに登場──全員が楽器を持ちドラム・キットの前に集まると、むらたたむのカウントから「REVIVE」がスタート! 葉月、ハラグチサン、mayu、SAKIは揃ってステージ前方に立ち、ファストなイントロに合わせて全員が強烈な“風車ヘドバン”をしてみせる。

ドラム・キットに座るむらたたむを含め、メンバー全員が全身を使って激しいパフォーマンスを展開し、隙あらば手拍子や拳を突き上げてオーディエンスをしっかりと煽ることも忘れない。シャウトとクリーンを使い分けて歌うmayuの声も絶好調で、ステージ上を軽快かつ様々なアクションで動き回る姿もカッコいい! そのmayuに限らず、各メンバーは真剣な表情でガッツリ演奏しているかと思えば、次の瞬間にはとびっきりのスマイルでオーディエンスに笑いかける。まさに初っ端からNEMOPHILAの魅力が全開で、場内を一気に掌握してしまった。

NEMOPHILA - mayu

続く「雷霆 -RAITEI-」もその勢いのまま、ステージに立つ4人は入れ替わり立ち替わりポジションを移動し、時にはお互いが顔を見合わせるようにして楽しげにプレイしたり、葉月とSAKIはギター・ソロともなればお立ち台に乗って流麗なシュレッドをキメたりと、とにかくステージを広く使ってアクティヴに“見せる”パフォーマンスが特筆。その堂々としたステージングは、今年1月の渋谷公演やツアー初日の福岡公演時よりも一段階もニ段階も進化したものだった。

NEMOPHILA - mayu

「はじめまして、NEMOPHILAでーす!」という挨拶とROTTENGRAFFTYへの感謝を示したmayuのMCを挟み、いずれも印象的なベース・フレーズから始まる「Fighter」〜「Rollin’ Rollin’」を披露。そのハラグチサンは先ほどまでのピックを使ったハードなプレイから、ここではフィンガー・ピッキングによるグルーヴィでファンキーなプレイにシフトし、特に「Rollin’ Rollin’」のイントロにおける高速スラップは大きな見せ場のひとつとなっていた。決して大柄ではない彼女だが、お立ち台に乗ってバッチバチとスラップするその姿がとても大きく見えた…というのは筆者だけではなかったはずだ。

NEMOPHILA - ハラグチサン

続いて、メンバー全員がサングラスを着用し、同じムーヴのフォーメーションをキメながらプレイするダンサブルなユーロビート調の「Night Flight」では、メンバーのフリに合わせてオーディエンスも腕を振って同じ動きをキメ、さながら会場全体が懐かしの(?)パラパラ大会の様相に(ミラーボールからの反射光も“当時”の雰囲気を高めていた)。まだまだ感染症が収束したとは言えない状況下、観客はガイドラインに従って声を出すことはできずとも、しっかりとバンドとの一体感を味わうことができたのではないだろうか。

NEMOPHILA - バンド

メンバー紹介のMCを挟んで披露されたのは、3ヵ月連続シングル・リリースの第2弾としてこの羽田公演の数日前に発表されたばかりの新曲「徒花-ADABANA-」。すでにここまでの各Zepp公演でも披露されており、より仕上がった演奏が期待される。インタビューで葉月が「頭から“ウォーオーオー、オーオー”っていうコーラスが入っていてオーディエンスと一緒に盛り上がれそう」と話していたオープニングは、残念ながら観客は声出しNGなため一緒に唱和することはできなかったが、きっと心の中で「“ウォーオーオー…」と大声を張り上げていたに違いない。そして葉月が(大阪公演で共演したラウドネスの高崎 晃ばりの!)オーヴァーハンドの両手タッピングを披露した時には、さらに(心の中の)声援は大きくなっていたことだろう!

NEMOPHILA - 葉月

ショウはポップでノリの良い「Change the World」、NEMOPHILAのアンセムとも言える「Life」と続き、後者ではSAKIの弾くテーマ・メロディーに合わせてフロアからいくつもの拳が突き上がる。ピョンピョンと飛び跳ねながらギターを弾き、何度も観客を煽ってその都度満足そうな笑顔を見せていたSAKI──ストイックなあまり自分の演奏に対して厳しくなりがちな彼女ではあるが、この時はステージ上での演奏を心から楽しんでいたのではないだろうか。そのギターから発せられる艶やかで伸びやかなトーンは、そんなSAKIの心情を反映してか、いつも以上に心地よく、雄大に鳴り響いていたように思う。

NEMOPHILA - SAKI

「まだまだアゲてくぞー!」というmayuのアジテーションからスタートしたアッパーな「MONSTERS」で場内は再びまさにアゲアゲな大盛り上がりに。そしてそこからさらにもう一段階ギアを上げた高速ヘヴィ・チューン「DISSENSION」へとなだれ込む。常に全力全開のNEMOPHILAであるゆえに、ライヴも終盤にきてスタミナ切れ(やヘドバンによる首痛!)も心配されたが、弦楽器隊はもちろん(髪の毛ブン回しまくり!)のこと、mayuのヴォーカルもむらたたむのドラミングも、その心配はまったくナシ! むらたたむにいたってはむしろさらにパワフルになった感さえあり、髪を振り乱しながらハードに叩き付けるドラムがラウドに轟き渡っていた。

NEMOPHILA - むらたたむ

そして本編ラストの曲となったのは、3ヵ月連続シングル・リリースの第1弾「A Ray Of Light」。デジタル・サウンドとmayuのシャウトによる強烈なイントロから一転、葉月が奏でる物憂げなテーマ・メロディーと伸びのあるクリーン・ヴォーカルを聴かせ、またヘヴィなシャウト・パートへ…という対照的な構成が印象的なナンバーで、mayuも楽器隊も渾身のパフォーマンスを展開──“鬼気迫る”と表現してもいいその圧巻の演奏には、もはや畏怖の念すら抱かされた…。

