「自分たちが感じているこの感動を、音楽でまた返せたらいいな」BAND-MAID特集全員インタビューをちょこっと立ち読み!

「自分たちが感じているこの感動を、音楽でまた返せたらいいな」BAND-MAID特集全員インタビューをちょこっと立ち読み!

発売中のヤング・ギター2024年11月号では、表紙・巻頭特集にBAND-MAIDをフィーチュア。約3年半ぶりの最新スタジオ・アルバム『Epic Narratives』をリリースした5人のハード・ロック・ メイドと共にその全貌に迫る一大特集を、全90ページでお届けしている。ここでは、特集のメインとなる5人の全員インタビューの冒頭を特別に公開! 全文は本誌でお楽しみいただきたい。

自分たちが感じているこの感動を、音楽でまた返せたらいいな

YG:昨年11月26日に行なわれた横浜アリーナでのお給仕後に告知された“新章開幕”の言葉通り、こうしてニュー・アルバム『Epic Narratives』が届けられました。前フル・アルバム『Unseen World』(2021年)はコロナ禍の様々な制限がある中で、KANAMIさんのデモを基にメンバー同士がオンラインでディスカッションを重ね、音源をやり取りしながら楽曲の完成度を高めて作られた作品でしたね。そうした制作環境は、今回は違ったのでしょうか?

SAIKI:同じです。その時に「このスタイルがいいね」ってみんなでしっくりきたので、そのまま制作の過程は変えず。でも数曲…楽器隊がスタジオに入ってたよね?

KANAMI:レコーディング前のプリプロの段階で、ベースの弾き方やドラムの叩き方のニュアンスを見させてほしいっていうことで。3人でスタジオに入って、「この叩き方で」「もう少し倍音を強く出してほしい」とか、そういうことを確認してからレコーディングした曲もありましたね…どの曲だったかなぁ?

AKANE:「TAMAYA!」だね。あと「SHOW THEM」(メキシコの三姉妹ハード・ロック・トリオ:ザ・ウォーニングとの共作・共演曲)もプリプロでスタジオに入りました。

SAIKI:ザ・ウォーニングの彼女たちに(演奏方法を)伝えるためにプリプロでスタジオに入って…というのはありましたけど、全曲っていうわけではないです。ほんとに数曲。今作では、コンポーザーとしてKANAMIがより中心になって(オンラインで)やっていた感じがありますね。

YG:今作は、コロナ禍後に有観客お給仕(ライヴ)が再開されてから最初のアルバムになりますが、まず一聴した時に全体として開放的なムードを感じました。コロナ禍後の“今の時代の空気感”が映し出されたアルバムというか…。ダンサブルな曲の「Magie」で始まって、明るめのインスト曲「Get to the top」で終わるという作品構成も大きく影響していると思うのですが。

小鳩ミク:まさに。例えば「Memorable」は有観客で久々にUSツアーに行けた時(2022年秋)に感じた気持ちを書いているので、有観客ありきで生まれた曲だったりしますっぽ。他の曲もコラボの曲も、コロナ禍が明けたからこそできたところがあるので、そういう意味でも開放感が出ているなぁと思いますっぽね。マイキー(インキュバスのギタリスト:マイク・アインジガー)やザ・ウォーニングとは、コロナ禍後のアメリカでのフェス出演がなかったらそもそも出会ってなかったですし。

SAIKI:『Unleash』(EP/2022年)の時に「もういい加減にしてくれ!」っていう(コロナ禍に対する)うっぷんを詰め込んだところもあったんですけど、新作にはそれからここまでのストーリーがあって、たぶんそれが開放感につながっているんだと。本来のバンドの良さをまた取り戻せたものになっていると思いますね。

小鳩:お給仕らしさを大事にしてっていう楽曲が多いので、そういう意味でもそこが開放感として伝わるんだろうなって思いますっぽ。

SAIKI:フェスが大きかったよね。やっぱり自分たち単独のお給仕とは全然違って、いろんなフェスを経験して、そういった中でたくさんの方たちと出会って作り上げた曲だなと思います。

KANAMI:フェスがなかったらできなかったよね。

SAIKI:2万人くらいの方々が観てくれた時もあって。そういうのは、やっぱり自分たちの肌で感じないと反映できない部分ですね。

YG:新作には「Forbidden tale」のようなより広い会場で映えそうな楽曲もあって、今までにない幅の広さも感じました。

KANAMI:確かに〜。「Forbidden tale」はあるかもしれないです。広い世界に実際に肌で触れた…そういう思いみたいなのがありますし。

SAIKI:音楽に対する考え方もよりいっそう…。

KANAMI:変わったね。

SAIKI:うん、深まったというか。アメリカは多文化で、会場ごとに来てくださる方のタイプも違っていて、お給仕した後に「あの曲を入れておいた方が良かったかもね」とか、そういう反省会もしたんですよ。私たちを応援してくださるご主人様・お嬢様(ファンの呼称)もたくさんいて、音楽の素晴らしさを感じて心にグッとくる場面も多くて。その恩返しっていうわけではないですけど、自分たちが感じているこの感動を、音楽でまた返せたらいいなっていうのがあって。それでここまで(今作の内容が)幅広くなったのかなぁとは思います。

YG:コロナ禍に制作された『Unseen World』には、狂気を孕んだ「BLACK HOLE」や異様な切迫感に満ちた「Warning!」などがありました。そういう意味では、アートというのは知らず知らずのうちに時代のムードを反映させるものなんでしょうかね…?

SAIKI:それはあると思いますね。そういうことをKANAMIが結構感じるタイプかも…。本人は気づいてないと思うんですけど、メンバーに…。

KANAMI:「(コロナ禍が)嫌だったんだね」って言われました。

SAIKI:デモ曲を聴いて、「あ〜、KANAMIちゃん結構キテんなぁ!」みたいな(笑)。そういうことを感じるところはあって、『Unseen World』の時は確かにそれが多かったですね。

…続きはヤング・ギター2024年11月号でお楽しみ下さい。