NEMOHILA バンド背面

この後、メンバーはいったんバックステージへと戻るが、アンコールを求めるオーディエンスの熱烈な手拍子に導かれて(ROTTENGRAFFTY × NEMOPHILAのダブルネーム・ツアーTシャツに着替えて)再びステージに登場。今回のZeppツアーでは恒例となっている対バン・アーティストとのコラボ・タイムで、mayuがROTTENGRAFFTYのツイン・ヴォーカルであるN∀OKIとNOBUYAをステージに呼び寄せる──と、そこに現れたのはゴールドの全身タイツの上にダブルネームTシャツを着たN∀OKIとNOBUYA! これにはNEMOPHILAのメンバーも観客も大ウケで、mayuが「輝いてます!(笑)」と言えばN∀OKIが「身も心も!」と返し、NOBUYAが「次は(NEMOPHILAを)ROTTENGRAFFTYのツアーに呼びたいなと話してたので、ぜひ!」とラブコールを送る。そんなほのぼのとしたヤリトリから披露されたのは、ROTTENGRAFFTY屈指の名曲「金色グラフティー」。NEMOPHILAの演奏をバックに歌うN∀OKIとNOBUYA、そしてシャウトするmayuの相性はバッチリで、トリプル・ヴォーカルによる強力な「金色グラフティー」を堪能することができた。

楽器がかき鳴らされる中、N∀OKIとNOBUYAがステージを去ると、彼らへの感謝を述べたmayuは続けてオーディエンスに「ラストの1曲だ。行けるかー!?」と叫び、「OIRAN」がスタート。葉月、ハラグチサン、mayu、SAKIはステージ前面に立って本日イチ強烈な風車ヘドバンをブチかまし、後方のむらたたむも髪を振り乱しながらツーバスを連打! その激烈な演奏にこちらのテンションもブチあがりだが、サビ前のブレイク・パートでは葉月、ハラグチサン、mayuがなぜかグダグダなラジオ体操風のフリを…(笑)。まさに地獄のような激しいパートで強烈なヘドバンを見せたかと思えば、次の瞬間にはゆる〜い表情と動きになり、そしてまた激烈な演奏へ…──これぞまさに“地獄のゆるふわバンド”NEMOPHILAの真骨頂であり、そのギャップを観客も大いに楽しんでいた。

エンディングではSAKIが体を仰け反らせてロング・トーンを放ち、曲が終了。ここでライヴは大団円を迎え、mayuはZeppツアーを完走できたことに感謝を延べ、このツアーを経て進化したNEMOPHILAはこれからもどんどん前に進んでいくことを力強く宣言。最後にまた「本当に本当に本当に…ありがとうございました!」とメンバー全員が深々と頭を上げ、彼女たちはステージを後にした…。

NEMOPHILA ラスト

福岡公演からスタートしたこの“NEMOPHILA Zepp Tour 2022 ~虎穴に入らずんば虎子を得ず~”。ツアー・ファイナルの羽田公演までの計4公演は決して多くはない数だが、それでもその経験は彼女たちを間違いなく進化させていた。そしてこの羽田公演での対バンもまた彼女たちをより成長させたであろうことは、疑うべくもない。さらに、バンドは7月1日にもロサンゼルスで初の海外遠征ライヴを行なっている。ライヴ冒頭の2曲が生配信され、同16日には全編が公開される予定となっているが、このライヴを経てNEMOPHILAはさらにパワー・アップしたことだろう。

そんな彼女たちがこれから我々にどんな姿を見せ、どんな音楽を聴かせてくれるのか──来るべきニュー・アルバムや新たな活動展開に期待が膨らむ!

フォトギャラリー

NEMOPHILA - 葉月&SAKI
NEMOPHILA - mayu
NEMOPHILA - SAKI
NEMOPHILA - ハラグチサン
NEMOPHILA - むらたたむ
NEMOPHILA - バンド(ステージ横から)

セットリスト

01. REVIVE
02. 雷霆(RAITEI)
03. Fighter
04. Rollin’ Rollin’
05. Night Flight
06. 徒花-ADABANA-
07. Change the World
08. Life
09. MONSTERS
10. DISSENSION
11. A Ray Of Light
ーencore 1ー
12. 金色グラフティー feat. NOBUYA&N∀OKI from ROTTENGRAFFTY
ーencore 2ー
13. OIRAN

INFO

“AFTERSHOCK FESTIVAL 2022” DAY 2

アメリカ・カリフォルニア州サクラメントにて開催される、ロック&ヘヴィ・メタル世界最大級のフェスティヴァルにて、KISSがヘッドライナーを務めるDAY 2(10月7日/金)に NEMOPHILAが出演予定。

配信ライヴ:NEMOPHILA 1st Gig in LA ~Whisky a Go Go からこんばんは~

アメリカL.A.のライヴハウス“Whisky a GO GO”にて、7月1日に開催されたライヴの模様を配信。
日時:2022年7月16日(土)
配信時間:18:00~20:00
アーカイヴ視聴期限:2022年7月23日(土)23:59まで
配信チケット料金:4,000円
チケット購入:
NEMOPHILA 1st Gig in LA ~Whisky a Go Go からこんばんは~ | ローチケ LIVE STREAMING

NEMOPHILA - STYLE

STYLE/NEMOPHILA

デジタル配信|マスターワークス
2022年7月20日発売

各種音楽配信サービス:STYLE

公式インフォメーション
NEMOPHILA Official Website